アジフライにアジの干物やアジのたたきなど、日本全国で釣りをしないあまたの人たちに多く食されている大衆魚・アジ。
しかし、東京湾のアジは別格。近年では「黄金アジ」とも呼ばれるほどのブランド魚で、マアジのなかでも金色に輝き、大型で脂がたっぷり乗っており、釣り人の間でも大人気のターゲットです!
そもそもブランド魚といえば、大分県佐賀関で釣れる関アジ・関サバが元祖ですが、現在では東京湾で釣れる「黄金アジ」も市場価値の非常に高い高級魚。黄金色に輝いた綺麗な魚体はキロ3,000円ほどの値がつくほど。しかも、
5~8月にかけて黄金アジを釣る絶好のシーズン!
すでに千葉県や神奈川県の各船から続々と好釣果の報告が入っています!
盛期を迎えたこの時期は初心者でも簡単に釣ることが出来て、大型の黄金アジをGETするチャンス!
では実際に、どこで・どのように釣ったらイイのか!?
そこで今回は、脂の乗った黄金アジを釣るためのタックルや仕掛けと、釣り船について基本的な事項を解説します。ついでに黄金アジを食べられるお店もご紹介しますので、併せてご覧ください。
マアジと黄金アジについて
マアジは北海道から九州までの沿岸域を回遊し、日本では古くから庶民に愛されてきた代表的な魚です。一般的に「アジ」と呼ばれるものはマアジ(真鯵)のことで、鮮魚だけでなく干物や総菜など加工食品としても重用されてきた魚です。
鮮魚としては刺身やなめろうだけでなく、いわゆる「光り物」としての寿司ネタや江戸前の酢で締めた押し寿司などが有名で、比較的安価である上に老若男女問わず万人受けする味わいの大衆魚です。
近年釣り人の間で人気の高い釣り物である「黄金アジ」はマアジのことで、東京湾の一部のエリア限定で釣れるブランドアジを指します。黄金アジは潮の速い海域を回遊するため、体色がキラキラと金色に輝き体高と幅があり、身の締まりや脂の乗りは抜群!
周年狙うファンも大勢いる黄金アジが釣れるのは、東京湾のなかでも千葉県の富津沖や金谷沖、神奈川県走水沖から久里浜沖とごくわずかのポイントに限られます。
黄金アジ釣りの盛期は5月~8月の初夏から夏場にかけて。
例年この時期になると、沿岸の遊漁船が一斉に黄金アジを狙うため海上には大きな船団が出来ます。
アジ釣りの魅力は初心者でも手軽に釣れて数も釣れること!しかもこの時期40センチオーバーの大型も珍しくありません!!
東京湾の黄金アジ釣りは出船時間が7時から8時と遅め。一部の船では午前船・午後船の2便があり、朝が弱い方でも安心!また女性や子供、初心者にはレンタルタックル(貸し道具)仕掛けもあるため、家族連れやグループで楽しめる釣りです!
初心者が船釣りを始めるには、時期的にも最高の釣りです!
黄金アジの釣りシーズン展望
今年も4月中旬頃から黄金アジが爆釣中!
良い日に当たれば、トップで50尾オーバーなんてことも!!とにかく船酔いさえしなければ、ツ抜け(10尾以上)達成はほぼ確定。しかも型は30cm前後が主体で、たまに40cmオーバーの超大型も顔を見せているようです。
とはいえアジは群れで回遊しているため、日によって釣果にムラがあることも否めません。
そこで、エリア別の現在の黄金アジの釣況と今後の展望についてご紹介します。釣り場自体はいずれも東京湾ですが、ポイントによって微妙に釣り期が異なるためサマリーしてみました。
お住まいの場所やご予定等を勘案した上で、ぜひお出かけになってはいかがでしょうか!?
黄金アジ釣りの楽しみは、釣る✕料理する✕食べる!
ぜひこの機会に、脂のたっぷり乗ったブランドアジ・黄金アジに舌鼓を打ちましょう!
タックル・仕掛け
東京湾の黄金アジを釣るためのタックルや仕掛けは各エリアにおいてほぼ共通です。
盛期の黄金アジ釣りは基本的にビシ釣り!
