いまや東京湾の風物詩として人気の高い江戸前の夜アナゴ釣り。今年も4月後半から東京と神奈川など一部の船宿でスタートしました。
アナゴ(穴子)といえば初夏の沖釣り人気ターゲット!
開幕早々は小ぶりのサイズが主体も日並みでトップ30本オーバーと好釣!
裾の方でも30センチ前後のメソ級が平均5~6本とコンスタントに釣れている模様です。とはいえ、
船アナゴ釣りは沖釣りではマニアックな釣り物で、きっと馴染みのない方も多いでしょう。
いつ・どこで・どのように釣ったらイイのか!?
そこで、最短距離でアナゴを釣るためのノウハウを解りやすく解説します。
とくに5月中旬から7月前半頃にかけては夜アナゴ釣りのトップシーズンを迎え、初心者や入門者でも美味しいアナゴをGETするチャンスです!ただし、
船アナゴ釣りはトップからスソまで釣果に差がつく釣りです!
ここでは竿頭(トップ)とはいかないまでも、確実にアナゴを釣るための釣り方や仕掛け、アナゴを釣らせてくれるおすすめの船をご紹介いたします。
アナゴ(穴子)について
アナゴ(穴子)は、ウナギ(鰻)と同じように筒状で細長く、特徴的な魚体をしています。
一見同じように見える両者ですが、体色や体型などが異なり、ウナギは汽水域から淡水で生活するのに対し、アナゴは海水で生活している魚です。
アナゴはウナギと同じ夜行性の魚で、昼間は砂泥底に穴を掘ったり物陰に隠れて身を潜めていますが、夜になるとエサを求めて活動します。このため、
船アナゴ釣りは夕マヅメ~半夜の夜釣りが基本!!
アナゴは北海道から九州の南岸にかけての全国に生息しています。ただし、場所によって釣れるアナゴの種類が異なります。
船アナゴ釣りの対象魚となるのはマアナゴ(真穴子)です!
沿岸域で釣れるアナゴにはマアナゴとクロアナゴの2種類があります。マアナゴは一般的に「アナゴ」と呼ばれているもので割烹料理店や寿司店等で流通していますが、クロアナゴは陸っぱりで釣れる個体で、小骨が多く調理も面倒くさくて正直あまり美味しくありません。ところが、
マアナゴは食味ではウナギよりもあっさりして低カロリーで、昔から子供からお年寄りまで幅広く愛されている食材といえるでしょう。
東京湾で釣れる江戸前のアナゴは最高!!
晩春から盛夏にかけて釣り旬、味旬を迎えるマアナゴは、天ぷらや寿司はもちろん焼き物や煮付けでも極上の食材です。とくに、
シーズン初期に釣れる新子のアナゴは「メソ」と呼ばれ、小骨が少なく美味とされています。
私が年1回はかならず通うアナゴ専門店、日本橋の玉ゐさんでは「めそ重」が提供されているほど。
いまやウナギと並ぶほど市場価値の高いアナゴは、晩春から夏にかけての船釣りの風物詩であり、その独特の釣趣と抜群の食味で多くのファンを魅了しています。
東京湾のアナゴ釣りシーズンとおすすめの釣り船
アナゴは全国各地の陸っぱりや沖釣りで釣れる釣り物です。しかし、アナゴを専門に狙う船は全国広しといえども少ないのが実情です。
船釣りでは、東北は仙台松島湾の半夜の短時間で狙う夜アナゴ釣りや、冬場に新子のメソを専門に狙う伊勢湾のアナゴ釣りなどがありますが、何といっても、
晩春~初夏にかけて盛期を迎える東京湾の夜アナゴ釣りがおすすめ!
例年5月から7月になると、千葉県から東京都、そして神奈川県の遊漁船では夜アナゴ釣りの専門船が数多く出船しています。
出船時間は17時半~18時・帰港時間は21~22時!
実釣時間は3時間半位と短時間ですが、数や型を狙うのも十分です。しかも仕事帰りや午後半休とってから余裕で釣行もできるので、忙しい方にもおすすめです。
もちろん夕涼みがてら、家族連れやカップルでの釣行にも最高!
5月から7月とわずか3ヶ月間と期間限定の東京湾の夜アナゴ釣り!
今年の夏はぜひ夜アナゴの船釣りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか!?
アナゴ釣りのタックルと仕掛け
ここでは東京湾の夜アナゴ釣りをベースに、アナゴ釣りのタックルと仕掛けについて解説します。
もちろん、どこの釣り場でも応用できるのでぜひ参考にして頂けると幸いです。
アナゴ釣りのタックルと仕掛けはシンプルで独特です。
初心者や入門者にはレンタルタックル&仕掛けがおすすめ!!
船アナゴ釣りでは2本竿でチャレンジする方もいますが、初めての方はまず1本竿でコツをつかむことから始めましょう!
2本竿で狙う場合は、2本とも同じ調子の竿を使うのが鉄則!
