毎年私が恒例としている釣り物といえばキンメやアカムツ、アコウダイなどの深場釣り。最近はライトタックルで狙う方も多いようですが、私は典型的な深場スタイル。水深300~500mの深海にスルスルと仕掛けを投入すれば、あとは置き竿で待つだけ。とりわけ横着な私にとっては格好の釣りである上に、釣れる魚はどれも垂涎の高級魚ばかり。
てなわけで約2ヶ月ぶりに帰国早々、真っ先に電話を入れたのは、神奈川県湯河原町にあるお馴染みの船宿です。事前に週間天気予報も確認した上で早速午後船でリクエスト。僅か2時間の時差とはいえ、最近深酒気味のせいか朝が弱いんですよね…汗。多少のわがままも聞き入れてくれる素敵な船長、スケジュールを確認した上で快諾。これで一つ楽しみが増えました!
もともと深場用の仕掛けが3組みほど自宅の押し入れに長期間休眠していたことも頭の片隅にあって、今回の釣行を決意するに至ったのですが、午後船でリクエストしたもう一つの理由はラーメン!湯河原といえば、ズバリ
飯田商店!
ラーメン界の頂点に君臨する超有名店です。まず予約を取ること自体が大変!ネット上で長蛇の列と、これまで再三チャレンジしたもののあえなく撃沈。今回も果敢にリトライしましたが、残念ながらもうひとつのリクエストは叶いませんでした。飯田商店の予約は、毎週火曜日の12時~OMAKASEで受付けていますので、ぜひチャレンジしてみてください!
ということで、当日は仕方なく小田原市内のラーメン屋で腹ごなし。12時過ぎに港に到着しました。港に着くとすでに船長が出船の準備をしています。久しぶりにお会いする船長と挨拶を交わし、早々に船に乗り込みます。
客は私ひとり。乗合船でありながら、まるで仕立て船さながらの大名釣りです。これがイイんですよね~♪小型船ではあるものの、何よりのんびりと釣りが出来るのが最大の魅力です。船上で船長と会話を弾ませながら仕掛けをセットしているうちに、いよいよドキドキ・ワクワクしてきました!
真鶴南沖~初島沖は港の近くでキンメ・アカムツ・アコウなどが狙える深場釣りの宝庫
3月10日(金)午後12時半過ぎに出船。折からの寒気も一変して、気温も20℃近くまで上昇し、絶好の釣り日和となりました。
港から30分ほどで釣り場に到着。沖に浮かぶ初島と真鶴半島および湯河原を挟んだトライアングルがメインのポイントです。ここ湯河原沖は港前からドン深の海底を形成しているため、近場で深場釣りが楽しめるのが魅力です。期待がますます高まるなか、船長から仕掛け投入の合図!
水深は390m。勝手知ったる場所だけに仕掛け投入もラクラク。あとは着底を待つのみ。すぐ横では船長も竿を出しています。そして第一投目の後の喫煙タイム。オモリは300号なので、仕掛けは約80m/分で沈降します。つまり、着底までに5分ほど時間を要するため、ちょうど一服を終えた頃に底ダチを取るタイミングとなるのです。
湯河原の街並みや真鶴半島、彼方に望む箱根の山々など風光明媚な景色を眺めて、船上で過ごすひと時はまさに至福の時間です。神奈川県でも温暖な気候に恵まれた湯河原ですが、さすがに海上では肌寒さも感じるため、防寒着は必須ですよ。
道糸はスルスルと海中へ。そしてリールのカウンターが数字を重ねていく様子を横目に、大自然のなかで釣りを満喫できる幸せにしばし浸ってしまいました。
タックルと仕掛け
さてタックルのご紹介です。当日はキンメ・アコウ狙いで300~500mの深場狙いのため、深場用のタックル構成。ちなみに竿は剛樹のGハンティング180にリールはダイワのシーボーグ800MJ。どちらかいうとクエやカンパチ等の泳がせ釣りに使われることが多いタックル構成ですが、深場でも十分対応は可能です。
ここ真鶴~初島沖の海域は豊富な漁場に恵まれ、クロムツやアカムツ・キンメを狙う中深場釣りから、ベニアコウやアブラボウズといった超深海釣りまで楽しみ方もさまざま。中深場の場合はライトタックル、超深場の場合はオモリ負荷500号以上のヘビータックルを用意する必要があります。
また仕掛けの投入は掛け枠よりも、マグネット板を使用するかポイントに着いたら船べりにエサを並べてオモリを投げ込むスタイルがおすすめです。とかく深場釣りでは仕掛けの投入がキモですが、他の客に気兼ねなく、マイペースで仕掛けを投入できるのは何より有り難いですよね。
仕掛けは8本針で、ミキイトは16号・ハリスは10号。ハリはこれまで最も実績の高いオレンジ系や赤系のネムリムツ針を使用します。ハリスの長さは90cmほど取り、枝針の間は120cmですから合計で10m近い長さです。
この仕掛けを1セット作るのに私は約4時間ほど要しています。深場釣りの仕掛け作りは、何かと面倒な作業ですが、たまたま作り置きが3セット備蓄があったので、使わない手はない!と一念発起したのが今回の釣行のきっかけの一つです。笑
たぶんネットや釣具店で購入したら、1セット3,000円以上はするのではないでしょうか!?