ビシ釣りとは、「ビシ」と呼ばれるコマセを入れるカゴにオモリとテンビンが一体となった仕掛けに、2~3本針の吹き流し釣りで狙う釣り方です。
ここでは黄金アジ釣りの基本的なタックルと仕掛けをご紹介します。
■タックル
5月現在、アジの活性も総じて高く、釣れるタナも10~40mと徐々に浅ダナになっています。このため、竿&リールのタックルもライトタックルで十分釣ることができます!ただし時期や釣況次第では狙うタナが異なるため、オモリの号数等異なる場合があります。
竿はビシ釣り用の1.5~2mの短めの竿に、リールは小型の電動リール。道糸はPEライン2号以内で細めのものがおすすめです。
女性やお子様・初心者にはレンタルタックル(無料)もあるので安心して楽しめます!
また、5万円台でビシ竿と小型電動リールのセットも販売されています。ワラサなどの青物やアマダイ釣りなどライトゲームにも使えるので、コスパ重視の方にはおすすめですよ!
■仕掛け
アジ釣り用ビシはアンドンビシと呼ばれ、コマセとなるイワシミンチを入れるカゴです。オキアミを入れる鉄仮面やプラカゴとは異なるので注意しましょう。アンドンビシにはオモリのサイズが40号から150号まであります。
現在は、40~130号のアンドンビシを使用します!
アンドンビシは大抵船宿で無料で貸出してくれるので釣行前に確認しておきましょう。
ビシの先に太さ1.2~1.5mm、長さ30cmのクッションゴムを接続します。アジの口は弱いため、口切れするのを軽減するためです。
クッションゴムの先にハリス長1.5~2mで枝スを10~20cmとりムツ針10号2~3本針で狙うのが基本です。またチモトに緑やピンクの夜行ビーズを付けておくと良いでしょう。
もちろん市販の仕掛けでOK!初心者は2本針で針数を少なくするのがおすすめです。
エサ
つけエサは赤短(アカタン)です。赤短はイカの短冊を食紅で赤く染めたもので、東京湾の黄金アジ釣りのメインのエサとなります。
赤短は船宿で支給してもらえます。乗船料に含まれているのでご安心ください。
そのときの釣況によって赤短は5ミリ~1センチ角にカットします。あまり大き過ぎると食いが悪くなるので注意が必要です。そして、
特エサとして青イソメを必ず用意しておきましょう!
青イソメは1センチ程度にカットしチョン掛けします。
ベテランの方のなかにはサバの切り身などを用意する方もいますが、赤短と青イソメの2つがあれば、東京湾黄金アジ釣りのエサは準備万端です。
基本的な釣り方と攻略法
■釣り方
つけエサを付けたら、アンドンビシにイワシミンチを8分目ほど詰めて仕掛けを投入します。コマセをビシにたくさん詰め込み過ぎるとコマセの出が悪くなるので注意しましょう。
まずは船下に魚を集めるように、なるべく待ちの時間を短くして船中全員で積極的にコマセを撒くことが重要です。とくに
黄金アジ釣りではタナ取りが大切です!
正確なタナの取り方は、まず道糸の立ちをよく見ること。道糸が斜めになればなるほどビシが流されている証拠です。ビシが指示ダナに到達したら、すぐにタナ取りするのではなく、こまめに道糸を巻いてイトが垂直の状態に馴染むのを待ってからタナを切ることがポイントです。
アジは群れで回遊する魚です。群れが船下に止まったら入れ食いタイムに突入!しかし群れが抜けるとポツポツと拾い釣りになりますが、こんな時こそ大型のアジが食ってくるので油断は禁物です。
大型が食ってくるパターンは朝一番と9~10時。中アジに混じって玉網入れクラスの大型の黄金アジもきっと姿を見せるはずです。
■攻略法(釣果を伸ばすコツ)
釣行当日の真ダナ・ヒットパターンを素早く見つけることが釣果を伸ばす最大のコツです!
船長の指示ダナで、コマセを振った直後にアタってくるケースが多いので、待ち時間はなるべく短めにして手返しを早めるのが良いでしょう。ただし大型のアジはじっくり待った方が良い場合もあるので、釣況に応じて判断ください。また、
掛かってくるのが上バリなのか下バリなのかを見極めることが大切!
上バリばかりにアタリが集中するときは、活性が高くコマセに突っ込んで来ている可能性が高く、そんな時は手返しを早めたり、タナを少し上げてみたりするなどの工夫をすることによって釣果が伸ばせる確率が高くなります。
それでは、黄金アジ釣りの腕利き船長にヒヤリングした内容を踏まえた上で、各地域の黄金アジ釣りのポイントについて解説します。
エリア別釣況とポイント
■内房金谷沖
①釣況とポイント
千葉県内房金谷沖は黄金アジ釣りの盛んな場所です。そもそも千葉県金谷といえば乗っ込みクロダイで有名ですが、いまでは「黄金アジのメッカ」として連日のように大勢のファンで賑わっています。
また都内から2時間程度とアクセスも良く、東京湾フェリーも発着しているため神奈川方面からのアクセスも良いのが魅力です。
現在釣況は連日入れ食い状態が続き絶好調!トップ30尾超の日もあり平均10尾前後と数釣れています。金谷沖の黄金アジは型が大きいのが特徴で、50センチ近い超大物サイズもガンガンと竿を曲げているようです。
とにかく船長の指示ダナに忠実に狙えば釣果は手堅い!!
