高級食材として知られる伊勢海老(イセエビ)。
一般的には、漁業関係者しか釣ることができないと思われがちなイセエビですが、じつは
伊勢海老(イセエビ)は誰でも簡単に釣ることができるターゲットです!
しかし希少価値の高いイセエビを釣るためには、漁業権や禁漁期間などのコンプライアンスを遵守した上で、釣ることができる場所や時期、そして釣り方などを理解することが必要です。つまり、
イセエビ釣りを楽しむためには、さまざまな制約があるのです。
そこで今回は、堤防や岸壁などでの伊勢海老(イセエビ)釣りにフォーカスし、イセエビを釣るために必要な最低限の知識と、タックルや仕掛け、釣り方等基本的な攻略法を解説します。
「伊勢海老を、いつ・どこで・どのように釣ったらイイの!?」
皆さん、大いに気になるところだと思います。
釣ることができる場所や時期をきちんと理解していれば、伊勢海老は初心者や入門者でも高確率で釣ることができる釣り物です。しかも、
ごくフツーの堤防や岸壁のテトラ帯の穴釣りで釣れるのです!!
ここでは伊勢海老(イセエビ)を最短距離で釣るために、漁業権や禁漁期間等法令関係の最低限の知識や釣り方や仕掛け、地域別の釣況について解りやすくご案内します。
伊勢海老(イセエビ)について
伊勢海老(イセエビ)は日本国内に生息しているエビの中で最も大きい種類で、古来から日本の食文化だけでなく文化そのものにおいて重用されてきました。現に日本ではさまざまな儀式や正月のお祝い膳など特別な海産物として扱われています。
伊勢海老は、国内では東北南部から九州にかけての沿岸に生息し、甲冑をまとった武士のような姿形から「鎌倉海老」とも呼ばれています。
もちろんアメリカやヨーロッパで食されるロブスター(オマール海老)とは異なりますが、高級食材として人気を二分しているといっても過言ではありません。
伊勢海老は最大で体長(胴長)40cm、重量3kg位まで成長しますが、実際には300~700gのものが水揚げされるのが一般的で、今回ご紹介する伊勢海老釣りでも同様です。
近年伊勢海老の市場価格は高騰しており、500グラムで4,000~5,000円!
言わずと知れた高級海産物で、現実的に私たち庶民の食卓ではなかなか食べれるものではないのが実態です。ところが、
伊勢海老(イセエビ)は驚くほど簡単に釣ることができるのです! ただし…
伊勢海老を釣るためには最低限のルールを守らなければなりません!
伊勢海老釣りは基本的に堤防や磯などの陸っぱりで釣ります。しかし、釣ることができる場所や時期、サイズ、釣り方が漁業法等によって厳しい規定が定められています。したがって、
伊勢海老釣りをはじめるには、こうしたルールを理解することが大切なのです。
年々漁獲高が減少する一方で、ますます市場価値の高まる伊勢海老。
それでは、これから末永く伊勢海老(イセエビ)釣りを楽しむために、まずは釣り人が守るべき最低限のルールについて見ていきましょう。
伊勢海老(イセエビ)を釣るための6つのルール
伊勢海老(イセエビ)を釣るためには6つのルールを守らなければなりません。
こうしたルールには、国(水産庁)の法令、都道府県や自治体ごとに定められた条例等や、各地域ごとの漁業協同組合によって決められた規則があり、
伊勢海老を釣ることが可能な場所・時期・サイズ・釣り方等は明確に規定されています。
この時点でもはや伊勢エビを釣るのがウザいと思ってしまうかも知れませんが、以下の6つのポイントさえ押さえておけば、伊勢海老を釣ることができるのでご安心ください。
伊勢海老釣りはポイントさえつかめば、決してハードルの高い釣りではなく、むしろ手軽に楽しめる釣りといっても良いでしょう。
1.場所:共同漁業権の範囲外
共同漁業権とは、各地域の漁業者が一定の水面を共同で使って漁業をできる権利として漁業協同組合に与えているものです。共同漁業権の範囲内では権利を有する漁業協同組合の管理の下で、組合員である漁業者が共同で漁を行うことができます。しかしながら、
漁業権を有しない釣り人(遊漁者)は、共同漁業権内で対象となる海産物を釣ることはできません。
