金目鯛(キンメダイ)尽くしで新年は幸先の良いスタートを!

真紅のベールをまとった金目鯛は、深場釣りの代表的な魚のひとつで言わずと知れた高級魚です。また縁起の良い魚として、おめでたい日に食べる方も多いと思います。季節によっては伊豆や箱根の旅館やホテルでは夕食膳に決まって提供される鉄板の魚です。とくに12月~2月の冬場は一年のうちでもっとも美味しい時期を迎えます。

金目鯛は一年を通して食べれる魚ですが、冬場は最も脂が乗って栄養も豊富!これからいよいよ釣り旬と味旬の両方を迎える金目鯛をぜひゲットしたいものです。

金目鯛の料理というと、やはり煮付けが最もポピュラーですよね。キンメの煮付けは脂が乗ってコクの深い味わいです。甘辛く味付けされた煮付けはお子様など老若男女に大人気!いちど食べたら、誰でもお気に入りになるはずです。

そこで今回はあえて煮付けではなく、良型のキンメダイ一尾を丸ごと余すところなく、しゃぶり尽くすレシピをご紹介します。ちなみに、2022年7月2日に真鶴南沖で釣った800グラムのキンメを食材として用いています。

ぜひ「金目鯛づくし」を堪能して、新年は幸先良いスタートを迎えましょう!

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唯一の良型キンメを料理する

当日釣り上げた唯一の良型キンメは後検量で800グラム。小キンメサイズも5枚ほど釣れたものの船長に献上しました。さすがに新島沖で釣れるキロオーバーの大型とまではいかないですが、一人前なら色々な料理を楽しめるサイズです。

「どう料理しようか!?」真っ先に思い浮かんだのはやはり煮付けでしたが、つい食いしん坊モードになってしまい、「どうせなら色々な料理を食べたい!」という結論に落ち着きました。金目鯛は刺身をはじめ、どう料理してもメチャ✕2美味しいのです。

下処理

船釣りから帰ると、家に着くのはどうしても夕方近くになってしまいます。さすがに道具の片付けなどを済ませて料理するとなると体力的にもしんどいですよね。でもご安心下さい!キンメダイに限らず、良型の魚であれば、2~3日ほど冷蔵庫で寝かせたほうが、より一層美味しくいただけるのです。

しかし、その前に下ごしらえだけはかならず当日のうちに済ませましょう!つまりたくさん釣れば釣るほど大変な作業となります。もちろん奥さんなどご家族のサポートがあると助かるのですが、魚を捌くのが難しい場合も多いはず。

釣り人なら下処理は自分でやるのが鉄則!基本的にはウロコを引いて腹ワタを取り除き丁寧に洗い流すまでの作業です。あと、もうひと踏ん張りです。最近では船が着岸してから下処理を済ませてしまう方も多く見かけます。その場合は包丁やウロコ取りを持参しておくと便利です。

ウロコを引く

ウロコ引きでウロコを引きます。キンメに限らず鯛系の魚ってウロコは取りやすいのですが、とにかく飛び散りやすいのでビニール袋に包んで作業した方が良いです。ウロコ取りが無い場合は、包丁の腹を使って尾から頭に向けて魚の身をつぶさないように丁寧に取ります。

背ビレや尾ビレや胸ビレの周辺はウロコが残りやすいので注意が必要です。包丁の角を使うときれいに取ることが出来ます。また料理の仕方によっては頭の部分まで取り除くことが必要です。

取り終えたら、軽く水で洗い流しキッチンペーパーや布巾で水分を拭き取ります。

腹ワタ・血合いを取り内蔵を洗う 

流水で洗いながら腹ワタと血合いを掻き出します。このとき腹ワタはつぶさないよう注意しましょう。また黒い腹膜も流水とともに洗い流します。この工程では、雑菌が残らないよう腹ワタや血合いを根気よく洗い流すのがコツです。洗い流した後はキッチンペーパーで丹念に拭き取ります。

最後に腹にキッチンペーパーを詰め込んで、魚もキッチンペーパーに包みジップロックやラップに入れて冷蔵庫で保管します。寝かせる期間の目安としては2~3日です。キロオーバーのキンメは最低でも5~6日は必要です。

釣りたての魚を捌いて冷蔵庫に寝かせることによって、旨味と甘みがグッと増すのです!

