いまや釣りの世界において最高峰といわれるマグロ釣り。海のダイヤと呼ばれるクロマグロを筆頭に、キハダマグロやメバチマグロなどのマグロ釣りは、近年急速に人気が高まり、もはや一般のアングラーにとって身近な存在となっています。
ところが、マグロの王様クロマグロは年々個体数が激減し、絶滅危惧種にも指定され、遊漁船で漁獲できる量は規制されています。現に、6月1日に解禁されたクロマグロの遊漁はわずか4日間で禁漁となり、6月末まで釣ることができません。
釣り客の急増に伴いクロマグロ釣りの船を予約するのは、もはや至難の業といってもよいでしょう。
クロマグロに次いで人気が高い釣りがキハダマグロ釣りです。
最短距離でマグロをGETするならキハダマグロ釣りがおすすめ!!
キハダマグロはクロマグロにくらべて個体数も多く、現時点では漁獲量が規制されていないため、釣りの上でもっともポピュラーで、比較的手軽に釣りを楽しむことができます。
とくにキハダマグロ釣りでは表層やトップウォーターを狙うため、船上からキャスティングやジギングなどゲームフィッシングとして最適な釣りです。
初夏から夏場にかけては、初心者や入門者でも比較的簡単に釣ることが出来て、かつ50キロオーバーのキハダマグロを狙える絶好のシーズン!さらに、
カツオも同時に狙うことができるので楽しさ2倍!!
そこでキハダマグロを最短距離で釣るために、釣り方や仕掛け、地域別釣況、おすすめのキハダマグロの釣り船について、基本的な事項を解説します。

キハダマグロについて
日本近海で釣れるマグロには、クロマグロ・キハダマグロ・ビンチョウマグロの3種類があります。
キハダマグロは漢字で「黄肌鮪」と書き、一般に『キワダ』とも呼ばれ、背ビレと尻ビレが黄色っぽいのが特徴で、最大で体長2メートル、重量300キロとクロマグロよりやや小ぶりのマグロです。
キハダマグロの遊泳層は表層~トップウォーター!
クロマグロは摂餌するために100メートルを超える深場から表層まで遊泳しますが、キハダマグロは基本的に表層を遊泳する習性があります。
こうした習性はマグロ釣りをする上で大変重要なポイントです。
キハダマグロの釣り期は夏から秋にかけて。全国各地の沿岸ではカツオ釣りと並んで非常に人気の高い船釣りで、多くの釣り人で賑わいます。
夏場のキハダマグロは最も脂が乗っていちばん美味しい時期と言われています。
キハダマグロの食味はあっさりとして、刺身や寿司ネタとしてはもちろん煮物や焼き物にも最適。俗に『トロ』と呼ばれる部位はありませんが、ツナ缶の原料としても使用されます。
店頭価格ではクロマグロよりもはるかに安く、100グラムあたり250~500円程度でスーパーや鮮魚店の店頭でも並んでいますが、海外からの輸入物が大半です。
初夏から盛夏にかけてキハダマグロを釣るチャンス!
多くの釣り人にとって夢とロマンにあふれるマグロ釣り。今年の夏はキハダマグロ釣りにチャレンジしてはいかがでしょうか!?

キハダマグロ釣りシーズン展望とおすすめの船一覧
キハダマグロはクロマグロと比べて、全般的に日本海側よりも太平洋岸で釣れる傾向があります。
とくに、カツオとともに就餌活動を行なうため、たいていは『カツオ・マグロ船』や『キハダ・マグロ船』として出船している遊漁船が多い傾向です。
また最近では、規制が強化されているクロマグロ釣りが禁漁になったときにキハダマグロ釣りへシフトする船が増えています。
おもにキハダマグロが釣りが盛んなエリアは、関東の茨城~外房沖や相模湾沖、伊豆大島近海、駿河湾の金洲~遠州灘、三重の鳥羽~和歌山串本沖、高知土佐湾沖~愛媛豊後水道、九州北部の玄海灘、鹿児島沖、沖縄県一帯と広範にわたります。
地域によって釣り期は変動がありますが、一般的には初夏から秋にかけてが最も盛んな季節です。
とくに7月から9月にかけては、初心者でも比較的釣りやすい時期で、小型のキメジから大型のキハダが数釣れる絶好のチャンス!!