各地域の共同漁業権のエリアを調べるには、海しる(海洋状況表示システム)がおすすめです。また、一部の都道府県では共同漁業権のエリアを調べることもできます。
🚫違反した場合は漁業法第143条に抵触し、100万円以下の罰金刑となります。
2.時期:禁漁期間外
イセエビやマダコ、アワビをはじめとする特定の海産物には禁漁期間があります。
禁漁期間は都道府県ごとに定められ、期間内に対象となる海産物を釣ることはできません。
禁漁期間を調べるには、各都道府県のホームページを参照ください。
【例】神奈川県の伊勢海老の禁漁期間は6月1日~7月31日
🚫違反した場合は各都道府県の漁業調整規則に抵触し、6ヶ月以下の懲役若しくは10万円以下の罰金刑が科されます。
3.釣り物:共同漁業権の対象かどうか
共同漁業権には第1種から第5種まであり、殊にイセエビ釣りに関しては第1種共同漁業権に留意することが重要です。
第1種共同漁業権の設定された場所で、無断で対象海産物を採捕すると「密漁」になります。
対象海産物は各地域の漁業協同組合ごとに定められており、事前に調べておくのがおすすめです。調べ方については、水産庁で公表している漁場マップをご覧ください。
🚫違反した場合は漁業法に抵触し、100万円以下の罰金が科されます。
4.釣り方:漁具や漁法
伊勢海老釣りにおいては、釣り人(遊漁者)が使用できる漁具や漁法が制限されています。
たとえ上記1~3の条件を満たしていたとしても、釣り方(漁法)によっては伊勢海老を採捕することは禁止されています。もちろん今回ご紹介するように、
釣り竿や手釣りで釣る場合はOKです!
釣りの他、玉網や投網、徒手採捕(手で捕まえる)なども認められています。
🚫違反した場合は各都道府県の漁業調整規則に抵触し、6ヶ月以下の懲役若しくは10万円以下の罰金が科されます。
5.サイズ:体長制限
伊勢海老釣りにはサイズ制限があります。一般的には、
体長(眼の付根から尾端まで)13センチメートル以下のものはすべてリリース(放流)しなければなりません。
ただしサイズ規定は各都道府県で若干異なり、釣行場所の都道府県ごとに確認する必要があります。
🚫違反した場合は各都道府県の漁業調整規則に抵触し、6ヶ月以下の懲役若しくは10万円以下の罰金が科されます。
6.釣り禁止や立入禁止の場所はNG
イセエビ釣りだけではなく、堤防や磯などすべての陸っぱり釣り共通の事項です。
とくに最近では落水事故や釣り人のマナーの悪さ等に起因して、漁港や堤防、岸壁等で釣り禁止や立入禁止の場所が増えているのが実情です。私自身こうした現状に辟易している一人です。が、
立入禁止や釣り禁止の場所で釣りをすることはできません!
「立入禁止」とか「釣り禁止」とか表示されている場所に無断で入ることは法律で禁じられています。
🚫ケースによって異なりますが、違反した場合、軽犯罪法違反や悪質な場合は建造物侵入罪等に問われ、懲役若しくは罰金刑が科される可能性があります。
伊勢海老を高確率で釣る5つのポイント
1.釣り場はテトラ帯に集中
伊勢海老(イセエビ)釣りのルールについて理解できたら、まずは場所選びです。
伊勢海老は起伏の激しい岩礁帯や、テトラポッドなどの構造物、岸壁の隙間などに生息しています。
とはいえ、通い慣れた場所ならまだしも、エリアが広すぎて岩礁帯等の好ポイントを探すのはなかなか至難の業といえるでしょう。そこで簡単に見つけられる場所は、
初心者や入門者でも簡単に釣れるのがテトラ帯です!
とくに防波堤や岸壁、磯場などに付帯したテトラポットはイセエビの格好の棲み家といっても過言ではありません。イセエビは普段は海底の岩棚や岩穴に潜んでいるため、
テトラ帯は最も釣り人にとって身近で、釣りやすいイセエビの釣り場です。
テトラ帯は全国各地の漁港や岸壁のどこでも存在します。ですので、イセエビ釣行の際はまずテトラ帯に注目しましょう。
2.釣り期は秋~冬が狙い目
イセエビの産卵期は地域差はあるもののだいたい5月から8月頃といわれています。しかしこの期間中は、おおむねどの都道府県でも禁漁期間と重なっており釣ることはできません。
地域によって多少異なりますが、
伊勢海老(イセエビ)釣りは10月~1月の秋冬期がベストです!