早く食べたい!という気持ちはグッとこらえて、果報は寝て待ちましょう。

調理の準備

ついに待ちに待った日がやって来ました!いよいよ調理開始です。相変わらず見惚れてしまうほど綺麗な紅色の魚体。鮮度が維持されている証拠です。

今回はキンメをしゃぶり尽くします。一尾のキンメでなるべくいろいろな料理を作りたいと思います。キンメに限らず鯛系の魚というのは捨てる部分がありません。このため身と頭・カマやアラを切り分けてさまざまな料理にアレンジできるよう整えます。

三枚におろす

包丁で三枚におろしていきます。キンメはとくに皮の部分が美味しいので取り扱いは丁寧に切り込みを入れていきます。また身がとても繊細で崩れやすいため、包丁は事前によく研いでおくことをおすすめします。

カマやアラを切り分ける

頭の部分は梨割り(兜割り)にして半分にカットします。このとき頭を立てて口に包丁を入れて両目の中心めがけて差し込むと上手くいきます。最後にアゴの部分をカットして完了です。

あとは包丁の付け根部分を利用して、お好みの調理法にあわせた大きさにカットしていきます。

調理開始

湯引き刺身のレシピ

この時期、伊豆や箱根方面の旅館に行くとかならず出てくる鉄板料理。刺身ももちろん美味しいですが、湯引きで味わう金目鯛は一段と格別です。

金目鯛(キンメダイ)は皮の部分に旨味がたくさんあるため、湯引きすることで皮の旨味をたっぷりと堪能できます。普通の刺身よりも断然美味しいですよ!

  1. 金目鯛の身をザルに載せて皮目に熱湯をかける
  2. 皮が反り返って身が縮んだら氷水に漬けて冷やす
  3. 氷水から出しキッチンペーパーで水気を拭き取る
  4. 包丁で引き切りして皿に盛り付けければ完成
  5. 大葉や三つ葉などを添えてわさび醤油で召し上がれ
(皮目に熱湯をかける)
(氷水に漬けて冷やす)

塩焼きのレシピ

やはり魚料理の王道といえば塩焼きです。金目鯛というと煮付けというイメージが強いですが、塩焼きで食べるキンメは、皮の旨味を堪能できて美味しい一品です。

  1. 身に塩をまぶしてラップに包み1時間程冷蔵庫に保存する
  2. フライパンにクッキングシートを敷きホイルを被せて弱火で焼く ※約10分
  3. じっくりと焼き加減を確認しながらすべての面を焼く
  4. 最後に中火で皮目に焼き色をつける
  5. 大根おろしや柚子・みょうがを添えて召し上がれ
(フライパンでじっくりと焼くのがコツ)

土鍋炊き込みご飯のレシピ

小腹を満たしたいので「ご飯+キンメ」、ということで炊き込みご飯を作りました。しかも土鍋炊きです。

ここ数年炊飯はすべて土鍋で炊きです。とくに魚や野菜などの食材と一緒に炊き込むご飯は土鍋で炊くと、ひときわ食材の旨味を引き出せてナチュラルな仕上がりになるのでおすすめです。また炊飯器よりも簡単で短時間で炊き上がりますのでぜひお試しください。

