7月後半に娘とふたりで焼肉デート!お酒も進み、話が弾んでいくうちに、突然娘が切り出した…。
釣り行きた~い!
Wowww!!釣りバカの自分にとっては、まさに当意即妙の金言である。
もともと娘とは子供の頃から、家族サービスを「大義名分」によく一緒に釣りに出かけたものである。そのせいか、娘はイソメ類は平気で触れるし、活魚なども当たり前のようにつかめるのだ。
もっとも、釣りバカ親父のDNAをちゃんと受け継いでいるのかもしれない。でもって…
真っ先に頭の中に浮かんだのは、東京湾のマダコ釣り!
かねてから、東京湾の江戸前のマダコ釣りに行きたいと思っていた矢先に、マダコ釣りで有名な乗合船が羽田から出船しており、且つ娘の自宅が大田区という3条件が見事にマッチングしたのである。
これは行くっきゃないでしょう!!
ということで、8月中旬のお盆真っ只中に父娘によるマダコ釣りが決行される運びとなった。
釣りバカ親父としては、チョ~久しぶりに可愛い娘との釣行に胸躍らせ、準備に余念がない日々。釣行当日まで毎晩眠れぬ夜を過ごすこととなったのだ。苦笑
そして、いよいよ当日の朝を迎えた。
「さぁ、頑張りまっしょい!!」

東京湾の夏の風物詩、江戸前のマダコ釣りを父娘で挑む!初心者でも手軽に楽しめるタコエギでキロオーバーの良型マダコをGET!!
今回お世話になったのは、大田区羽田にある船宿かみやさん。都内では有数の老舗の船宿で、夏場のマダコ釣りをはじめタチウオやアジ、シロギス、アナゴや、冬場はカワハギからアマダイ等の中小物釣りが楽しめる人気船。
なかでも梅雨から夏期にかけてのマダコ釣りはトップシーズンを迎え人気の高い釣り物で、連日多くの釣り人で賑わうため、早めに予約を入れておくのがおすすめだ。
さらに同船の魅力は羽田空港至近に立地しており、京浜急行空港線の穴守稲荷駅や天空橋駅から徒歩で約10分というアクセスが抜群に良いことである。
しかもJR蒲田駅から毎朝送迎バスが運行しており、公共の交通機関を利用する釣り人にとっては何とも至れり尽くせりの遊漁船といっても過言ではないだろう。こうしたサービスはとくに首都圏の釣り船に今後ますます要望したいものである。
マダコ釣りの出船時間は7時。
当日は自宅から始発に乗り、JR➞京急へ乗り継ぎ、ほぼ予定通りの6時過ぎに穴守稲荷駅へ到着。
こんな早朝に羽田空港へ向かうのは会社員時代の出張以来だろう。時節柄京急の車内はスーツケースを持った観光客やインバウンド外国人でごった返している。
一方の娘といえば、何と船着き場まで自転車で10分程度でアクセスできるらしい。なんとも羨ましい限りだ。
穴森稲荷駅で下車し、途中セブンイレブンで飲み物や食糧を調達して目的地まで歩くことわずか6分。「かみや」という大きな看板と多摩川沿いの土手を超えて船着き場が見えた。
川べりに突き出た桟橋に横並びに3隻の船が係留され、夏休み最後の土曜日とあってか大勢の釣り人で賑わっている。タチウオ、アジ、そしてマダコと各々の釣り物の看板が目印となっている。
釣り座は先着順(早い者勝ち)!!
左舷トモ寄りの2~3番が空いていたので、すかさずクーラーボックスやタックルケースを置き釣り座を確保できた。「早起きは三文の徳」とはまさにこのことだ。
受付を済ませ再び船に乗り込みタックルの準備をしていると娘から「到着した」とのLINEが届き、無事に娘と合流することができた。
じつは、娘にとって今回は船釣りデビュー戦である。もっとも小学生の頃に葉山のボート釣りや大学生の時に山中湖のドーム船のわかさぎ釣りに出かけたことはあるが、本格的な遊漁船に乗って釣りをするのは初めてなのだ。
そのせいか、彼女はどことなく緊張と興奮気味の面持ちである。
ほぼ定刻の午前7時に河岸払い。船は後退した後、羽田空港を横目に多摩川の河口をゆっくりと東京湾へと繰り出して行くのであった。