まずは、釣行先のエリアごとの釣り期を正確に把握した上で釣行することが、キハダマグロを釣る最短距離といっても過言ではありません。
ここでは現況と例年のデータを踏まえ、全国の主要地域におけるキハダマグロ釣りの傾向と対策をサマリーしてみました。気象条件や海況など年や地域によって変動しますが、おおよその目安として少しでも参考になれば幸いです。

キハダマグロの釣り方
キハダマグロ釣りには、おもに4つの釣り方があります。
近年その手軽さから人気の高いジギングやキャスティングのルアー釣り。イワシなどの活きエサ(ライブベイト)を泳がせるフカセ(活きエサ)釣り。そしてテンビンにカゴをつけてオキアミエサを食わせるコマセ釣りです。ただし、
釣り方はシーズン・地域によって変わるのがポイントです。
シーズン初期から夏場にかけては、ライブベイトをの活きエサ釣りやジギング・キャスティングがメインで、盛夏を過ぎる頃からコマセ釣りが有利となる傾向があります。
とくにシーズン前半は表層でベイトフィッシュの小魚を追いかけ、コマセにはあまり反応しませんが、後半になると遊泳層もやや深くコマセにも積極的に反応するためです。
ジギングやキャスティングといったルアー釣りは、キハダマグロ釣りのさまざまなシーンでオールシーズン対応できるマルチな釣り方といって良いでしょう。
キハダマグロ釣りはナブラや鳥山を探したり、魚の群れを魚探で追いかけて釣るだけに、日によって釣果にムラが激しいのが難点です。
ジギングやキャスティングはタックルや仕掛けが手軽で初心者にも最適ですが、シーズン後半のコマセを撒いて魚を寄せて釣るコマセ釣りもおすすめです。
釣行する場所・季節・船等を考えた上で釣り方を決定しタックルを揃えましょう!
キハダマグロ釣りのタックルと仕掛け
キハダマグロ釣りのタックルは大物を想定したタックルがベスト!
100キロを超える大物がヒットすることもあるキハダマグロ釣り。5キロオーバーのカツオと同時に狙うことも多い釣りですが、キハダマグロは30キロを超える大型も上がる上に、強靭なパワーで竿をグイグイとしならせます。
ノーマルの青物用竿やルアーロッドでは、大物がヒットした場合竿がへし折られてしまいます!
このため竿(ロッド)やリールは、1サイズ上の大物がヒットすることを想定したタックル構成を揃えるのがポイントです。
また釣り方に関わらず、仕掛けも太めの仕掛けで臨みましょう。
ここではそれぞれの釣り方について、タックルと仕掛けについて解説します。
(1)フカセ釣り(スピニングタックル)
活きエサ釣り(ライブベイト)は、竿とリールそして道糸(ライン)にリーダーを直結してハリを結ぶだけのシンプルなタックル構成です。
フカセ釣りのスピニングタックルはジギングやキャスティングでも使用できるのが利点です!
基本的にはスピニングリールを使用したタックルですが、クロマグロのフカセ釣りのようにマグロ用の竿に両軸(ベイト)リールを使用する場合もあります。
どちらを選択するかは、事前に船宿に確認しておくことをおすすめします。
①ロッド(竿)
竿(ロッド)は長さ6~7フィート(1.8~2.1メートル)のスピニング対応の大物用ルアーロッド。マグロ用のジギング・キャスティング用のモデルで、番手は5~6番クラスがおすすめです。
コマセマグロ用の船竿を使用している方も見かけますが、スピニングリールとのタックルバランスに難があり、あまりおすすめできません。
②リール
リールは10000~12000番台の大型のスピニングリール。とくにマグロ釣りではHG(パワーギア)よりもPG(パワーギア)タイプがおすすめです。
なおジギングやキャスティングとの併用を考えている場合はHGタイプでも良いでしょう。
③ラインとリーダー
道糸(ライン)はPE4~6号を最低でも300メートル以上巻き、リーダーはフロロカーボンの16~20号を2メートル前後PRノットまたはFGノットで直結します。
④フック(ハリ)
フック(針)はヒラマサ針の14~16号の一択。あくまでも好みの問題ですが、金色系のほうが食い気が良いような感じです。
フカセ(活きエサ)釣りの基本型となるスピニングタックルをご紹介しました。
スピニングタックルはジギングやキャスティングとの兼用を念頭に揃えると、マグロ以外にもヒラマサやカンパチなどの大物釣りの楽しさが倍増します。
とくにゲーム性の高い釣りを志向する方は、スピニングタックルがおすすめです。

(2)フカセ釣り(ベイトタックル)
活きエサ釣りでは、スピニングタックルの他に両軸リールを使用したベイトタック ルで釣ることも可能です。ただし、船によってはスピニング限定の場合もあるためご注意ください。
両軸(ベイト)タックルはコマセ釣りと兼用することが可能です!