ここでは一合炊き(1~1.5人前)でご紹介します。

  1. 頭・カマ・切り身を用意しザルに入れ熱湯をかける
  2. ウロコや汚れをきれいに洗い流すのがポイント
  3. 米の研ぎ方は通常と同じ要領で
  4. 土鍋に米と白だし大さじ1・酒小さじ2・醤油小さじ1・塩小さじ1/4を入れ水カップ1杯で軽く混ぜる
  5. 千切りしたしょうが(1かけ)を散らし昆布5cmとキンメの具材を入れる
  6. 中強火で約10分、沸騰したら弱火で約3分炊き上げる
(ジャーン!出来上がりはこんな感じです)

金目鯛の潮汁と蕎麦のレシピ

最後に、締めに汁物が欲しいところです。とくに酒飲みにとっては、締めの一品で癒されたいですよね。

そこで、残った具材で潮汁(アラ汁)を作りました。ついでに、先日頂いた信州そばまで投入してしまおうという目論見です。

  1. 残った頭・カマ・切り身に熱湯をかけて汚れを落とす
  2. 鍋に具材と水500㏄と昆布5cm・酒大さじ2を入れ中火で沸かす
  3. 長ネギを入れて落とし蓋をし7~8分煮る
  4. 豆腐と茹でた蕎麦を投入する
  5. 白だし小さじ2と塩ひとつまみを入れて味を整える

実食!

美味しい魚料理には、やっぱり日本酒か芋焼酎がマイ・セオリー。ということで、今回は新潟の銘酒である八海山をお供に金目鯛のフルコースを愉しみました。

金目鯛の湯引き刺身

先頭バッターは湯引きです。キンメ料理の定番中の定番ですから、やはり先ず最初に手を付けないワケにはいきません。

ひと口食べた瞬間から頬がトロける感じです。まさに釣り人としての特権を、この瞬間ひとり占めしているという優越感に浸りながら、幸せを噛みしめます。さらにその幸せを、八海山で五臓六腑に染み渡らせているのです。

金目鯛の塩焼き

そして、酒の肴としても横綱クラスのキンメの塩焼き。大根おろしに醤油をつけていただきます。

皮はパリッとして、身はプリッ・フワッ!正直ヤバいです、この旨さ。これではますますお酒が進んでしまいそうです。

湯引きと塩焼きで、八海山をどんどん注いでいくうちに、多幸感に酔いしれます。

金目鯛の炊き込みご飯

しばし酒の肴を堪能したあとは、小腹を満たすべく炊き込みご飯を喰らいます。土鍋炊きは食材の旨味を活かした自然な仕上がりになります。

蓋を開けた瞬間、キンメの良い匂いが鼻孔を刺激します。さすがに土鍋炊きとあってご飯の粒が立っています。軽く混ぜて茶碗によそります。

美味い!これは何杯でもイケそうな感じです。金目鯛の風味や香りがご飯の芯まで染み込んで、優しい味わいを醸し出しています。もう箸が止まりません。

金目鯛の潮汁と蕎麦

あっという間にキンメ料理を堪能してしまい、お酒もグイグイと進んだ後はいよいよ締めです。本来であれば潮汁のみでつくる予定でしたが、先日頂いた信州そばも一緒に入れてキンメの潮汁そばを作ってみました。

頭やカマ、アラなど残りの具材をすべて投入しキンメの旨味が凝縮されているため、締めに最高の一品です。ここは骨までしゃぶり尽くしてしまいましょう。

ごちそうさまでした!

今回は唯一釣り上げた中型サイズのキンメダイを余すところなく使用していろいろな料理にチャレンジしてみました。ご覧の通り800グラムのサイズとはいえ、一尾でフルコースを堪能できました。

欲を言えば煮付けがもう一品欲しいところでしたが、まあ次回のお楽しみということにしましょう。

キンメダイを筆頭にアコウダイやアカムツ(ノドグロ)などを狙う深場釣りは高級魚が勢ぞろいです。また、釣ったあとの楽しみもひときわ味わえるのが魅力です。

釣りを単なるアクティビティとして捉えるだけでなく、美味しく喰らうまでのプロセスとして楽しんでいただけたらと思います!

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