2023年夏。ことしもハンパない暑さに見舞われています。思えば、今年は暑いねぇとか、言ったり言われたりする機会が年々増えている気がします。こうした過酷な夏を、いかに快適に過ごすか!?が今回のテーマです。
もちろんエアコンをガンガンにかければ事足りてしまいますが、当然光熱費だってハンパないわけで、オフィスや住居が密集し車から排き出される暖気と相まって、いかにも地球の温暖化を再現したような、都会の人工的な熱の波状攻撃にはうんざりです。
年々暑さが増していく夏を快適に過ごすためにはどうしたら良いのでしょうか!?
ちなみに私は5年程前から、一年の半分以上を水シャワーで過ごしています。いつの間にか入浴という習慣は消滅し、欧米人さながらシャワーのみの生活に切り替わりました。風呂に浸かるのは、年間でもわずかに数えるほど。正月気分を味わいたくて、せいぜい年末年始の数日間くらいしか入浴しません。
年間を通じてシャワーで生活し、大半は水シャワーを浴びています!
これが意外に快適で、最初は慣れませんでしたが、朝晩の2回水を浴びるだけで頭の天辺から足先まで全身がスッキリ・シャッキリするのです。夏場のいま時期は朝昼晩の3回浴びることもあります。
シャワーを1日何回でも浴びることができる!
まさにコロナ禍がもたらした新たな生活様式の一つといえるのではないでしょうか!?
水シャワーを浴びるようになって以来、風邪を引かなくなり快適な睡眠も得られるようになりました。実際、医学的にも免疫力をUPさせる効果があるそうです。
さらに、電気・ガス・水道など水道光熱費の大幅な削減!と思わぬ経済効果も生まれ、まさに一石二鳥で良いことずくめ。
水シャワーは健康的でエコな暮らしを提供します!
タイの暮らしで得た生活の知恵とは
私は1年のうち約1/3をタイで暮らしています。昨年から今年の3月まではコロナ禍の影響で出入国規制が厳しい状況でしたが、4月以降タイおよび日本の出入国制限が大幅に緩和されたので今後は益々在タイ比率が高くなると思います。
タイの暮らしはとても快適です。当然のことながら、日本と比べて食べ物や生活スタイルなどは異なります。現在はタイでの暮らしの方がのんびりストレスフリーで断然快適ですが、もちろん最初から快適だったわけではありません。
とくに不便に感じたのは「水」と「アルコール類」に関してです。
現下のインフレとはいえ、タイは日本よりもはるかに物価の安い国という認識をお持ちの方もさぞかし多いでしょう。しかし現在では、食料品や日用品から自動車に至る何から何まで、タイの方がはるかにインフレ率が高いです。
物価が安いと実感するのは、電気・ガス・水道・携帯代等の公共料金やタクシーやバス等公共交通機関の運賃、コンドミニアム等不動産、ストリートフードの飲食店や一部の食料品と清涼飲料水や散髪代とマッサージ代ぐらいで、為替の影響もあり日本よりもやや安いか同程度です。
アルコール類は、ビール以外タイの方が断然高いです!
アルコール類は関税と為替のダブルパンチで、チリ産のワインが日本の店頭価格より30%以上も高値で販売されています。ウイスキーや日本酒・焼酎等も然り。タイで日本産の酒を購入する場合日本国内の3倍位の価格になります。もっともビール党の方にとってはデフレですのでご安心を。笑
さらに不便に感じたのが水。飲料水と生活用水としての水です!
周知の通りタイに限らず、欧米諸国で水道水を飲める国はありません。しかし日本だけは特別で、特段神経質にならなければ水道水を飲むことも可能です。タイに住み始めた当初は、連日のようにミネラルウォーターを買いに行ったり、コンドミニアムのウォーターサーバーに給水に行ったりしていました。
タイの一般家庭には風呂がありません。風呂がある家やホテルは富裕層か4つ星以上のホテルくらいで大半はシャワーのみです。東南アジア方面へ行かれた方はお解り頂けると思いますが、シャワーの水圧も弱く水の出も悪くぬるま湯同然で、挙句の果てに田舎まで行くとただの水だったりします。私の住むコンドミニアムも同様です。
なので、もともとお酒好きで、お風呂・温泉大好きなニュー浴カーだった私にとっては大変住みにくい環境でした。しかしさすがにいつの間にか身体も馴染んできて、ビールとシャワーのみの生活に慣れてしまいました。
■生活レベルと価値観の違い
日本は水道光熱費などの公共料金が高い国だと言われています。もっとも水道料金だけは安い国の部類に位置付けられますが、これは日本の国土と水道設備が完備されているからに他なりません。そういう意味では、
日本はつくづく水に恵まれた国だということがわかります。
❶フツーに水が飲める国
家庭の水道水で水が飲めたり、レストランや飲食店に行けばタダで水が飲めるなんて国どこにもないでしょう。
❷フツーに入浴する国
世界広しといえども入浴という習慣が普及しているのは日本だけ。一世帯に一浴槽は当たり前。ましてや追い炊き機能なんて摩訶不思議。
❸フツーにウォシュレットがある国
日本の一般家庭におけるウォシュレットの普及率は約80%で、もはや生活必需品。ちなみにアメリカでは約10%、中国は5%程度です。
私たち日本人は、生まれた時からこうした環境や習慣を「当たり前の生活」として認識しているため、少なくとも「ライフライン」としての水を世界基準の視点で考えることはできません。
それどころか普通に、浴槽に湯を張りながらシャワーも使ったり、ペットボトルのミネラルウォーターを当たり前のように飲んだり、トイレの水を必要以上に使用したりしています。しかし世界基準で見ると、この日常生活における当たり前が、当たり前でない贅沢なことに気づきます。
タイで暮らすことで次第に、当たり前だったことが当たり前でなくなり、当たり前でないことが当たり前に思えてきたのです。私ははじめから健康的でエコな生活をするつもりで、水シャワーを始めたわけではありません。
日本で何十年と培ってきた習慣 ✕ タイの暮らしで得た知恵
が、いまや私の身体のなかでシンクロして、気づいたら水シャワーでの暮らしにどっぷり浸かっていたのです。
では実際に、水シャワーにはどのような効果があるのでしょうか!?