自分自身の釣りのスタイルに合わせて、スピニングかベイトいずれかのタックル構成を考えるのが良いでしょう。
なお、道糸(ライン)やリーダー、フック(ハリ)などの仕掛けはスピニングタックルと同じです。
①竿
フカセ釣りでは、キハダマグロのパワーをいなしつつ、ムチのようなしなやかさを持つ竿が理想です。そういう意味では剛樹のGハンティングあたりがベストです。
またコマセ釣りとの併用を考えた場合、オモリ負荷が最低100~200号必要になりますが、フカセ釣りは基本手持ち竿のため、なるべく軽量のものを選ぶのがポイントです。
長さは1.5~2.3メートルの7:3調子で、グラス製のワンピースロッドが良いでしょう。
②リール
リールは大型の両軸リール、または中型の電動リール。ただし電動リールだと電源コードが邪魔になるため、フカセ釣りでは手巻きの両軸リールがおすすめです。
ジギングと兼用する場合は両軸(ベイト)リール。コマセ釣りと兼用する場合は電動リールを選択するのが賢明です。
両軸リールは、シマノのオシアジガーが軽量で操作性にも優れており、ブリやヒラマサといった青物やクエなどの大物釣りでも大いに活躍するでしょう。
電動リールは、ダイワのレオブリッツかシマノのフォースマスターがおすすめ。キハダマグロ釣りにはレオブリッツなら500番台、フォースマスターは6000番台が適しているでしょう。

(3)コマセ釣りのタックル
夏以降のシーズン後半や駿河湾沖の金洲などで盛んに行われているコマセ釣りは、キハダマグロ釣りのポピュラーな釣り方のひとつです。
深場を狙うこともあるコマセ釣りでは、マグロやヒラマサなどの青物用ロッドに中型電動リールが一般的なタックル構成で、ステン缶などのカゴをつけたハリスの先にハリを結び、フカセ釣りよりも太めの仕掛けを使用します。
キハダマグロやカツオ釣りはスタンディングファイトが基本ですが、コマセ釣りの場合は置き竿にした状態でのウインチスタイルもバトルできるので、体力に自信のない方にはおすすめです。
①竿
コマセ釣りには、キハダマグロやヒラマサが狙える大物の青物用ロッドが適しています。基本的に置き竿スタイルで釣るので、自重のある深場用の竿で代用することも可能です。
7:3調子でオモリ負荷が100~200号あるものが適しています。
「安物買いの銭失い」ということわざがある通り、キハダマグロ釣りでは竿やリールは価格よりもある程度スペック重視で選ぶのが賢明です。
実際に、安い物を購入したが故に竿を折られてしまった方々を数多く見かけます。
②リール
リールは中型の電動リールか、大型の両軸(ベイト)リールです。
大型の電動リールで釣ることももちろん可能ですが、手返しの早いキハダやカツオ釣りには適していません。またリールが重すぎてスタンディングでファイトするのが大変です。
またフカセ釣りでも述べた通り、体力に自信があれば大型両軸リールでも可能です。その場合は巻上げ速度の速いHGタイプを選びましょう。
③道糸
コマセ釣りでは、フカセ釣りやジギング・キャスティングよりも太めの道糸(ライン)を使用します。
エリアやポイントによって多少変動しますが、道糸はPE8~10号が基準です。
道糸の先にショックリーダーを結んだほうが良いといいますが、釣果にはあまり影響はないようです。ショックリーダーを結ぶ場合は、ナイロン50~60号を5メートル程度とり、ループトゥループ等で直結します。
道糸もしくはリーダーの先には、大型のスナップスイベルを付けましょう。
④テンビン
キハダマグロ釣りのテンビン(天秤)には、アームが長く強度の強いものが適しています。
とくにコマセ釣りでは、コマセカゴやステン缶が吹き飛んでロストしてしまうこともしばしば。
通常の片テンビンでも構いませんが、強度が弱くコマセカゴが飛ばされるケースが多発しています。
おすすめはチドリ型かKD型のテンビン。アームの長さは50センチ以上あるものがベストです。
⑤ビシ(カゴ)
ビシ(カゴ)はサニーカゴLまたはステン缶の80~100号が標準です。
