金目鯛(キンメダイ)やアカムツ(ノドグロ)は周年釣れる魚です。真紅なベールを身にまとう魚たちは正月のお祝い膳として、キンメはその名のごとく「目出鯛」アカムツは「赤い宝石」などと称され、市場価値の非常に高い高級魚なのです。
そんな高級魚はいつ食べても美味しいですが、とくに冬場は身も引き締まりこれからますます美味しい時期を迎えます。冬場の釣りは寒さとの闘いですが、釣りのあとに暖かい温泉に浸かって美味しい料理を堪能できるのもこの季節ならではの魅力です。
今回は、都内から電車で一時間半程度で行ける上に、温泉や観光とセットでキンメやアカムツなど深場釣りも楽しめるスポットをご紹介します。
神奈川県湯河原。私もここ数年かならず年に一~二回は訪れており、温泉・グルメ・観光そして釣りのを楽しむことができる大変素晴らしい場所です。たまにはご家族やご友人そしてカップルで、もちろんお一人でも、ぜいたくなひと時を過ごしてみるのはいかがてじょうか!?
温泉や観光、そして釣りも楽しむ
湯河原について
神奈川県のもっとも南西部に位置している湯河原町。温泉街として有名な町として夙に知られていますが、箱根や熱海といったメジャーな観光地に挟まれているため、じつは案外穴場だったりするのです。しかも箱根や熱海とくらべると宿泊料金もリーズナブル。
東京から東海道線で約1時間半、横浜からは1時間で行けて車でも東名高速や小田原厚木道路を使えばほぼ同じ時間で行けるため、日帰り旅行はもちろん1泊2日程度の旅行にも最適なロケーションです。
湯河原の魅力といえば何といっても温泉。町内には町営の日帰り温泉も多く、町内を中心に、ひっそりとした佇ずまいを見せる奥湯河原温泉など老舗旅館やホテル等宿泊施設も充実しています。また梅林や紅葉、みかん狩りなど観光スポットもたくさんあります。
最近では、寿司や海鮮物をはじめラーメンやスイーツやフレンチなど人気店もあってグルメもたっぷり満喫できる場所なのです。
湯河原の海と福浦漁港
湯河原の街は相模湾に面して眼下に見下ろすように風光明媚な場所に位置しています。北東側に真鶴町そして南西側は熱海市に隣接しており海の向こうには伊豆大島や初島が見えます。伊勢海老やアワビをはじめあらゆる魚種が水揚げされるなど海産物も豊富です。
相模湾は、駿河湾や富山湾と並んで『日本三大深湾』と呼ばれ、深いところで水深1,000メートル以上もあります。とくに小田原から湯河原にかけての西湘エリアは、岸から離れると急に深くなるという特徴があります。このため遠征しなくても、港から近くのポイントでも豊かな漁場に恵まれているのです。
そんな湯河原町にある唯一の漁港が福浦漁港です。福浦漁港は湯河原町の東部に位置し真鶴半島の付け根にある第一種漁港です。海岸沿いの国道135号線から奥まった目立たない場所にあるため、見落としてしまいがちな立地です。
福浦漁港は駐車場も整備されており¥1,000/日で駐車可能です。釣りはもちろんスキューバダイビングなどマリンスポーツが盛んな場所で、港内には漁港直営の食堂もあり獲れたての海の幸を楽しむことができるため家族連れにもおすすめです。
じつはこの福浦漁港、船釣りはもちろんアオリイカのポイントとしても有名で、神奈川県内でも屈指の好釣り場なのです。私自身船釣りでもアオリイカ釣りでも、とても馴染み深い漁港です。ということで、今回は福浦漁港出船で冬場にライトタックルで狙うキンメ・アカムツをご紹介します。
中深場で楽しむキンメ・アカムツ五目
中深場釣りというと、ひと昔前まではハードルが高いという先入観がありましたが、ここ数年タックルの進歩と遊漁船による新たな取り組みによって、初心者や女性でも手軽に楽しめるアクティビティへと進化しています。
しかもこのエリアでは、先述の通り海底がドン深な地形のため比較的近場で手軽に楽しめるのが魅力です。釣れる魚は中小型主体ですが、たまに大型も姿を見せたりするので気は抜けません。とくに年末や年始にキンメ・アカムツ・クロムツなどの高級魚を手堅くゲットするには最高ですよ!