全般的に活性も高く、ポイントは金谷沖の水深20~30メートルで底から2~3m上げた付近が黄金アジのタナになります。ビシのオモリは40号をメインに使用しますが、潮が速い場合があるため重めに切り替える策も必要です。
金谷沖のアジ釣りは8月頃までメガサイズの黄金アジが楽しめそうです。レンタルタックルもあるので家族連れやカップル・グループでぜひチャレンジしてみてください!
➁内房・金谷でおすすめの黄金アジ船
内房・金谷沖のおすすめのアジ船をご紹介します。釣り方や仕掛けなど詳細は事前にチェックしておきましょう!
■南房洲崎沖
①釣況とポイント
東京湾口に位置する洲崎沖はイカやイサキといった好漁場ですが、アジ釣りでもホットスポットです。現在の釣り物はマダイやイサキ釣りがメインですが、一部の船はアジとイサキやイカなどのリレー船もあり、欲張りな方におすすめです。
出船場所は館山や勝山などで都内からは3時間前後とやや遠くなりますが、温暖で風光明媚な南房総の観光とセットで釣りやレジャーを楽しめる場所です。
黄金アジの釣り期は内房金谷沖よりもやや遅めで6月から8月頃にかけてが盛期となります。
ポイントは洲崎沖の50~120メートルと深場で底から5m前後がアジのタナです。盛期入ると浅くなりますが、ビシは60~130号と重めのタックルが要求されます。
洲崎沖のアジ釣りもタナ取りが肝心!入念なコマセワークによって入れ食いタイムを創出し、追い食いをさせることが釣果アップのコツです!
また深場を狙うため、入れ食いタイムの貴重な時間にオマツリするとチャンスロスが発生してしまうので仕掛け等の扱いには十分注意しましょう。
➁南房洲崎沖でおすすめの黄金アジ船
南房洲崎のおすすめのアジ船は以下の通りです。詳細は各船宿にご確認ください。
■東京湾走水沖
①釣況とポイント
神奈川県横須賀寄りに位置する東京湾走水沖のアジは、内房の金谷と並ぶ黄金アジ釣りのメッカです。「走水」という文字の通り潮流の速い海域で、「走水の大アジ」といえば体高があって肉厚のブランドアジ!黄金アジを求めて一年中多くのアジ釣りファンが通います。
都内から1時間半ほどとアクセスも良く、出船時間も遅めのため京浜急行やJR横須賀線といった電車での釣行も可能です。乗合船については午前船・午後船と2部制の船宿も多いため、朝が苦手な方でも安心して出かけられるのが嬉しいですね!
今年も開幕当初から好調なスタートを切り、例年8月いっぱいまで盛期が続く見込みです。連日トップ40尾オーバー、平均15尾前後の釣果が続いています。25センチ前後がアベレージサイズですが、大型タイムに突入すると40センチオーバーの良型の連発も。
ポイントは港を出てわずか5分ほど。走水沖の水深30~50メートルで2~3mほど底を切った付近がアジのタナです。
走水沖は潮流も速いため、ビシのサイズは大きめの130~150号というビシアジスタイルが主流です。もちろんライトタックルで狙う方もいるようですが、オマツリを回避するにはオモリは重めが有利です。
現時点では、午前船の方が午後船よりも数・型ともに有利!これから大型が狙えるシーズンに突入するため今後ますます期待大です!
➁東京湾走水沖でおすすめの黄金アジ船
三浦半島走水沖のおすすめのアジ船の船長は強者揃いです。各船宿にご確認の上ご予約ください。
■横須賀観音崎~久里浜沖
①釣況とポイント
神奈川県横須賀市の観音崎沖は走水に隣接したエリアで、鴨居~久里浜沖にかけてがおもなポイントです。黄金アジ釣りでは走水に次ぐ人気を誇り、
電車でのアクセスが抜群に良いのが魅力!