もちろん都道府県によっては産卵期前とかも狙い目ですが、秋冬のイセエビの味覚には劣るようです。伊勢海老本来の味覚を楽しむのであれば、秋冬期に釣るのがおすすめです。
3.時間帯は夕~朝マヅメの夜間帯
伊勢海老(イセエビ)は基本的に夜行性です。日中は外敵から身を守るために、岩礁や岩場、消波ブロックの隙間に身を潜めていますが、夜間になると貝類や小魚等を積極的に捕食します。もちろん日中でも釣れますが、
伊勢海老を高確率で狙うなら夜間帯に釣行するのが吉!
とくに、これまでの実績的には、夕マヅメの2~3時間(午後6時~9時)や、朝マヅメの1~2時間(午前4時~6時)にチャンスタイムが訪れることが多いです。
本格的にイセエビを狙うなら、朝夕マヅメ前後の暗い時間帯を狙いましょう。
4.時合は中潮や小潮の上げ4分から下げ2分まで
テトラ帯での伊勢海老釣りは、テトラの隙間に仕掛けを落とし込む穴釣りが基本です。
イセエビやカニ、小魚等は上げ潮時になると堤防や護岸に入り込み、エサを捕食する習性があります。このため、
伊勢海老(イセエビ)釣りは上げ潮から満潮までの時間帯が時合です!
できれば大潮の後の中潮や小潮を選んで釣行すると、よりイセエビをGETできる確率が高まります。
また、満潮時に近い方が釣り座と海面の距離が近いため、イセエビを取り込みやすいことも理由のひとつとして挙げられます。
5.できれば新月や暗がりの夜を狙おう
伊勢海老(イセエビ)は警戒心が大変強く光や音に敏感に反応します。船が頻繁に往来したり、夜間でも常夜灯の下など明るい場所を好みません。
イセエビは満月の夜には釣れない、と言われる所以です。このため、
なるべく夜間帯でも暗がりの新月や三日月の日を選ぶのがおすすめです。
ただし、これはあくまでも一般論であって決して実証したワケではありません。実際に月明りの夜でも釣れたという話も聞きますので、必ずしもマストではないようです。
イセエビ釣りのタックルと仕掛け
さて、伊勢海老(イセエビ)を釣るためのルールとポイントを理解したら、まずはタックルと仕掛けを準備しましょう。前項でも述べた通り、
イセエビ釣りはテトラの「穴釣り」が基本です。
穴釣りというと、すぐにカサゴやメバル、アイナメ、ドンコといった根魚が連想されますが、イセエビ釣りは根魚釣りと明確に一線を画した釣りといえるでしょう。
冬場テトラ帯ではルアーロッド等のライトタックルで根魚釣りに興じる方々を多く見かけますが、
イセエビ釣りにはライトタックルは通用しません!
イセエビは小型サイズでも存外引きが強く、捕食の仕方が魚とは明確に異なるため、バラシやすい性質があります。このため、
イセエビ釣りはミディアム以上のタックルで独特の仕掛けを使用します。
もちろん、地域や季節に応じてタックルや仕掛けはさまざまですが、イセエビ釣りに関しては概ね全国共通です。
ここでは伊勢海老(イセエビ)釣りの基本タックル&仕掛けについて解説します。
(1)竿
テトラ帯でのイセエビ釣りには一定の堅牢度と硬さ、そして感度の良さを兼ね備えた竿が必要です。
最近はイセエビ専用竿も販売されていますが、硬調の穴釣り用の竿や船マダコやアナゴ用の竿、ハードタイプのルアー竿でも代用は可能です。
竿を選ぶときのポイントは、おもに①長さ・②硬さ(オモリ負荷等)・③繊細さ(穂先の感度)です。
長さは90~150cmと短めのものがベスト。とくにテトラ帯は狭い場所で取り回しの効く短い竿が理想です。硬さはグリップ部が確りしていてオモリ負荷が最低でも30~40号あるもの。そして穂先がしなやかで、イセエビのわずかなアタリを見逃さないものが良いでしょう。
当然のことながら、釣り場や海況によって使い分けた方が無難ですが、オールマイティに使いこなすなら、コチラがおすすめです。
(2)リール
伊勢海老(イセエビ)釣りのリールは中小型の両軸リール一択です。
リール選びのポイントは、①ギヤ比・②重量感(パワー)・③操作性です。
最も重要なのはギヤ比で、イセエビを巣穴からいち早く引き剥がすために、ギヤ比が高いリールを選びましょう。最低でもギヤ比は5:1以上は欲しいところです。
さらに欲を言えば、ある程度重量感のあるものが理想です。手持ち竿でも持ち重りしない程度に、重量感があるリールであれば、大型のイセエビでも楽々と取り込むことができます。
テトラ帯でのイセエビ釣りは、どうしてもタックルが傷つきやすくなるため、高価なものを買い揃える必要はありません!