ただし、ポイントや船によって指定されている場合もあり注意が必要です。ビシの号数はかならず事前に確認しておくと良いでしょう。
先にも述べたように、カゴを飛ばされてロストしてしまうこともあるため、
ビシ(カゴ)は2種類の号数をかならず2~3個ずつ用意しておきましょう。
⑥ハリス
キハダマグロのコマセ釣りでは、テンビンにそのままハリスを結びます。一般的な青物釣りで使用するクッションゴムは使わず、テンビンにダイレクトにつなぎます。
ハリスはフロロカーボンの18~26号が標準で、ポイントに応じて3~5ヒロ(4.5~7.5m)とります。
⑦ハリ
ハリは、マグロ用のネムリムツバリの15~18号かヒラマサバリの16~18号がおすすめ。
赤色の強化チューブでチモト部分を6~8センチ程度補強しておくと、マグロとのファイト中のラインブレイク対策に有効です。
大物用のハリに太いハリスを結ぶのは初心者や入門者にとっては大変な作業なので、市販のハリス付きの仕掛けを購入するのも良いでしょう。

(4)キャスティングのタックル
キハダマグロのキャスティングは、基本的にトップウォーターか表層(海面付近)を狙う釣りです。
船は、ナブラ(キハダやカツオがベイトフィッシュを追いかける様子)を探したり、魚探で魚の反応を探りがら先回りしたりしてポイントを見つけます。
このためキャスティングでは、ペンシルベイトやポッパーといったルアーを遠くに投げられるタックル構成が必要になります。
キャスティングのタックルは、フカセ釣り(ライブベイト)のスピニングタックルをそのまま転用することができます。
ただしフカセ釣りと兼用する場合は、ルアーを遠くへ飛ばすために、竿は長めのものでリールも大きめのものを選ぶのがポイントです。
①ロッド
ロッドはルアーを遠くへ飛ばすための重要なツールです。
長いロッドほど遠投することができますが、自分の身長や体力を勘案して選ぶことが大切です。
キャスティングロッドは、ダイワかシマノの2大メーカーが最も安定性も高く無難です。またリップルフィッシャーのBIGTUNAは少々値が張りますが、マグロ用キャスティングロッドとしては非常に高い人気を誇ります。
②リール
リールは、ドラグ性能に優れボディ剛性の高いものを選びましょう。
マグロキャスティングで使用するリールはある程度限定され、ダイワのソルティガかシマノのステラの12000から18000番台が定番化しているといっても良いほど。
価格は高いですが、やはりマグロを釣り上げるともなると、それなりにコストはかかることを覚悟しておきましょう。
③ライン
ラインは8本撚りのPE4~8号を使用します。
30キロ前後がアベレージサイズのポイントでは4~6号を最低300メートル、50キロオーバーの大型が出るポイントでは6~8号を最低400メートル巻いておきます。なお、
ラインはかならず釣具店で巻いてもらいましょう!!
④ショックリーダー
エリアやポイントにもよりますが、キャスティング使うリーダーは80~100lb(22~30号)が標準です。
目安としては『PEの号数✕4』と覚えておきましょう!
マグロキャスティングのリーダーは、フロロカーボンよりもナイロンのほうがおすすめです。
リーダーの長さは、だいたい2~4メートルとるのが一般的です。
⑤リング
リングはショックリーダーとルアーを接続するためのツールです。
リングやスイベルを一切使わず、直結するのもおすすめです。直結した方がアクションがダイレクトにルアーに伝わるからです。
はじめてキハダマグロ釣りにチャレンジする方はリングを使用するほうが良いでしょう。
また、スイベルはルアーの動きを半減させてしまうため、あまり好ましくないといえるでしょう。
⑥フック
フックはルアーに接続して魚を掛けるための重要なツールです。
キハダマグロのキャステングはトレブル(トリプル)フックを使うのが一般的です。
マグロキャスティング用のフックといえば、オーナーから販売されているスティンガーのST-66がもはや鉄板といっても過言ではありません。
フックはかならずルアーのサイズに合わせるように注意しましょう!