水シャワーが心身に与えるメリット
水シャワーは医学的に肉体・精神的な治癒への効果が実証されています。
スポーツ医学を研究するアメリカのコーリー・ストリンガー研究所の所長であり、コネチカット大学で教鞭をとるダグラス・カサ教授によると、運動の後冷水を浴びることによって疲労回復や筋肉痛などの炎症作用を抑えることができると、ハイドロセラピー(水を使った治療法)の有効性について解説しています。
■身体に与えるメリット
①筋肉痛などの炎症を抑える
身体を動かした後、すぐに体温を下げることで、運動による炎症や疲労からのリカバリーが早くなります。
The North American Journal of Medical Sciences より
➁疲労を軽減する
冷水シャワーによって皮膚温度が下がるため、皮膚に送られる血流量を抑えることができます。その代わりに、胃腸などの内臓に血流を送られるので水分と栄養が運動後も摂取しやすくなるのです。結果、運動後に感じる疲労を軽減することができます。
The North American Journal of Medical Sciences より
③血流が良くなる
血管が刺激されることは、心臓と血管の健康を保つ上でとても重要です。血液の循環がよくなることで、必要な栄養やエネルギーが筋肉や内臓に届けられます。また、運動によって分泌される乳酸などの疲労物質を除去してくれるのです。
「ReCOVER」の共同創設者アーロン・ドロゼフスキー氏
■脳や心に与えるメリット
④ホルミシス効果
低酸素運動やプチ断食、そして冷水シャワーは、健康のためのホルミシス効果が期待できる代表例です。冷水シャワーをすることで、ホルモンや神経伝達物質が刺激され、肉体的・身体的な強靭性と回復力を伸ばすことができるのです。
「ReCOVER」の共同創設者アーロン・ドロゼフスキー氏
⑤ストレスや無気力状態の回避
週に2~3回冷水シャワーを5分程度浴びる日を設けると、うつや無気力状態から回復することができるという結果も。体に冷水が触れることによってストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑え、幸せホルモンの一つとされるセロトニンを分泌してくれます。
Medical Hypothesis で発表された研究(アーロン・ドロゼフスキー氏)
⑥男性・女性ホルモンの分泌の促進
水シャワーを行うことで男性ホルモンのテストステロンが増えることが分かっています。テストステロンが多い男性は気持ちが前向きで、筋肉が付きやすいなどの特徴があります。女性の場合はエストロゲンという女性ホルモンの分泌が期待できるでしょう。これらのホルモンが分泌されることでラブタイムへの欲求も高まります。
「Medical Hypothesis」で発表された研究
モチベーションもUPし、やる気スイッチON!
水シャワーは初めは慣れないものですが、できるだけ長めに冷たい水に触れるのが良しとし、約5分間前後。それが難しければ、徐々に時間を長くしていくのがおすすめだそうです。
水シャワーによる経済的なメリット
毎日水シャワーを浴びるようになってから、水道料金や電気・ガス代に至るまで大幅なコストカットが実現しました。
水道光熱費は本来固定費として取り扱われます。厳密には「準固定費」ともいわれますが、地代家賃に付随するものとして人件費などと同等の固定費(販管費)扱いです。
一般的に固定費(販管費)は削減するのが最も難しい経費ですが、家計的な視点からみると水シャワーによって、水道光熱費を大幅に削減することができました。結果、
水シャワーによって、思わぬ経済的効果が得られました!