上記条件を満たすものであれば中古でも構いませんが、ここでは新たに購入する方のために、参考商品をご紹介します。
(3)道糸(ライン)
道糸(ライン)はPE3~5号かナイロンラインの6~8号を使用します。
テトラ帯のイセエビ釣りは根掛りや根ズレも多く発生するため強度が求められます。
PEラインを使用する場合は、先糸(リーダー)にフロロカーボンの4~6号を1~2ヒロとります。ナイロンラインの場合はイエロー等派手な蛍光色は避けて、なるべく透明なラインを使用しましょう。
前項でも説明しましたが、イセエビは警戒心が強い上に眼も良いためラインにも注意が必要です。
イセエビ釣りは根掛りやテトラ等による根ズレ・高切れが多く発生します。
仕掛け投入の際にはラインにキズがないか、かならずチェックしましょう!
ここではイセエビ釣りにおすすめのリーダーをご紹介します。
(4)オモリ
オモリは中通しの丸型オモリを使用します。
丸型オモリはテトラ帯の隙間を転がり、仕掛けを海底の深くまで届けてくれる役割を果たします。
オモリの号数はポイントの水深や当日の海況によって10~30号を使います。できれば5号刻みで、2~3種類用意しておくと良いでしょう。
伊勢海老釣りは根掛りや高切れによって仕掛けをロストすることが多い釣りです。このため一回の釣行に、かならず最低でも10個以上は持参しましょう。
オモリの消費量が激しいので、パック詰めになったお徳用がおすすめです。
(5)サルカンとクッション
道糸(ライン)若しくは先糸(リーダー)に中通しオモリを通したらサルカンに接続します。このときオモリとサルカンの間にクッションやシモリ玉をつけておくのが良いでしょう。
クッションは、丸玉オモリが仕掛け投入や巻上げ時に上下する際に、サルカンとの接続部の摩擦を軽減する役割を果たします。
市販品では、オモリを通すだけでセットできる切替え用リーダーがおすすめです。
(6)仕掛け(ハリ・ハリス)
伊勢海老(イセエビ)釣りの仕掛けは3本針仕掛けです。
ハリは伊勢尼の5~6号か丸セイゴの12~13号。ハリスはフロロカーボンかナイロンの4~5号を15~25センチ程度とります。
ハリ数は2~5本まで、オリジナルで自作する方も多いようです。中にはトリプルフックを使っている方もいるようですが、根掛りしやすいのと巻上げ時に途中で引っ掛ってしまうため、あまりおすすめはできません。
先にも述べた通り、伊勢海老釣りでは仕掛けのロストが多く発生するため、最低でも10セットは用意しておきたいものです。
仕掛けは、市販品でも優れた商品が数多くあるので、初心者や入門者などにおすすめです。
イセエビ釣りのエサ
伊勢海老(イセエビ)は雑食性で、おもに貝類や軟体類、小魚、海藻などを食べています。こと釣りに関しては、ちくわや「かっぱえびせん」でも釣れると言われるほど。しかしながら、イセエビを本格的に釣るとなると勝手は違います。笑
ここでは、実際にテトラ帯でのイセエビ釣りで使用するエサについて解説します。
(1)エサ
テトラ帯でのイセエビ釣りのエサは、岩イソメや赤イソメ・青イソメのイソメ類。キビナゴやサンマ、アジ等の小魚や切り身、そしてイカの短冊やホタルイカ、さらにオキアミ等が挙げられます。
さまざまなエサがあるなかで、あくまでも個人的な感想としては、
もっとも食いが良いのは岩イソメ(マムシ)の塩漬けです!