当日は午後からの半日釣りとはいえ、仕掛けの投入はおそらく4~5回。基本深場釣りでは1投ごとに仕掛けを交換しますが、ミキイトにキズさえなければ枝バリを交換するだけで済むので、半日釣りならば仕掛けは3セットあれば十分でしょう。
エサ
付けエサはカツオのはらんぼうとイカの短冊を用意。キンメやアコウなど深場釣りでは最強のつけエサではないでしょうか!?久しく自宅の冷凍庫に眠っていたものを前日から解凍して使用します。
ちなみにイカの短冊は、赤や緑に着色を施していませんが、個人的には着色しない方が食いが良いかと思います。こればかりは個人の好みかもしれませんね。最初の一投はカツオのはらんぼうとイカの短冊を交互に付けていきます。
ちなみに船長もかつおのはらんぼうを使用していますが、船長曰く「なるべく新鮮なもの」であれば、サバやサンマの切り身など何でも食ってくるということです。
基本的にフラッシュランプ等は付けませんが、エサを付けた後に縦に半割りしたタコベイトをランダムに付けます。とくにアコウ釣りではアピール力を高めるので効果絶大ですよ。とくにオレンジ系や赤金ラメ系が実績があるようです。
実釣!
オモリが着底したら糸フケを何度か取り直し、底トントンでアタリを待ちます。オモリがトントンと底を叩くような感じ。波による船の上下動によって、道糸に弛みが出来て竿先が一直線になったり、大きく曲がったりを繰り返します。典型的なアコウダイ釣りのスタイルです。
しばらく緊迫した時間が続きますが、アタリが無く1流し目は不発。すかさず船長からポイント移動の指示が出ました。船は真鶴半島寄りに向けて航行します。次のポイントの水深は320メートル。船長から、底付近を狙うようにとのこと。底トントンから底ベッタリに変更します。
すると、小さなアタリが頻発。明らかに本命ではない感じ。船長曰く「良い感じの潮なんだけどね~」このひと言を信じて、さらに道糸を送り込んで本命からの魚信を待ちます。10分ほど粘ったものの、結局2流し目は深場釣りの外道の定番、トージンが釣れたのみでした。
すでに午後3時過ぎ。太陽もだいぶ西に傾き、少し波っ気も出てきました。船長、意を決したかのように岸寄りに船を走らせます。水深は340メートル。先ほどと同様、底ベッタリで狙います。しばらく待っていると、竿先がグィーンと大きく海面に突っ込みました。
Wowwwww!
限りなく本命っぽいアタリの到来です!すかさず道糸を送り込みます。この時点で、心臓はバコバコと鼓動し始めています。10分ほど粘りに粘った末、リールを巻き上げました。竿先は大きく孤を描き、時折ガクガクと揺れています。
中低速で巻上げ途中で途端に抵抗感がなくなりました。これぞアコウダイ独特の引きですね。アコウは水圧に弱いため、水深が浅くなるとただ浮かぶだけで巻き上げも急に軽くなるのが特徴です。リールのカウンターもあと50メートル。そして、
道糸を手繰っていくと、沖にぽっかりと真紅の魚体が浮かび上がりました。
後検量で2.5kgの立派なアコウダイ。とりあえず今回のミッション・コンプリート!
ほっと一息入れて、意気揚々と次の流しを試みます。さあ、これからが本番!と気合いは十分だったのですが、30分ほど経つと風が強くなりウネリも出はじめ、海況がみるみると一変してしまいました。結局、午後4時半に沖上がり。
とはいえ、久しぶりにGETしたアコウダイに大満足!貴重な釣果は、これまでたくさんの良い思いをさせて頂いた御礼にと船長に献上しました。
概況
真鶴南沖~初島沖の深場釣りは、これからが本番!クロムツやアカムツ・キンメなどライトタックルで狙うのも良し、キンメやアコウダイなど深場釣りも良し、そしてベニアコウやアブラボウズなど超深場釣りもまた良し、とさまざまな深場釣りが楽しめます。
また、港から約30~40分ほどの近場で深場釣りが楽しめるのも魅力!こんな場所は全国広しといえどもなかなかないですよね!?大陸棚の影響で豊富な漁場を形成している、ここ湯河原の海はいろいろな釣りが楽しめるおすすめスポットです。
都内からのアクセスも良く温泉や観光も楽しめるので、ぜひ一度お越しになってはいかがでしょうか!?
湯河原福浦港へのアクセス
湯河原町は神奈川県の最西端に位置する町です。北の隣りは真鶴半島、そして南の隣りは温泉で有名な熱海。電車など公共の交通機関での釣行ももちろん可能ですが、観光など自由に楽しむには車での釣行が断然おすすめです。しかも都内からもアクセスは抜群!
都内からは、西湘バイパスおよび小田原厚木道路を経由して国道135号へ入るルートが一般的です。最近は近隣の道路も整備され平日祝日問わず渋滞しないため、都内からも2時間ほどで来ることが可能です。
また箱根や湯河原、熱海の温泉でのんびりしたいとか、観光も楽しみたいと考えている方は最適です。釣りと観光を両方楽しむなら、ここ湯河原がおすすめです!