では、水道光熱費がどれだけ削減されたか?についてご説明します。
①水道料金の削減
入浴からシャワーのみに切り替えたおかげで、単月の水道料金が大幅に削減されました。もちろん入浴の場合も、浴槽に張ったお湯のみで洗体すればコストは抑えられますが、1回の入浴で水量約200Lを使用することを考えると、やはりシャワー単体の方がコスパは断然高いです。
ざっくりと水道料金の削減額を試算してみました。
入浴1回当りの水道使用量=200L:一般家庭平均 ①
シャワー5分間の水道使用量=60L:一般家庭平均 ➁
水道1L当りの料金≒0.2円:全国平均 ③
➜入浴とシャワーの差額=(①-➁)✕③=28円/回 ④
■単月水道料金削減額= 540円 ④✕30日
■年間水道料金削減額=6,480円
➁電気代・ガス代の削減
水道料金と同様、電気代・ガス代も削減されました。風呂を沸かす際はガス代しか発生しないと思われがちですが、電気代も同時に発生することを忘れてはいけません。ガスは都市ガスとLPガスの2種類がありますが、ここでは都市ガスを想定しています。
ざっくりと電気およびガス代の削減額を試算してみました。
風呂炊き1回当りの電気・ガス代=95円:一般家庭平均 ①
シャワー1回当りの電気・ガス代=25円:一般家庭平均 ➁
➜入浴とシャワーの差額=①-➁=70円/回 ③
➜入浴と水シャワーの差額=①-➁=95円/回 ④
■単月光熱費削減額= 2,100円 ③✕30日
■年間光熱費削減額=25,200円
※水シャワー(単月)=2,850円 ④✕30日
というわけで、なんと!
年間4万円以上の水道光熱費の削減を達成!
さすがに一年を通して水シャワーのみというわけにはいきませんが、シャワーのみの生活だけでも十分3万円以上の削減が可能です。また注意したいのは、本試算は入浴の際浴槽の湯のみを使用した場合であり、当然シャワーを併用すれば料金はさらに高騰するのです。
水シャワーによる高齢者へのメリット
さらに当初は予期しなかった新たなメリットが創出できることがわかりました。
高齢者による入浴事故の防止です。高齢者の入浴時の事故件数は年々増加の一途をたどっています。
入浴中に意識を失い、そのまま浴槽内で溺れて亡くなるという不慮の事故が増えています。特に65歳以上の高齢者の死亡事故が多く毎年11月から4月にかけて多く発生しています。厚生労働省人口動態統計(令和2年)によると、高齢者の浴槽内での不慮の溺死及び溺水の死亡者数は4,724人で、交通事故死亡者数2,199人のおおよそ2倍です。
政府広報オンラインより
とはいえ、高齢者の方々は入浴が楽しみという方も多く、シャワーだけの暮らしはなかなか慣れないと思いますが、せめて夏場だけでも水シャワーに切り替えることによって、入浴事故を大幅に減らすことができます。ひいては、
社会的課題の解決につながるのです!
水シャワーの正しい実践法
おそらく大半の方は初めから水シャワーを実践することに抵抗を感じるでしょう。そこで最初は、温度を下げたぬるま湯からスタートするのがおすすめです。
水シャワーを始める時期は7~9月の夏季が最適です。夏場ならばそのまま水シャワーを浴びるだけで十分快適です。しかも一日に複数回水シャワーを浴びることにより身体が馴染んでいきます。しかし、春から冬場にかけては、入浴後に水シャワーを浴びて徐々に身体を慣らしていく等も必要です。
では、具体的に水シャワーの実践方法について解説します。
①水シャワーのはじめ方
水シャワーを始める場合、先ずぬるま湯で体を温めてから水シャワーを浴びるのがおすすめ。いきなり全身に水シャワーをかけるのではなく、徐々に体が慣れるように手足などの末端から水シャワーを浴びましょう。
➁水シャワーを浴びる順番
初めて水シャワーを浴びるときは、まずは手足 から。その後 頭 ➜ 首 ➜ 背中 ➜ 身体全体へと段階的に進めます。
③水シャワーの留意点
水シャワーを体全体に浴びる時間は5分までに留めておくのが無難です。またヒートショックを起こす場合があります。血圧が急変して脳梗塞や心筋梗塞を起こしてしまう事もあるので、温度管理はこまめにチェックしましょう。
熱中症予防にも水シャワーが最適!
「熱中症対策には水分補給や塩分補給がイチバン」という言葉をよく耳にします。もちろん水分補給等は熱中症を予防するためのアクションの一つとして重要です。しかし、水分・塩分補給だけでは確実に予防できず、脱水状態を解消することはできません。
熱中症には水分&塩分補給だけでなく「冷却」も大切!
じつは、熱中症によって救急車で運ばれる人の大半は確りと水分を摂取している、という実態をご存じでしょうか!?
どれだけ水分を摂取しても、肝心の水分を流し込む身体が冷えていないとまったく意味がありません。炎天下の水筒や熱したヤカンを想い出してみてください。いくら冷たい水を注入しても効果は0です。つまり水筒やヤカン自体を冷やすことが求められます。
室内にいる場合は即水シャワーを浴びましょう!屋外の場合はペットボトルの冷水や保冷剤などで頭や身体を冷やしましょう!ちょうど、サウナの後の水風呂みたいな感覚ですね!
とくに真夏の釣りは炎天下や猛暑といった過酷な状況下でのアクティビティのため、熱中症や熱射病のリスクとつねに隣り合わせだという認識を持つことが必要です。
持参したペットボトルの水を飲むだけでなく頭の天辺から浴びたり、クーラーボックスの氷や保冷剤を額や全身にあてがったり、船に常備されているホースで海水を浴びるのも気持ち良いですよ!