塩漬けした岩イソメは活きたイソメより匂いも強烈で、エサ持ちも良くコスパも優れています。
もちろん地域や季節によって様々だとは思いますが、岩イソメは季節問わず全国どこの釣り場でも絶大なパフォーマンスを発揮してくれるエサだと思います。
ただし、岩イソメは値段が高いのが難点。現在では50~60gで約1,000円と青イソメの2倍近い価格ですので、岩イソメと青イソメのミックス掛けや、釣りエサ屋で弱った岩イソメを安く買い取って塩イソメに加工してコスパを高めのも一考です。ということで、
あくまでも個人的な見解ですが、イセエビ釣りのエサは以下の順番通りです。
【伊勢海老釣りのエサ:ランキング】
①岩イソメ(塩漬け)⇒ ②岩イソメ(活)⇒ ③赤イソメ・青イソメ ⇒ ④キビナゴ(小さめ)⇒
⑤サンマやサバの切り身・イカの短冊 ⇒ ⑥ホタルイカ ⇒ ⑦オキアミ
イセエビ釣りでは必ずイソメ類+小魚系の2種類を持参しましょう!
(2)コマセ
伊勢海老(イセエビ)釣りで撒き餌(コマセ)を使うことは滅多にありませんが、
水温低下等でアタリがほとんど無く、活性が低いときはコマセを使うと効果的です。
この場合、仕掛けの10~20cm上にサルカンやチチワ結び等で小さなコマセ袋を接続し、袋の中に集魚剤を入れます。
コマセ袋は網目の細かい布袋やストッキング等が有効で、コマセがゆっくりと拡散するように演出するのがコツです。ただし、
活性の高いときやコマセを一気に出してしまうと、フグやゴンズイ、カニ、ドンコなどのエサ取りを寄せてしまい逆効果になるので注意が必要です。
コマセ(集魚剤)は、オキアミ・アミエビや粉末状のものよりも固形でゆっくり溶けるタイプがおすすめです。
イセエビの釣り方(実釣編)
漁港の堤防や防波堤、岸壁や磯伝いに広がるテトラ帯。通い慣れた釣り場ならまだしも、初めての釣行となると釣り座は皆目見当がつかないと思います。
ましてやテトラポットの隙間を狙う穴釣りともなると、釣ることができそうな穴は無数に存在します。クロダイ(チヌ)やアオリイカ等の釣り物ならば、ネット上でググれば多少はポイントについて多少は探せるかもしれませんが、さすがに伊勢海老(イセエビ)釣りの「好穴」は探せないのが実情です。
そこで、ここでは高確率でイセエビを釣るための手順をご紹介します。
(1)釣り座の選定
テトラ帯での穴釣りの釣り座にはおもに3つのタイプがあります。
堤防(岸壁)とテトラの隙間、テトラとテトラの隙間、波打ち際とテトラの隙間の3箇所です。まずは下の写真をご覧ください。
①堤防(岸壁)とテトラの隙間
堤防や岸壁とテトラの隙間はもっとも一般的な釣り座です。堤防の上で釣りができるため足場も良く、はじめての釣り場でも安心して釣りが楽しめる場所です。また、
置き竿ができるので竿を同時に2~3本出せるのが長所です。初心者や入門者にもおすすめの釣り座といえるでしょう。
②テトラとテトラの隙間
テトラとテトラの隙間もまたイセエビの格好の棲み家です。足場が安定しないため、手持ち竿で狙うのが基本です。
初めての場所での夜間帯や大きなテトラの場合、転落や転倒しないよう安全には十分注意しましょう。
③波打ち際とテトラの隙間
テトラ帯の中で最も沖側に位置するポイントです。場所によっては藻場や岩礁帯等もあり、夜間帯にはイチバン釣れる釣り座です。
ただし根掛りや根ズレ等も多く釣りづらいのが難点。また波やウネリがあるときは注意しましょう。
(2)まずは良い穴(好ポイント)探しから
釣り場に着いたら、まずは明るいうちに『良い穴』を探しましょう!