(5)ジギングのタックル
キハダマグロ釣りといえば表層を狙ったキャスティングゲームが主流ですが、沖縄など一部の地域では水深100メートルを超える深場をジギングで攻めることもあります。
ジギングタックルは、200グラム以上のメタルジグを深場へアクセスし、深場からキハダマグロとのファイトに持ち堪えられるだけのヘビータックルが要求されます。
キハダマグロのジギングタックルには、スピニングタックルとベイトタックルの2つがあり、それぞれ長所・短所があります。
パワー重視の場合はベイトタックル。アクション重視の場合はスピニングタックルがおすすめです。
①ロッド
ロッドは200グラムを超えるメタルジグを背負えるだけのパワーを持つものが基本です。
長さは6~7ft(1.8~2.1m)で、5~6番以上の大型青物用ルアーロッドがおすすめです。
ダイワではソルティガのエアポータブル、シマノではオシアジガーのインフィニティがとくに人気の高いロッドです。
②リール
リールは、スピニングリールなら10000~14000番台でPG(パワーギヤ)がベストですが、HG(ハイギヤ)タイプでも構いません。
ベイトリールは、フカセ釣り(ライブベイト)釣りでもご紹介した通り、シマノのオシアジガー3000~4000番クラスがおすすめです。
この一台あれば、ヒラマサやブリなどの大型青物やクエやイシナギなど大物釣りすべてに対応することが可能です。
③ライン
ジギングでは8本撚りのPE4~6号とキャスティングより細めのラインを使用します。
ポイントによって異なりますが、できればラインは400メートル以上巻いておきたいところです。
④ショックリーダー
リーダーは80~90lb(22~26号)を1.5~3メートルとります。
ジギングの場合は、ナイロン製でもフロロカーボン製でもどちらでも構いません。
⑤フック
キハダマグロジギングではシングルフックを使います。
オーナーから販売されているカルティバのジガーミディアムツインチェイサーは多くのジギンガーにとっても人気商品です。
キハダジギングでは、9/0~11/0がベストサイズでしょう。

キハダマグロ釣りに必要な道具類
(1)装具類
①ギンバル・デカアテ等
キハダマグロとのファイトには欠かせない道具です。
ギンバル(パッド)、Tバー、デカアテなど種類がたくさんあり、釣り方に応じて使い分けます。
フカセ釣り(ライブベイト)やコマセ釣りにはTバーかデカアテを使用し、キャスティングやジギングにはギンバル(ベルト)を使用するのが一般的です。
②グローブ
キハダマグロ釣りに限らず、大物釣りには必須アイテムです。
ドラグ調整やラインの取り扱いをするため、グリップ力の高い3本指カットがおすすめです。
とくにキハダ釣りは初夏から秋にかけての暑い時期が多く、なるべく薄手のものが良いでしょう。
(2)その他
①魚すくい用網
活きエサとなるイワシをすくうための網です。
船によっては常備されていることもありますが、そうでない場合もあるため専用の網を用意しておくのと便利です。
ホームセンター等で販売されている観賞魚用の網で十分です。
②脳締めピック
キハダマグロやカツオは船上に上げるとバタバタと激しく暴れるため、脳締めを施すのが一般的な処理法です。
船長や仲乗りさんによって処理してもらえる船もありますが、他の魚種の釣りでも使えるため、自分用の脳締めピックが1本あると大変重宝する一品です。
③ネームタグ
キハダマグロやカツオ釣りの乗合船では、原則として釣れた魚は船に搭載された大型クーラーやイケスに氷詰めした状態で全員分をまとめて保管します。
自分の釣果であることが解るように、「目印」として結束バンドにネームタグをつけておくのが一般的な保管方法です。
もし忘れてしまった場合は、船宿でも販売されていますのでご安心ください。
キハダマグロの釣り方
(1)フカセ釣り
①エサのつけ方
フカセ釣りの活きエサはカタクチイワシ(シコイワシ)かマイワシが一般的です。船宿のイワシの入荷状況次第で出船可否が決定します。
フカセ釣り(ライブベイト)はまずエサ付けがポイントです!