当日のタックルについて
東京湾のマダコ釣りは、おもにテンヤによる手釣りとタコエギ釣りの2つの釣り方がある。
江戸前のタコ釣りというと何となくカニ餌で狙うテンヤ釣りを思い浮かべるが、現在は初心者でも簡単に楽しめるタコエギ釣りが主流である。実際、当日も9割以上の方がタコエギ釣りで、釣果を伸ばしていた。
かみやさんでは、タコエギ釣りのタックル(竿+リール)は500円でレンタルしており、タコエギやオモリ等の仕掛けさえ持参すれば釣りが楽しめる。ちなみにテンヤ釣りはカニ餌付きで無料で借りられる。当日は、娘用にタコエギ用のタックルを1本レンタルし、自分は横着して7月に玄界灘の夜焚きイカ釣りで使用したタックルをそのまま転用した。
レンタルタックルは、長さ1.8m前後でオモリ負荷30~60号のライトゲーム用竿に小型の両軸リール。道糸はPE3号が100メートルほど巻かれている。そして、
いちばん肝心なのはタコエギのカラー(色)と大きさ(号)だ!
タコエギはピンクとオレンジ、レッドヘッドを中心に、3.5~4号サイズをアマゾンで各種取り揃え、玄界灘の夜焚きイカで実績のあったエギを2個付けして使用。
オモリはタコエギ用の保護オモリ25号で、タコエギとイカ釣り用のエギ釣りをダブルスナップで2個付けするという、タコエギ釣りではもっともポピュラーな仕掛けである。
また自分のスピニングタックルには、前日に地元の肉屋で購入した豚の背脂をエギに巻き付け、さらにその上にコマセカゴを取り付けて集魚(集蛸)を目論むという姑息な戦法だ。父親にとって、娘に良いところを見せたい、という強い思いが募ってのこと。ところが、これがまさか裏目に出るとは思いも寄らなかったのである。

実釣開始!!
出港後およそ20分ほどでポイントに到着。船は左舷にアクアラインの風の塔を彼方に臨み、しばらく潮回りしてから停止した。ちょうど川崎扇島辺りの岸壁の真沖である。
「はい、どうぞ」という船長の掛け声とともに、皆一斉に船べりから身を乗り出すように仕掛けを落とす。
まず最初に娘に釣り方のレクチャーからはじめる。仕掛けの投入から、着底したらすぐにリールを巻いて、小刻みに竿先を上下させてエギが踊っているようにタコにアピールしよう、なんて…。こんな時こそ、父親として唯一存在意義をしみじみと味わえる瞬間なのかもしれない。
まあ、マダコ釣りは初心者でも比較的カンタンだし、としばらく娘の様子を確認してから早速自分も釣りを開始。
水深は15~20メートルといったところで浅場だが、根がかりには注意が必要のようだ。
すると、さっそく左舷ミヨシ(舳)でキロ弱のマダコが取り込まれた。
Wowww~その様子を眺めていた娘も大興奮!これまで以上に竿を大きくシェイクし始めた。がぜんスイッチが入ったようである。
その後船は川崎の湾岸沿いにポイントをこまめに変えながら、その度にぽつぽつとマダコが取り込まれていく。
本命マダコがヒットしたら、大声で「キター!」とか「入った-!」とか声を掛け、仲乗りの若船長にタモ(玉網)で掬ってもらうのだ。

そして、ついに運命の時が…
実釣開始から1時間ほどが過ぎ、船は京浜工業地帯の岸壁沿いを転々と攻めてゆく。橋げたなどの障害物があり、いかにもマダコが好んで生息していそうなポイントである。
しばらくすると、横から唸り声が…。
「ううっ、お、重~い!」
見ると竿先を満月のように曲げて、娘が必死の形相でリールを巻いている。確かにリールは巻けているのだ。思わず私は声を上げた。
『キターっ!!』
間髪入れず、若船長が飛んでやって来た。
「巻いて、巻いて、ゆっくり巻いて~」という若船長のアドバイスに従い、固唾をのんで見守るなか…
やがて水面に現れたのは、良型の本命マダコ!!
やったー!!
無事にタモ入れされ、船上親子で興奮状態に包まれた中でのキロオーバーのマダコである。
娘曰く「やっぱ私、運が良いわ~!」
父曰く「ビギナーズラックだね!?」
娘曰く「それって、どういう意味?」
父曰く「・・・」

後半戦は横浜方面へ!
陽が高くなるにつれて、船はどんどん南下して横浜方面へと移動する。
あれよあれよという間に、ベイブリッジの下をくぐり、先日花火大会で事故が起きたベイサイドエリアまで到達。
巨大なクレーンが林立する埠頭や大きな倉庫群がひしめく眼前の光景に圧倒され、思わずため息が出てしまう。洋上から眺める白昼の横浜の街並みもまた格別である。
こうした中、船長は転々とポイントを探り続けながら岸壁の際まで接岸させたりして、ぽつぽつとマダコが上がるといった拾い釣りの展開であるが、いかに釣らせるかを考えてくれているのが理解できる、釣り人にとっては大変ありがたい船であると思った。
娘も成功体験がすっかり身についただけあって、キャスティングからロッドアクションまで、だいぶ板について着いてきたようだ。
しかし一方の私は、照り付ける陽光と日頃の運動不足でもはや意気消沈気味となりつつあったといっても過言ではなかった。