『良い穴』ってなに!?どんなところ!?
「良い穴」を探すためには、まずタックルをセットしたら、オモリだけの仕掛け(ハリやハリスが付いていない状態)をここぞと思われる穴に片っ端から投入します。つまり磯釣りの底物である石鯛釣り等と同じ要領で、穴の形状を把握して底取りするわけです。
良い穴とは、オモリがスムーズに落下し深いタナ(海底付近)まで届く地点です!
こうした穴はイセエビの巣穴であることが多く、イセエビが数多く生息していたり、大型のイセエビの棲み家である確率が高い絶好のポイントです。
1~2箇所でも良い穴を見つけたら、かならず解りやすいようにマーキングしておきましょう。またはスマホで写メを撮っておくのも良いでしょう。そして、
良い穴から集中的に攻めることが大切です!
(3)仕掛けの投入と誘い方
釣り座が決まったら、いよいよ実釣開始です。リールのクラッチをOFFにして、仕掛けを一気に落下させます。
このとき、オモリが途中のテトラで止まってしまわないよう、糸フケが出たら竿先を小刻みに上下しながら、仕掛けを確実に深いポイントまで届けることが大切です。
オモリが着底したら糸フケをとり、微かに竿先が曲がる程度までラインにテンションをかけた状態で、仕掛けをステイさせます。
しばらく待ってアタリがなければ、エサをチョンチョンと躍らせるようなイメージで小さく竿先を小突いてみましょう。
イセエビ釣りでは大きな誘いは禁物です!
さらに待ってアタリがなければ、竿先を50cm~1mほどゆっくり上げてから、再びゆっくりと着底するまで下げていき、同じ動作を続けます。
基本はこの一連の作業の繰り返しです。
(4)アタリとアワセ
伊勢海老(イセエビ)のアタリは、外道となる小魚とは明確に異なります。
イセエビはエサを見つけると、エサに近づいて歩脚で触りはじめます。転がしたり突いたりするので、竿先が微かに上下します。しかし、このときはガマンしましょう。
イセエビ釣りは早アワセは厳禁です!
先にも述べた通り、イセエビはとても警戒心が強いため、このガマンの状態はわずか5秒程度のときもあれば、長い時には1分近く続く場合もあります。
イセエビが歩脚でエサを確認したら、エサを歩脚でガッチリ抱えて込んで、大きな尾びれでエビキックしてエサを安心して食べられる状態まで移動します。このとき竿先は大きく曲がります。
竿先が大きく曲がり込んだらアワセを入れます!
たいていは、まず竿先が小刻みに震えてから、次第に曲がったままの状態になり、最後に大きく竿先が突っ込むといった「3段引き」が典型的なイセエビの引きです。
(5)巻上げと取り込み
ずっしりと重みを感じたら、竿先を45度位まで上げてひたすらリールをゴリ巻きします。
少しでも巻く手を休めたら、途中のテトラに張り付かれたり、逃げ込まれたりしてしまうので、要注意です!
水面まで上がってきたら一気に抜き上げましょう。大型の場合は玉網ですくうのが必須です。ただし、玉網で取り込む場合はライトで海面を照らさないよう注意が必要です。
「良い穴」には、かならず複数のイセエビが潜んでいるケースが多いです。
追釣のチャンスを高めるためにも、好ポイントでは仕掛けの投入から巻上げまでを慎重に取り行ないましょう。
福島県小名浜港はイセエビ釣りのメッカ!
それでは最後に、全国でも屈指の伊勢海老(イセエビ)釣りの好ポイントをご案内します。
福島県小名浜港の沖堤防は全国でも有数のイセエビ釣り場です。
福島県小名浜港一帯は、共同漁業権の範囲に設定されておらず、イセエビも対象魚種として指定されていません。このため、
沖堤防に渡船(遊漁船)で渡って行なうイセエビ釣りが注目されています。
沖堤防のためかイセエビの魚影も非常に濃く、良い日には大型のイセエビを筆頭にツ抜け(10尾)以上も夢ではありません。
ここでは福島県小名浜港の伊勢海老(イセエビ)釣りを行なっている遊漁船をご紹介します。
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