イワシは大変弱い魚ですので、イケスから数尾ずつすくって各座席に置かれたカメに入れたら、速やかに投入準備にかかります。
イワシをすくう時は、直に手で触れずかならず目の細かい網ですくいましょう。
活きエサのイワシを軽く手のひらに載せる感じで、決して握らないよう注意してつけましょう。
イワシのつけ方には①通し刺し、②鼻掛け、③背掛け、④エラ掛けがありますが、キハダマグロ釣りには大きめのシコイワシかマイワシを選び、②鼻掛けか③背掛け、④エラ掛けで付けます。
マイワシの場合は①通し刺しでも構いません。
エサを長持ちさせたい場合は②鼻掛け、深く潜らせたい場合は③背掛け、シコイワシの場合は④エラ掛けが適しています。

②エサの投入と泳がせ方
船長の合図とともにイワシを投入します。スピニングリールであれば、ベールを起こしフリーの状態にしてイワシを速やかに海中に入れます。
イワシが前方の沖へ向かい船から離れて泳いでいくように流すのがポイントです。
いつまでも水面上をヨロヨロ泳いだり、船底の方に泳いだりした場合は速やかに仕掛けを回収して再投入しましょう。かりに船底方向でヒットしたとしても船底に擦れてラインブレイクしてしまい、あっさりゲームセットになるのがオチです。
イワシが元気よく下へ潜っていくのがベストな流しです。
ナブラがない場合、キハダマグロの遊泳層はカツオよりも下層のため、キハダマグロの遊泳層まで届かなければまったく意味がありません。
ラインが30~50メートルほど出ていくまで待ち、ヒットしなければ速やかに回収して新しいイワシにつけ替えます。
これらの一連の作業を迅速に丁寧に行なうことが、キハダマグロを高確率でGETする秘訣です。

③ヒットとやりとり
魚がヒットしたらものすごい勢いでラインが出ていきます。この瞬間こそマグロ釣りの醍醐味です。
このとき慌てて竿を立てたりリールのベールを戻してしまうと、ラインブレイクの原因となりアウト。
落ち着いて深呼吸してしばらくラインが出ていくのを見守りましょう。10~20メートルほどラインが出たら、ベールを戻して軽くアワセを入れます。
ドラグ調整は3キロ前後(手で引っ張ってジリジリと出るくらい)に設定しておきましょう。トラグがキツ過ぎるとラインブレークにつながりますし、逆に緩すぎてもオマツリの原因となります。
アワセたときの感触で魚体の大きさを判別します。
小さければドラグを締めてゴリ巻きして強引に寄せ、大きければしばらく走らせてからドラグを調整しながら徐々に締め上げていきます。
魚に主導権を握られないよう多少強引なやりとりすることが大事です!
乗合船では魚とのやりとりに時間をかけてしまうと、他の釣り客に迷惑をかけてしまいます。なるべく早く取り込みまで持ち込みましょう。
④取り込み
キハダマグロが船下に見えてきたらあとひと息。しかし、ここで油断してはいけません。キハダマグロ釣りでは取り込みでバラしてしまうケースも多々発生します。
取り込みはかならず玉網(タモ)を使用します。タモ入れはとくに慎重に行ないましょう。
上がってきたキハダは最後のひと暴れを見せることもあり注意が必要です。魚体が水面にプカプカと浮いた状態で、魚体を誘導しながら確実に頭からタモ入れしてもらいます。
魚体の6~7割がネットに収まったのを確認したら、ラインをゆるめて一件落着。
魚体が大きい場合は一緒にタモを引き上げるのを手伝いましょう。そして、
タモ入れしてくれ方にはひと声『ありがとうございます』を忘れずに!
(2)コマセ釣り
①エサとつけ方
キハダマグロのコマセ釣りは、つけエサとコマセにオキアミを使うのが基本です。
オキアミは1回の釣行で3キロのブロックを2~3枚使用しますが、たいていは船宿で用意してもらえるので安心です。ただし、
つけエサのオキアミは粒の大きい物を自分で用意しましょう。
キハダマグロ釣りに限らず、マダイやワラサなどのコマセ釣りでは船宿で支給されるオキアミよりも、つけエサ用の粒の大きい3L~4Lサイズをつけエサとして使用する方が断然食いがアップします。
エサのつけ方は1尾掛けが基本で、当日の釣況に合わせて2尾掛けにする場合もあります。
詳細は下図を参照ください。

➁仕掛けの投入とシャクリ
コマセ釣りでは、船長が魚探の反応を見ながら魚の群れの動きに先回りして操船して、移動を繰り返すのが基本パターンです。したがって、
コマセ釣りは迅速に仕掛けを投入し、素早い手返しが重要です!
