誰もが知るイセエビ(伊勢海老)。われわれ庶民にとっては滅多に食べる機会がない高級食材ですが、じつは陸っぱりから釣れる貴重なターゲットのひとつなのです。誰にでも釣るチャンスはあるものの、釣り場やポイントそして釣り方等を熟知しないとなかなかGETすることが難しい釣り物です。
またイセエビやマダコなどの水産物は共同漁業権が設定されていて、現在では釣る場所も限られているため、なかなか釣行するのもままならないと思います。しかしたったひとつだけ、漁業権が設定されているエリアでも釣ることの出来る方法をこっそりお教えしたいと思います。(あまり大声では言えないのですが…)
関東では外房から伊豆にかけての漁港周辺一帯で釣ることが出来ますが、プロパーでは漁業権の確認を事前に調べておくことが必要です。なお現在でイセエビが釣ることの出来るエリアについてはコチラをご覧ください。また海上保安庁のCeisNet(シーズネット)も併せて確認すると良いでしょう。
イセエビは一尾でもGET出来れば超ラッキー!まるで宝くじに当たったような幸運を手にすることが出来ます。しかも釣り方はカンタンでコスパも最高の釣りなので、ぜひ一度はチャレンジしてみる価値はあると思いますよ!
イセエビ釣りはまず「良い穴を見つける」のがコツ!共同漁業権が設定されているエリアで合法的に釣る裏ワザも大公開!
禁断の!?イセエビ釣り
イセエビは夜行性で日中は障害物に潜んでじっとしていますが、夜になるとエサを捕食するため活発に行動します。このためイセエビ釣りは夜間帯になります。おもに堤防や岸壁沿いのテトラ帯がメインとなるスポットで、テトラの隙間にある穴に仕掛けを落とし込む「穴釣り」が基本です。
しかし、カサゴやメバル、アイナメといった一般的な穴釣りとは明らかに一線を画した釣りです。ただ闇雲にテトラポツトの隙間に仕掛けを落とし込めば釣れる釣りでもありません。夜釣りであることと、対象が魚ではなくエビ(海老)なのだから当然のことといえるでしょう。
イセエビは一般的な魚とは異なり、水産資源保護のため共同漁業権が設定されており、どこでも釣れるわけではありません。例えば神奈川県の場合、イセエビ・マダコ・サザエやアワビなどの貝類・ワカメやコンブなどの海藻類がその対象となっており、じつは私たち釣り人にとっても看過できない状況なのです。(各県・各地域によって異なります)
ちなみに上の写真は漁業権が設定されたエリアで釣り上げた500グラム弱のイセエビです。だいぶ以前の釣果ですが、当時から漁業権は設定されていましたし本来は釣ることが出来ない点で、現在と何も変わりありません。
そもそも、どうして公明正大に釣ることが出来たのか?また実際に共同漁業権が設定されているエリアで釣りをするにはどうしたら良いのか?について、解説したいと思います。ただしこの方法は一朝一夕で実践できるプランではありませんので、あらかじめご承知おきください。
共同漁業権のエリアで釣りをするには
まず私のプロフィールまたはSTORIESをご覧いただくとお解りいただけると思いますが、一時期私は連日のように近所の港へクロダイやアオリイカを釣りに出かけていました。雨や強風、そして時化といった悪条件でなければ、ほぼ毎日といっても過言ではありません。
当然のことながら毎日のように釣り場に通っていると、様々な方々との出会いがあります。そのうちの一人の中年男性が、じつはその港の漁協の組合長だったのです。ほぼ同時期にイセエビ釣りをしている常連師とも顔なじみになり、件の組合長と三人で談笑しているうちにイセエビ釣りの話に及び、組合長曰く「あまり大っぴらにしなければ釣ってもいいから」というお墨付きを頂けたのです。つまり、
漁業関係者と仲良くなること!
正直このひと言に尽きます。親戚や友人・知人に漁業関係者がいるに越したことはありませんが、さすがに稀なケースだと思います。そこで、漁港へ足繁く通って漁業関係者と仲良くなるのが最高の方法です。なぜなら漁港を管理・管轄しているのは地元の漁業協同組合であり、前記の例では漁協のトップなのですから言うまでもなく最高のケースです。
例えば船釣りをやる方であれば通い慣れた乗合船の船頭でも構いません。とにかく漁業関係者と仲良くなり、渋々でも同意を得られればしめたものです。ぜひ皆様もチャレンジしてはいかがでしょうか!?
正直このやり方はウルトラC的で難易度の高い「技」なのですが、いま現在でもこの方法で正々堂々と漁業権内で釣りをしている知り合いが何人かいます。たしかに陸っぱりの釣りは釣ることができる場所も年々限られてきているため、釣り人は肩身の狭い思いを強いられているのが実情です。ある程度時間をかけてでもウルトラCを使った方がお得だと思います!