いよいよ終盤…左舷ミヨシではツ抜けも
正午を回り、船は大黒埠頭から京浜運河の岸壁沿いをこまめなポイント移動を繰り返し、丹念に攻めてゆく。その間にポツポツとマダコは上がっているものの単発で、連釣のような盛り上がりにはいささか欠ける状況だ。
そんな中、左舷ミヨシの老練の釣り師だけがひとり、続々とマダコをコンスタントに釣り上げている。
昼過ぎの時点で、何と既にツ抜け達成しているというのだ!どうやら彼は常連客らしいが、周りの釣り客からも「なんで彼ばかり、アタるのか!?」と不思議がられていた。
まるでタコ釣り名人だね~!!などと娘と噂しながら、自分も懸命に竿をシャクって何とかオデコ脱出を試みるが、一向にアタリすらない・・・。
午後2時を過ぎ南風も出て海面も少しザワついてきたが、実釣への影響もなく、むしろマダコ釣りには良いコンディション。船は川崎の扇島の堤防沿いまで来ており、いよいよラストスパートの段階だ。
あと、もう一匹釣りた~い!!
さすが「体育会系」女子だけに、娘は最後まで諦めず無我夢中で竿をシャクり続けている。彼女のファイティング・スピリットに、だらしない親父はただただ恐れ入るばかりであった。
当日のヒット・タコエギ!
さて、当日のヒットしたタコエギを注意深く観察してみたので、ぜひ参考にしていただきたい。
まず注目すべきは、赤✖黄系!
今回娘が釣り上げたマダコも、先月玄界灘の夜焚きイカ釣りで大いに活躍した赤×黄のエギにヒットしている。しかも、大艫の方や左舷の常連師たちも相当な確率で赤×黄系のタコエギに食わせていた。
とくに、ピンクやオレンジ系の定番カラーのタコエギと抱き合わせで使用することによって効果が倍増していたようである。
あと、ベンチマークしたいのが集タコ用のスプレーである。
これはマダコが好むエキスをスプレー状に噴射してタコエギに沁み込ませ、タコを寄せ付ける効果があるとされているいわく付きの商材だ。それ故私自身半信半疑であったが、当日左舷の釣り客が本商品を使用して釣果を伸ばしていた。

娘と過ごした楽しい夏の思い出!!
帰港後、しばらく娘と談笑しながら船宿までのわずかな道のりを歩く。娘は早くも、
またリベンジした~い!!
などと上気した声でいう。おいおいリベンジするのはパパの方でしょ…などと心の中で叫びつつ、何より娘が初めての船釣りで見事に良型のマダコを釣り上げたことに胸を撫で下ろす。
なぜなら、こうしたケースこそが釣りにハマっていく入り口だからだ。娘が今回の釣行での成功体験で船釣りにハマってくれれば、父親としてはしてやったりなのだ。
きょうは楽しかったよ~♪と保冷バッグの中に入れた大きなマダコを携え、自転車で去っていく娘の後ろ姿を見守りながら、私は約1時間半という帰途に着くべく送迎バスに乗り込んだ。
途中地元の焼き鳥屋で焼き鳥を5本買い、家に帰り冷たいシャワーを浴びて、つい先日娘から誕生日プレゼントでもらった「佐藤黒」を開封した。
早起きしたせいか、たちまち睡魔に見舞われる。そのうち娘からLINEで、さっそくマダコを調理した写真が送られてくる。
タコ焼きと、生タコの刺身、タコぶつ・・・どれも美味しそう!!
きょうは、良い日だったな~♪
いつの間にか、ひと夏の楽しい思い出とともに夢心地になった。

羽田船宿かみやのご紹介
今回お世話になった羽田のかみやさんは、京浜急行空港線穴守稲荷駅や天空橋から徒歩約10分という好立地で、首都圏内ではアクセスもすこぶる至便である。しかもJR蒲田駅から送迎バスも運行しているため、公共の交通機関で行くことができる数少ない釣り船だ。
ちなみに、帰りはJR蒲田駅までの経路であれば、京急蒲田駅や糀谷駅で途中下車することもできて、融通も効かせてもらえるのが嬉しい。
夏場はマダコをメインに、タチウオやアジ、シロギスなど東京湾ならではの旬の釣り物を中心に、通年でアマダイやスルメイカ、スミイカなども狙っており、リクエスト乗合も行なっている。
実際に、はじめて乗船させて頂いた感想は以下の通りである。
1)全員に釣らせようとする船長の操船と心意気。あとは仲乗りの若船長の親切丁寧な対応
2)沖上がり後一人一人に釣果を聞いて、正確な釣果情報をHPに反映している姿勢
案外多くの遊漁船ではないがしろにされている部分だと思うが、此等を徹底していることから、とても信頼性の高い船宿であると認識した。
ぜひ、また来夏のマダコ釣りをリベンジしたいと強く願っている!
それにも増して、娘との貴重な夏の思い出作りを楽しませて頂いたことに、ただ感謝する次第である。
ありがとうございました!
⛵羽田かみや
電話:03-3742-6904
住所:東京都大田区羽田3丁目22-3
https://www.haneda-kamiya.com/
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