釣った魚の処理法:野締め(活け締め)魚を美味しく食べる方法!真鯛や黒鯛など中型魚編

釣った魚を新鮮な状態で美味しく食べるのが釣り人の醍醐味!

「自分で釣った魚を自分で食べる」という楽しみは、釣りをする楽しみのなかでも大きな要素を占めているのではないでしょうか!?

もちろんバスフィッシングなどのゲームフィッシングでは、キャッチ・アンド・リリースといった考えもありますが、むしろ最近では「釣ったら食べる」キャッチ・アンド・イートを信条としている釣り人も少なくありません。

何より素材の新鮮さという点において釣りたての魚に勝るものはありません。

しかしながら、せっかく苦労して釣り上げた魚も適切な処理を施し、適切に保存しないと食味が格段に落ちてしまいます。挙句の果てには、ガッガリ~なんてことも…汗

現に私自身、生まれて初めて釣った46cm2.2kgの大型クロダイを喜び勇んで自宅に持ち帰ったものの、適切な処理を怠ったがために、しばらくはクロダイ=不味いというトラウマを抱いた苦い経験を持ってしまいました。

しかしその後、今回ご紹介する野締め(活け締め)を習得し、魚を適切に処理することによって、家族全員からもクロダイ=美味というステータスを何とか確立出来たのです。

それだけに、釣り人にとってはただ釣るだけがタスクではなく、釣り上げた魚をその場で適切な処理を施すことでミッション完了!なのだということを覚えておきましょう。つまり、

釣り上げた魚を野締め(活け締め)することによってどんな魚も美味しく食べられる!

それこそ、まさに釣り人冥利に尽きるというものです。

野締め(活け締め)をマスターして釣った魚を美味しく食べよう!

釣った魚はどう処理するのがいちばん正しいのか、釣り人ならば誰しも迷うのではないでしょうか?

理想をいえば、どんな魚でも野締め(活け締め)して血抜きをした上で大型魚ではさらに神経締めした後にエラと腹ワタを落として氷締めして保存するのが正しいやり方です。しかし、中・小型魚のように数が釣れる魚すべてにこの処理を施すのは大変です。

船釣りでも陸っぱり釣りでも、マダイやワラサ、クロダイなどコマセを使って釣った魚の腹ワタは臭みが強いです。したがって、野締め(活け締め)と血抜きは最低限行なうことが必須です。

また、神経締めはあくまでも大型魚に対してや鮮度を長く保つために行なうもので、中小型魚やすぐに持ち帰れる場合は必要ありません。多くのサイトでは神経締めをすると食味もUPするなどと紹介されていますが、しょせんは気休めに過ぎません。

ここでは中型魚を対象として、まず釣った魚を適切に処理するための各工程に対する理解を深め、実際に陸っぱりで釣り上げたクロダイを例に、ごくシンプルな野締め(活け締め)や血抜きの方法について解説したいと思います。

魚を「締める」ことの重要性

釣れ上がった魚は、船上や磯・堤防の上でバタバタと暴れます。しかしその間、魚はエネルギーを消耗して人間には計り知れないストレスを感じます。

やがて絶命すると、血液の匂いや内臓の臭みが全身に移ってしまい、魚本来の旨味が損なわれてしまうのです。こうしたことを事前に回避し、釣れた魚をより美味しく食べるためには、血抜きや内臓の除去などの作業が必要なのです。

こうした一連の作業を「締める」といいます。また「〆」とか「〆める」とか、さまざまな表現がありますが、「締める」作業にはさまざまな種類や工程があります。

■野締め・活け締め・血抜き・神経締めについて

①野締め

野締めとは、包丁などを使わずに魚を締める方法です。一般的に氷に漬ける締め方も野締めと呼ばれることもあります。もっとも簡単な締め方で、イワシやサバなどの大衆魚はこの締め方でなるべく手間をかけずに処理されています。

ただし現在では、船釣りや磯・堤防釣りでも、釣ったその場で処理する活け締め(活き締め)と同義に用いられることも多く、本稿でも野締めは活け締めと同じ意味合いとして取り扱っています。

➁活け締め(活き締め)