ポイント
釣り場は他のエリアとくらべて非常に近場です。本来中深場釣りというと出船してから航程1時間以上かかるものですが、ここでは30~40分程度。船の移動距離も少ないため、とくに冬場の激寒期には大変ありがたいですよね。
真鶴南沖といわれる真鶴半島先端にある三ツ石の真沖から初島沖にかけて対角線で結んだエリアがおもなポイントとなります。また、福浦漁港の港前エリアも良いポイントを形成しています。漁港からほど近い場所でも水深は300m前後あります。またポイントによっては500m以上と深場なのです。
タックル
初心者・女性の方や家族連れ・グループなどの場合、レンタルタックルで手ぶらで気軽に釣りを楽しめるのでおすすめです。また仕掛けやオモリなども用意してもらえるので安心。ただし釣果を保管するためのクーラーボックス等は最低限用意しておいた方が良いでしょう。
ライトタックルの中深場釣りとはいえ、ここでは最低でもミディアムクラス以上のタックルが要求されます。ご自分でタックルを持参する場合、かならず以下の2点に留意ください。
- 竿:オモリ負荷最低250号
- リール:PE5号を最低500m以上
また仕掛けのキモとなるのはハリです。基本ムツ針やネムリムツ針の6~8本針で狙いますが、ハリのチモトに赤いマニキュアやオレンジ色の蛍光パイプを付けると効果的です。ただし、あまり派手過ぎてもエサ盗りにやられてしまうので気をつけましょう。
エサ
もっとも一般的な付けエサはイカの短冊かカツオのはらんぼう(腹の部位)です。あらかじめ船で用意してもらえますが、手堅く釣果を得たいのであれば両方用意しておくことをおすすめします。
例えば、船でイカの短冊が出る場合はカツオのはらんぼうを自前で用意し、逆にかつおのはらんぼうが出る場合はイカの短冊をご自分で用意しておくと、釣りのバリエーションが増してますます楽しめるというわけです。
釣り方
仕掛けを投入しオモリが着底したら10メートルほど巻き上げて糸フケを取ります。再度着底してから糸フケを取り8~10メートルほど上げて、何回かに分けてゆっくりと落とし込みながらアタリを待ちます。この際かならず道糸やリールのカウンターを確認することが大切です。
アタリがあったら軽くアワセを入れます。ただしリールをすぐに巻いてはいけません。ここで追い食いを待つのです。キンメもアカムツも比較的アタリは明確に出る魚です。基本的に巻き上げは船長の指示に従って行ないます。
他の釣りと比べると投入回数の少ない中深場釣りは、一回の投入でなるべくたくさんの魚を釣ることが肝心です。ですので、よほどの大物でない限りなるべく追い食いさせて数を釣るようにしましょう。
リールは基本中低速で巻き上げます。アタリの加減と竿先のしなり具合で巻き上げ速度を調整します。取り込みは、小型の場合はなるべく玉網を使わず一気に抜き上げてまう方が良いでしょう。玉網を使うとハリが絡まってしまい逆にバラシのリスクも高まります。また竿先のしなりの加減で下バリに良型が掛かっている場合もありますので慎重に対応してください。
キンメダイもアカムツも、水面から上がってくる時は真っ赤な魚ではなく、紅白色で透明感がある魚体です。はじめて釣った方はきっと見惚れてしまうでしょう。
釣りを楽しんだ後は
さて、クーラーボックスの中身はいかがでしょうか!?新年を祝う赤い魚たちでいっぱいに満たされたでしょうか?まあ釣果はさておき、アフターフィッシングも釣りの醍醐味です。ここ湯河原では、釣りのあとに楽しめる場所がたくさんあります。
日帰りも可能ですし、もちろん一泊二日や二泊三日での釣行もOK!ここでは、釣りだけでなく釣りの前後も大いに楽しむためのプランをご紹介します。
温泉
湯河原の代表的スポットでもある温泉。冬場の船釣りですっかり冷え切った身体をほっこりと癒すには最高です。福浦港からほど近い湯河原町の中心部には日帰り温泉や温泉宿もたくさんあります。
日帰りだとスケジュールもかなりタイトで、個人的には一泊二日以上で時間的に余裕をもって楽しむ方が絶対おすすめです。もっとも電車か車でのアクセスだとか、前泊か後泊かによって楽しみ方は変わります。
そもそもスケジュールを考える段階から釣りというアクティビティは始まっているので、各々のプランに応じて釣行計画を立てて頂けると幸いです。
湯河原の温泉の泉質は、石膏成分(カルシウム-硫酸塩)が多く「傷の湯」と称えられ、打ち身や傷の回復が早いことで知られています。さらに女性の方には肌を柔軟になめらかにし、しわを防ぐなど美肌効果も期待できるようです。
料理
海産物の豊かな湯河原の飲食店や宿泊施設は何といっても海の幸料理が自慢。寿司や海鮮料理、そして洋風料理にいたるまで新鮮な魚貝類や甲殻類を思う存分楽しむことができます。
ゆっくり温泉につかったあとは、相模湾の海の幸をたっぷりと堪能してみてはいかがでしょうか!?
できれば宿泊プランで行きたいものですね。湯河原にある飲食店はもとより宿泊施設はどこも美味しい海産物を提供してくれるところばかり。季節に応じて獲れたての海の幸が食べれるのは嬉しいものです。しかも、箱根や熱海と比べても良心的な価格帯でおすすめです。
釣果の保存法
日帰りや前泊の場合は問題ないですが、釣果は下処理しておくことをおすすめします。せっかく釣った高級魚をなるべく鮮度の高い状態で保存するためには、釣ったその場で下ごしらえするのが最も効果的です。
しかし後泊の場合はどうしても帰宅までに時間がかかってしまうため、なかなか鮮度を維持することが出来ません。その場合は、あらかじめ下処理した釣果を宿泊先で冷蔵してもらうのが良い方法です。
どの施設でも大抵は快く保存してもらえると思いますので、遠慮なくスタッフに声を掛けてみると良いでしょう。
まとめ
湯河原町に面した相模湾の真鶴~初島沖は大陸棚を形成しており、湧昇流によって深海の栄養が浅い海に送られ、箱根や丹沢といった森や山林などから豊富な栄養分が海に流れ込んでいるため、豊穣な海を形成しています。
それだけに釣れる魚種も豊富!キンメやアカムツ、クロムツ、またマダイやブリ、マグロから超深海のベニアコウダイに至るまで何でも釣れるのです。
温泉や観光地もあり、日帰りでも宿泊でも釣りと温泉と観光をセットにしたアクティビティを楽しめる場所は全国広しといえどもなかなかありません。釣りに行って温泉につかって美味しい料理を楽しむ!たまにはこんな贅沢な一日を過ごしてみてはいかがでしょうか!?
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