ベテランの中には2本や3本竿で狙う腕利きの方もいますが、心配する必要はありません。まず初心者は誘い方とアワセ方でコツをつかむのが最優先です。
それでは、夜アナゴ釣りのタックルと仕掛けをご紹介します。
(1)タックル
①竿
竿は船アナゴ専用竿。またはマルイカ竿やシロギス竿、湾フグ用の竿でも代用可能です。
長さは1.2~1.8メートルでオモリ負荷は15~30号の、穂先が柔らかく胴のしっかりした先調子の竿が理想です。
②リール
リールは、小型の両軸リールか小型スピニングリールを使用します。
PE1~1.5号を最低100メートル以上巻けるものが最低要件となります。
③道糸
道糸はPE1~1.5号が100メートル程度あれば十分です。
船宿によっては「PE2号以下」と指定されているため注意が必要です。
④先糸(リーダー)
道糸の先に先糸(リーダー)を結びます。フロロカーボンラインの5~6号を30~50センチ程度、FGノットやPRノット等で直結するのが良いでしょう。
(2)仕掛け
さて、ここからが船アナゴ釣り独特の仕掛けになります。
夜アナゴの船釣りは、釣り方や攻め方によって3つのパターンがあります。
①1本針仕掛け・②2本針仕掛け・③テンビン仕掛け、の3つです。
オモリは一般的に釣鐘型オモリの20~30号を使います。使用するオモリの号数は事前に船宿に確認しておくと良いでしょう。
先糸(リーダー)に仕掛けを付けたら仕掛けの直上にケミホタル(発光体)を装着します。つける場所はオモリの真上か、5~10センチほど離してつけても構いません。ただし、
明る過ぎは禁物!で、ケミホタルミニ緑色(25)サイズで十分です!!
①1本針仕掛け(基本仕掛け)
1本針仕掛けは夜アナゴ釣りでもっとも基本的な仕掛けです。
釣鐘型オモリ20~30号に、夜光パイプやソフトビーズを5センチほど介してウナギ針11~13号をつけます。
船下を狙うオーソドックスな仕掛けで、船アナゴ釣りの基本仕掛けといえるでしょう。
②2本針仕掛け(基本仕掛け)
2本針仕掛けは、東京湾でもっとも使われている仕掛けです。
実際にベテラン勢の多くは、2本針仕掛けに2本竿、3本竿といった方が大半を占めています。
2本バリのハリスの長さは3~5センチの間で、それぞれ長さは同じでも変えても構いません。
③テンビン仕掛け
テンビン仕掛けは、仕掛けをキャストして攻めるときに有効な仕掛けです。
かつては船アナゴ釣りでは、両テンビン仕掛けがおなじみでしたが、現在は片テンビン仕掛けが主流となっています。
20~25センチの小型の片テンビンに、オモリは釣鐘型か六角オモリの20~30号。仕掛けは上記のアナゴ用仕掛けを1~2本セットします。
1本針、2本針仕掛けと同様、テンビンの上に発光体(ケミホタルなど)を装着します。
アナゴ釣りのエサ
東京湾の船アナゴ釣りのつけエサはアオイソメ一択!
特エサとして、イカを細長く切ったものやサバなどの身エサを使う方も見受けられますが、これまでの経験上アオイソメだけで十分です。
船宿の多くは、アオイソメ100グラムが乗船代込みで支給されます。ただし2~3匹房掛けにしたりするので量をたくさん使う場合は追加料金を払えばOKです。
アオイソメは細めのものから太めのものなど各サイズ揃えておくのがおすすめ。
そんな場合は、釣行前に釣りエサ屋で購入すると良いでしょう。
(1)エサのつけ方が大切!
アナゴはエサを取るのが上手です。普段は砂泥地の穴に潜った状態でエサを噛みちぎるようにして捕食するため、アオイソメのチョン掛けや通し掛けではすぐにエサを取られてしまいます。このため、
アオイソメが取られないようハリにつけなければなりません。
ここでは、船アナゴ釣りのエサのつけ方について解説いたします。
- 頭の固い部分に針先を入れチョン掛けする
- 3~4回縫い刺しを繰り返す
- ハリ先から4~5cm出してカットする
船アナゴ釣りは釣り座選びから
東京湾のアナゴの船釣りは、千葉県木更津沖、神奈川県寄りの中ノ瀬沖、富岡沖などがおもなポイントです。
水深は場所によって異なりますが、12~20メートルの浅場です。
アナゴ船は出港してしばらくすると潮回りして、ここぞというポイントにアンカーを下ろして船を固定します。1回の釣行でこの「流し」を何度か繰り返してポイント移動を重ねます。
東京湾の船アナゴ釣りは、アンカー等で船を固定して釣るかかり釣りが基本!
かかり釣りでは一般的に潮先(潮の流れている方向)が有利です。
とはいえ、釣行当日の潮時と風向きなどで潮先の位置は変わるので注意が必要です。さらに解りやすく説明すると以下の通りとなります。
- 下げ潮時で北風の場合はトモ(艫)が潮先の釣り座
- 下げ潮時で南風の場合はミヨシ(舳)が潮先の釣り座
船はつねに風が吹く方向に船首を向けています。東京湾の場合、北風(ナライ)が吹くと船首は都内の夜景側に向いているはずです。逆に南風の場合は沖側に向いています。もっとも正確には、北東や南西など複雑な動きをするので、時間帯によっても変わるのが実際です。
東京湾の遊漁船は、釣り座(場所)取りは先着順の船がほとんど!!