かりにウルトラCを使えない場合でも、私の知る限り関東~東海エリアでイセエビを釣ることができる場所はこちらになりますので参照ください。
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タックルと仕掛け
イセエビの穴釣りのタックルは、なるべく手持ちの竿やリールがあれば代用すると良いでしょう。新たに購入する場合でも高価なものは必要ありません。竿は先調子で硬めのもので、取り回しがラクな短めのもの。リールは持ち重りしない小型の両軸リールがおすすめです。
道糸はなるべく太めのものを使用します。根掛りが多い釣りのため、根掛かった場合にハリスが切れるようなタックルバランスが必要です。このため道糸はPE5号、ナイロンの場合は8号位を目安にリールに70~80m前後巻いておくと良いと思います。
オモリは丸玉オモリの15号前後です。イセエビ釣りの場合はなるべく穴の深くまで落とし込むために、丸い形状のオモリの方が有効です。先にも書いた通り根掛りが多いため、かならず予備として5個以上は持参するようにしましょう。
イセエビ釣りは魚を釣るのと違いハリ数は2本針が基本です。3本でも構いませんが、根掛りしやすいのとイセエビが掛かったハリ以外のハリがテトラなどに引っかかってしまうリスクを避けるためです。またハリは丸セイゴ針の他にチヌ針でも構いません。ハリの間隔は上図の通りです。
ちなみに、イセエビ釣りの仕掛けは市販のものもありますので、参考までにご覧ください。
エサ
イセエビ釣りのエサは、イソメ類や魚の身エサ、小魚、オキアミ、イカの短冊などさまざまあります。地域性や潮況等で異なるとは思いますが、これまでの実績で最も食いが良いエサは…
岩イソメの塩漬けです!
岩イソメの塩漬けはすでにアマダイやカワハギの船釣りでもご紹介していますが、エサ持ちも良く強烈な匂いを発するため海釣りの万能エサです。しかしあいにく市販されていないため自前で作らなければなりません。岩イソメは他のエサとくらべても高価ですが、殊にイセエビ釣りに関しては多少奮発してでも岩イソメを購入することをおすすめします。
岩イソメの塩漬けの作り方については近々にご紹介しますので、いましばらくお待ちください。
また、魚の身エサやイカの短冊なども一度塩を振って冷蔵庫に寝かせて熟成させた物の方が食いは抜群ですのでぜひお試しください!
釣り方
まずは「穴」探しから始めよう!
釣り方に入るまえに、イセエビの穴釣りで最も重要なポイントがひとつだけあります。本気でイセエビを釣りたいと思ったら、これだけはぜひ覚えておいてください。それは、
まず良い穴を見つけること!
「良い穴」ってナニ!?という疑問が湧いたと思います。良い穴とは、仕掛けが深い場所まで落ちていく穴のことです。言い換えれば、水深が深い穴ってことです。
テトラ帯はテトラポットが複雑に入り組んで構成されています。比較的浅い穴もあれば深い穴もあり、地上からは見分けがつきません。仕掛けを落とすと途中で止まってしまう穴だったり、ボトムまで深く落ちていく穴もあります。ですので、実釣前にハリを付けずにオモリだけ付けて試してみるのが良いでしょう。できれば、明るいうちに入釣し幾つか探っておくのがおすすめです。
ただ闇雲にポイントをあちこち探して浅い穴で釣りをしても、パチンコ屋で出ない台で延々と打ち続けるようなもので時間の無駄使いです。たとえは悪いかも知れませんが、冬場の夜の穴釣りですので効率的に釣りたいものですよね!
釣り方
良い穴を見つけたら、仕掛けを一気にボトムまで落とし込みます。一気に落とすのがコツです。途中で止めるとカニなどのエサ取りにやられてしまうからです。着底したらすぐに糸フケを取り、多少道糸にゆとりを持たせてアタリを待ちます。道糸を張り過ぎるとイセエビがエサに抱きついた瞬間に違和感を感じて離れてしまいます。
イセエビのアタリは魚と明確に違います。イセエビがエサに抱きつくと先ず竿先がググッと入り、そのまま動きません。決してこの段階でアワセてはいけません。このとき竿先を下げて道糸を送り込むようにします。
イセエビがエサに関心を示すとさらに竿先がググッと入ります。エサを引き擦りながら持って行くような感覚です。ここでもガマンしてアワセは入れません。イセエビ釣りに早合わせは厳禁です。早合わせして足だけ釣れたなんて事も枚挙に暇がありません。じっと我慢!この駆け引きこそがイセエビ釣りのスリリングな醍醐味なんですよね。
さらにひと呼吸置いて、グーッと大きなアタリがあったら間髪入れずアワセを入れます。ズッシリした手応えがあれば、あとはひたすらリールをゴリ巻きします。イセエビの必死の抵抗でテトラの隙間に入られたら一発アウトになりかねません。
水面まで浮かせたら一気に抜き上げます。よほどの大物でない限り玉網(タモ)は使うことはありません。バッカンやバケツのなかにそのまま入れて見事GET!
イセエビ釣りで注意すること
イセエビ釣りはテトラ帯での夜釣りになります。通い慣れた場所ならまだしも、非常に危険が伴う釣りです。なるべく手足をフリーな状態で釣りをしなければならないため、かならずヘッドライトの装着が不可欠です。
ただし、穴に直接ライトの光を当ててはいけません。イセエビは警戒心が強いためその穴ではしばらく釣りが出来なくなってしまいます。ヘッドライトの使用は仕掛けをセットしたりエサを付けたりする時や移動時、また穴の周辺を観察したい時などに限定しましょう。
イセエビの持ち帰り方
釣り上げたイセエビを新鮮な状態で持ち帰るためには、海水を張ったバッカンやバケツにブクブクなどで酸素を取り込んでイセエビを活かして持ち帰るのが最も安心な方法です。イセエビは生命力も強く、ブクブク無しでもある程度の時間は生きていますので近場の方はそのままでも構いません。
それでは、貴重なイセエビをぜひGETして、新年の幸先良いスタートをきって頂ければと思います。頑張って下さい!