活け締めは活き締めとも呼ばれ、船上や磯・堤防など釣ったその場で、魚が生きた状態で包丁等を入れて締める処理法で、同時に血抜きも行なわれます。

魚を釣ったら、なるべく速やかに活け締めをすることが重要!魚が暴れるとエネルギーを消費してしまうため、鮮度が落ちてしまいます。つまり早く締めるほど、鮮度が高く維持されるのです。

ただし釣り期によっては、締めた後の血抜きにサメが反応してしまうため、船上での活け締めがNGの船もありますが、その場合はクーラーボックスやバケツの中で処理し、移動(潮回り)の際に血を洗い流すようにしましょう。

③血抜き

血抜きは活け締めをした後に行なう処理です。また血抜きは、魚の生臭さを低減する効果があります。釣ったその場で包丁やナイフを入れて血抜きをすることは、魚の鮮度を保つためにマストなのです。

釣れたての魚は、暴れ苦しむことによって血液の臭みが体中に回って、旨味が損なわれてしまいます。つまり大型の魚ほど、脳や脊髄を一刀で断ち、血液を外に出す「血抜き」という作業が必要なのです。

小型~大型の判断は難しいですが、体長30cm以下が小型、30~60cmが中型、60cm以上を大型として考えていただくと良いと思います。もちろん、面倒でなければ小型サイズもしっかりと血抜き(出来ればワタ抜きも)の作業を行なうに越したことはありません。

④神経締め

神経締めは、専用のワイヤーなどを魚の神経に通して神経を破壊する締め方です。しかし、神経締めをすればどんな魚も美味しく食べれるわけではありません

あくまでも、魚の死後硬直を遅らせることによって魚本来の旨味を長持ちさせるのが目的なので、大型魚や、釣り上げてから食べるまでの期間を要する場合に有効な方法です。したがって、神経締めは漁業関係者や海産物業者等にとっては大きなメリットです。

私たち釣り人にとっては、中・小型魚やすぐに持ち帰れる場合は神経締めをする必要はありませんが、遠征で持ち帰るのに時間がかかるときや、食べるまでに少し間が空くとき、大型魚なので時間をかけて食べるとき等に神経締めをすると良いでしょう。

活け締めと血抜き

体長60センチ前後までのほとんどの中・小型魚は、活け締めを施して血抜きをすることによって新鮮さを保つことができます。さらにポイントとしては、

しっかり血管が切れたことを確認して、十分に血を出すこと!

とにかく包丁(ナイフ)が中骨に到達するまでしっかり切れ込みを入れて、魚体内の血を根こそぎ抜くことが肝心。しかも一連の作業をなるべく速やかに行なうことが重要です。

適切な処理をして、熟成させると格段に美味しくなること間違いなしです!

■用意するもの

野締め(活け締め)および血抜きを行なうためには、適切な道具類が必要になります。これは船釣りでも磯・堤防釣りでも共通です。

ここでは活け締めや血抜きを適切に行なうための道具類をご紹介します。

①包丁またはナイフ

包丁またはナイフは、刃渡りがなるべく長めのものが理想です。持ち手がしっかりして大きめのものだとケガをするリスクが低くなるので安心です。

とくに海釣りでは、チタン製やステンレス製は錆びにくく長持ちするのでおすすめです。

➁タオル

魚を活け締めにする際に魚が暴れないように頭部を覆ったり、血抜きをする際に汚れを拭い落としたりするときに、何かと重宝するアイテムです。

また安全衛生に配慮するためにも、釣行の際はかならずタオルは2枚以上持参しましょう。

③まな板、またはそれに代わるもの

活け締めおよび血抜きを適正に行なうためには、魚体を置く平らな台が必要です。船釣りの場合は船上でまな板があると何かと便利です。また磯・堤防釣りの場合は、まな板の代用としてクーラーボックスやバケツの蓋などを利用するのも良いでしょう。

④バケツ 

バケツは血抜きを行なうときの必須アイテムです。ただし船釣りでは、たいていバケツは据え付けられていますし、磯釣りの場合はバケツの代わりにタイドプール(潮だまり)を利用しても構いません。

■活け締めと血抜きの手順(基本編)~クロダイの例

活け締め&血抜きは、釣り上げたら速やかに行ないましょう!