人気の船宿ともなるとトモやミヨシの座席を確保するのは至難の業です。とはいえご安心ください。
良い座席を確保できないからといって、釣れないという心配は無用です!
初心者や入門者は胴の間(船長のいる操舵室)近くがおすすめです。
アナゴの釣り方
(1)仕掛け投入
いよいよ実釣開始です。船長の合図とともに仕掛けを投入します。
初心者や入門者は、初めは船下にそのまま落とすか、軽く手前に落とすのが良いでしょう。
両軸(ベイト)リールを使用する場合、仕掛けが落下していく間はスプールを軽く親指で押さえながらサミングするよう心掛けましょう。
水深は10~20メートルと浅いため、オモリが着底するのはすぐに分かります。
着底したらリールを巻きながら、ゆっくり竿を上げて底ダチ(糸フケ)をとります。
アナゴは海底にいるため、巻き上げ過ぎないよう注意しましょう。
オモリが海底を引きずるくらいがちょうど良いと思います。
(2)船アナゴ釣りは小突きが基本!
船アナゴ釣りは、オモリをトントンと海底に小突くようなスタイルが基本です。
ただし、小突き過ぎや派手に大きく小突く必要はありません。竿先を軽く上下させるだけで十分です。
小突きのテンポを変えたり、しばらく小突いた後にいったん止めるのも有効です。
(3)早アワセは禁物!
アナゴのアタリは小さいのが特徴です。
前アタリは「フワフワ」・「フワン」といった感じで手元に微かに伝わるはずです。
ここでアワセを入れても逃がすかバラしてしまう確率が高くなるので、早アワセは厳禁です。
ここで小突くのをいったん止めて、明確な本アタリが来たらアワセを入れましょう!
しばらく待ってアタリが無ければ、エサを取られている確率が高いので、いったん仕掛けを回収しましょう。
(4)キャスト&小突きも有効
船アナゴ釣りは船下狙いが基本ですが、ベテラン勢はだいたい仕掛けをキャストして小突く方法で釣果を伸ばしています。
キャスト(投げ)&小突きは広い範囲を探れるため釣果UPに有効!!
前述の通り船アナゴ釣りはかかり釣りのため、仕掛けをキャストすることによって広い範囲を探ることができるので、アナゴ釣りに慣れてきたらこの方法がおすすめです。
(5)時合に集中して釣ること!
アナゴの船釣りではアナゴがバタバタと船上で釣れる時間帯がやってきます。この時合を逃さず積極的に数を伸ばしていくことが大切です。
釣行当日の潮況によって、時合は夕マヅメだったり、19時過ぎだったり、沖上り直前だったりするので気が抜けません。
仮に自分が釣れていなくても、周囲でバタバタと釣れ始めたらチャンスと捉えましょう!
(6)釣ったアナゴは船上で捌いてもらえるから安心
アナゴは素人ではさばくのは大変です。ましてやメソ級を下ろすのは至難の業。でも、心配は無用!
釣れたアナゴは船長や仲乗りさんに船上で捌いてもらえるので、安心して釣りを楽しめます。
持ち帰ったアナゴはその日のうちにヌメリを取りましょう!
ヌメリ取りは、下ろしてもらったアナゴの上に熱湯をかけて氷水に漬けるだけです。あとは白いヌルヌルを包丁でこそぎ落せば下処理完了です。
東京湾の夜アナゴ釣りでおすすめの船
東京湾の江戸前の夜アナゴ釣りでおすすめの釣り船をご紹介します。
夜アナゴに出船している釣り船は、おもに千葉県から東京都、神奈川県にかけての港ですが、どの船もほぼ同じポイント(木更津沖・内ノ瀬・富岡沖など)で釣りをするので、
イチバン近い最寄りの船を探すのがおすすめです!
夜アナゴ船の出船時間は17時半前後で、帰港する時間が深夜に及んでしまうため、帰宅時間が遅くなることにも留意しておきましょう。また、
一部の船ではアナゴとシロギスのリレー船があるのが嬉しいところ!
まさに、江戸前の天ぷら目的で楽しむ欲張りなアングラーにはおすすめなリレー船です。
釣り方や詳細等は各船宿にご確認ください。
千葉県
❶ 桜丸 木更津港
❷ こなや丸 袖ヶ浦長浦港
❸ 小峯丸 千葉寒川港
❹ 守山丸 千葉寒川港
❺ つり滝 船橋港
❻ 吉野屋 浦安港
❼ 吉久 浦安港
東京都
❶ ひらい丸 東品川
❷ かみや 羽田
❸ ミナミ釣船 南六郷
神奈川県
❶ つり幸 浜川崎
❷ 中山丸 浜川崎
❸ 新明丸 横浜鶴見
❹ 隠居屋 横浜鶴見
❺ 濱生丸 横浜根岸
❻ 一之瀬丸 金沢八景
❼ 忠彦丸 横浜金沢港
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