とくに久比里港は、京浜急行久里浜駅またはJR久里浜駅から徒歩5分程度で行ける好立地ですので、クーラーボックスひとつで手軽に行けて、家族連れをはじめ高齢者の釣りファンまで大人気のスポットです。
釣れるアジのサイズは走水にくらべるとやや小ぶりですが、日並み次第ではトップ60尾オーバーと数狙いの方にはおすすめです!
ポイントは走水に隣接した観音崎沖から鴨居・久里浜沖の水深30~80メートル。ビシは130号~150号と典型的なアジビシスタイルです。もちろんレンタルタックルや仕掛けもあるので、かならず事前に予約しておくこと。
基本はタナ取り重視で、こまめなコマセワークと追い食いを狙って釣果アップを目指しましょう!
➁横須賀観音崎~久里浜沖でおすすめの黄金アジ船
横須賀観音崎~久里浜沖のおすすめのアジ船は以下の通りです。詳細は各船宿にご確認ください。
■三浦半島剣崎松輪沖
①釣況とポイント
三浦半島の剣崎松輪沖といえば言わずと知れた船釣りのメッカ。とくにこの時期はマダイを筆頭に大勢の釣りファンで賑わう場所です。なかでも「松輪サバ」は松輪港で水揚げされるマサバで、大分県佐賀関で獲れる関サバと並ぶ高級ブランド魚として有名です。
近年では松輪港で水揚げされたマアジもにわかに脚光を浴びています!
先述した走水や観音崎よりもややアクセスは難点がありますが、東京湾口に位置する松輪沖は潮通しも良く豊富な漁場を有しており、恰好のアジ釣り場。
5月現在は乗っ込みの大型マダイ釣りが活況を呈しておりアジを狙う船は少ないですが、今後はマアジを狙う船も増えてくる見込みです。またマダイと並行して2隻出し、3隻出ししている船宿も多いので念のため確認してみると良いでしょう。
ポイントは松輪沖の水深40~90メートルと深めで底から3m前後がアジのタナです。ビシは130~150号とアジビシスタイルが基本。釣り方は走水や観音崎沖とおなじです。
また一部の船では、釣れたアジを活きエサにして泳がせ釣りでカンパチやワラサなどの青物を狙っている船もあるようなので、大物を狙い方にはおすすめです。
➁三浦半島剣崎沖でおすすめの黄金アジ船
三浦半島剣崎松輪沖のおすすめのアジ船は以下の通りです。詳細は各船宿にご確認ください。
黄金アジの美味しい食べ方
アジが釣れたらクーラーボックスに即投入して氷締めするのが基本です!
もし30cmオーバーの良型が釣れたら、
その場でエラ・腹ワタを抜いて血抜きするのがベスト!さらに持ち帰ったら冷蔵庫で1~2日寝かせると、脂の乗りが抜群で身に脂が馴染んだ刺身は最高ですよ!
つまり、釣り上げた段階でアジを各々どのように料理するか!?を考えた上で、船上で処理しましょう。
アジ釣りは何かと忙しい釣りですが、とくに大型の黄金アジを美味しく食べるためには、実釣しながら適正な処理を施すことが大切なのです。
美味しいアジ料理のお店のご案内
さて、東京湾の美味しい黄金アジを釣りたい!と感じていただけたでしょうか!?
ここでは今回ご紹介した美味しい黄金アジを食べられるお店をご紹介します。刺身、たたき、なめろうや鉄板のアジフライ、アジの天ぷら、干物、南蛮漬けなど、どう料理しても美味しい魚です。
「黄金アジ」を食べてみたい!釣りには行けないけど食べたい!釣りの帰りに食べに行きたい!など、さまざまなご要望にお応えして美味しい黄金アジが食べれるお店をご紹介します。
千葉県では、今回ご紹介した金谷にある「はまべ」さんは、テレビ東京の孤独のグルメに登場したアジフライの有名店で行列の絶えない人気店。同じ金谷にある「さすけ食堂」さんもおすすめ。さすけ食堂さんは、アジのなめろうも人気の一品ですよ!
神奈川県も、松輪港近くの「松輪」さんは黄金アジだけでなく海鮮料理が堪能できる店。走水港にある「味美食堂」さんも、アジのフライや刺身、地ダコ料理などレパートリーも豊富です。また横須賀中央にある「地産地消居酒屋漁師小屋」さんでは釣ったアジを持ち込んで料理してもらうのもOKです!
黄金アジの釣りや料理など楽しみ方はさまざまです。ぜひ今年こそ東京湾のブランド魚「黄金アジ」を釣りに出かけてみませんか!?