①エラの付け根に刃を入れる

魚体を平らな場所に置いて、魚が暴れないよう目を隠します。速やかにエラの上の付け根に刃を入れ、一気に切り込みを入れます。刃先が中骨に到達するまで中骨下を走る血管を切ります。

魚を固定する際には、タオルで目隠しすると魚が暴れないので効果的です。

刃先が血管まで到達すると、一気に血が流れ出てくるので簡単に確認できます。

➁尾びれの付け根を切る

尾びれの付け根のウロコを剥がし、一気に縦に切れ込みを入れます。このとき、中骨を一緒に切断しても問題はありません。

③血抜きをする

頭と尾を持ち、魚体をゆっくりと折り曲げて絞り出すように血を抜きます。

このとき、ただバケツに放り込むだけでは完全に血抜きが出来ないので要注意です。

④海水を浸したバケツなどにしばらく漬ける

バケツなどに海水を満たして、魚体をしばらく漬けて血を流出させます。

このとき、魚体の大きさに合わせてバケツを選びましょう。魚体に対してバケツが小さ過ぎると、逆に血の匂いが表面に付着してしまい逆効果となってしまいます。つまり、バケツはなるべく大きいものが理想です。

また磯や堤防釣りでは血抜きした後に、ストリンガーに掛けて海中へ入れる方もいるようですが、カニなどに食べられてしまうリスクがあるためあまりお勧めできません。ご注意ください。

活き締めの完成形~ここまでやれば完璧!

釣った魚も大型になるほど、その処理が大変です。ひと口に活け締めや血抜きといっても、魚種によってさまざまな体型があり、血抜きだけでは済まない魚もあるのです。こうした魚は、

エラや腹ワタまで取るのがベスト!

その理由としては、

先ず第一に、魚はエラや腹ワタから痛み始めるため、痛みの早い魚は、エラや腹ワタを釣ったその場で取ってしまった方が良いこと。第二に、腹ワタの臭みが強い魚は早めに腹ワタを取っておいた方が身に臭みが移らなくて済むからなのです。

船釣りでも陸っぱり釣りでも、とくにコマセを使って釣った魚のワタは臭みが強いため、船釣りならばマダイ・イナダ等や磯・堤防釣りではクロダイやメジナも、この処理まで済ませておきたいものです。

おもな対象魚としては、アジ・サバといった小型魚から真鯛・黒鯛・メジナ・イナダ等中型魚、そしてマグロやカツオなどの大型魚に至るまで!

いちばん丁寧な野締め(活け締め)で、この処理をしっかりやれば、

魚に対する評価もグーンとUPすること間違いなしです!

■活け締めと血抜き(応用編)~メジナの例

もっとも丁寧な野締め(活け締め)の方法です。この処理をするだけで、魚に対する評価が大きく変わるはずです。

なお、血抜きの工程までは同じですので、前項「活け締めと血抜きの手順(基本編)~クロダイの例」を参照ください。

①腹部を開く

活け締めおよび血抜きの工程で、しばらくバケツに浸してしっかり血抜きした魚体を取り出して、腹部に刃を入れて開いていきます。

このとき、刃は魚の肛門部から頭部へと入れていくと良いでしょう。なるべく浅く切れ込みを入れて、内蔵まで傷つけないことがポイントです。

➁腹ワタを取り除く

腹部を開いたら、指先で腹ワタをこぞぎ出すように丁寧に取り除きます。指先を中骨に当ててゆっくりと腹ワタ全体を掻き出すようなイメージで取り出しましょう。

③腹ワタを取り除く際の注意点

腹ワタを取り除く際に、にが玉(胆のう)をつぶすと魚の味が苦くなってしまうので、つぶさないよう丁寧に処理しましょう。

また、腹ワタを覆う黒い腹膜も潮水で丁寧に洗い流しておくと良いでしょう。

④エラを切り取る

エラを根こそぎ切り取ります。同時に、血の固まりもサッと洗い流しましょう。

エラを切り取るという作業は、真鯛や黒鯛などの鯛系の魚やメジナなどの磯臭い魚、ワラサやサバ、カツオなどの青物系には特に有効です。ぜひ一度お試しください!

まとめ

このように、釣り上げた魚の処理の仕方次第で魚の食味は大きく変動します。

釣り人の皆さんは、ただ釣るだけでなく、美味しく食べるまでのプロセスを楽しむことが大切です。

そのための第一歩として、今回は野締め&活け締めおよび血抜きについてご紹介しました。皆さんが釣った魚を、

『美味しい~っ』と喜ばれて幸せいっぱいになることを祈念します!

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