船が潮回りしてスローダウンしはじめたら、リールのクラッチを切った状態でテンビンを船べりの外に出して仕掛けを持ち、船長の合図とともに速やかに仕掛けを投入します。海中を落下している最中は竿先を下げ、なるべく早くタナまで届けましょう。
場所や船にもよって異なりますが、マダイ釣りとは異なり、船長は「〇〇~〇〇メートル!」とある程度幅を持たせてタナを指示します。
このとき、船長の指示ダナよりもやや深めまでカゴを落下させた方良い気がします。
仕掛けがタナに到達したら竿をあおってシャクリを入れます。当日の活性が高い場合は、コマセは一気にトバッと出し、活性が低い場合はチョロチョロ出すのがポイントです。
3分ほどアタリがなければ仕掛けを速攻で回収し、エサをつけ替えて再投入の繰り返し。
コマセ釣りでは短時間で転々とポイント移動するため、一連の作業は速やかに行なう必要があります。
③アタリとやりとり
キハダマグロのアタリは、まずはじめにゴツっとかコンっという前アタリがあるのが特徴です。
前アタリのときに竿先を上げて強くアワセを入れましょう!
マグロの歯はギザギザしており、エサを呑み込まれてしまうとハリス切れの確率が高まるため、バラシ原因につながります。ハリはマグロのカンヌキにかけることが確実にマグロをゲットする秘訣です。
マグロとのファイトが始まったらスタンディングファイトが原則。体力に自信がなければ置き竿にしてウインチでも構いません。
ドラグはキツめに締めておきます。フカセ釣りと同様3キロで道糸を引っ張ってジリジリと出る程度がベストです。ドラグを緩めに設定して道糸を出し過ぎるとオマツリして他のお客さんにも迷惑をかけるので要注意です。
時間をかけずにポンピングしながらゴリ巻きして船下に寄せましょう。マグロが弱ってきたらドラグはキツく締めて最後の締め上げにかかります。
水面下にマグロの魚体が見えたら、慎重に水面に浮かせて玉網(タモ)ですくってもらいましょう。
(3)キャスティング
①キャスティングのルアー
キャスティングやジギングゲームはルアー選びから始まるといっても過言ではありません。
キャスティングはトップウォーターから表層を攻めるため、水面に浮くフローティング系のポッパーやペンシルベイト、ミノーなどを中心に、水面に沈むシンキング系のペンシルベイトやミノーなどを使用します。
ルアーの種類、サイズやカラーはエリアやポイント等によってさまざま。
サイズは長さ140~230mm・重さ50~200g・イワシカラー系はマスト!
事前に船長や現地の釣具店のスタッフにヒヤリングして情報を入手するのが最善の方法です。
あらゆるコンディションに備えて最低でも10個以上は用意しておくと良いでしょう。
ここでは、キハダキャスティングゲームでベストセラー的な3アイテムをご紹介します。
●定番として揃えたいペンシルベイト
●ポッパーでは実績の高さはピカイチ!
●シンキングタイプで欲しいペンシルベイト
➁キハダキャスティングの注意点
キャスティングでは、船はナブラ(ボイル)や鳥山を目指して転々とポイント移動を繰り返すのが基本です。もっとも、釣行当日の潮況によってはナブラがまったく立たない日もしばしば。したがって、
ナブラがあるケースとそうでないケースでは使用するルアーやキャスティングの仕方も異なります。
キャスティングゲームは船長の操船技術もさることながら、
ルアーをどれだけ遠くに飛ばせるか、正確にキャストできるかがポイントです!
とくにキハダマグロのキャスティングでは、エリアや船によってはフカセ釣りやコマセ釣りと同じ船で出船するケースも多いため注意が必要です。
キャスティングゲームには一定のルールがあり、船によっては独自のスタイルがあるので、かならず事前に確認しておきましょう。
③キャストとアクション
ボイル(ナブラ)がある場合、船はスローダウンしてボイルに向かって接近します。
このときボイルの進行方向を確認しておくことが大切です。ベイトがバシャバシャと跳ねている位置は少しずつ右に左に移動していくはずです。
船長の合図とともに、舳先(ミヨシ)の釣り座からキャストを始めます。
自分の順番が来たらいよいよキャスト開始!
ボイルが進んでいる方向、または進んでいくと予測される方向よりやや遠くまでルアーを飛ばします。
ルアーが着水したら、ワンアクション入れて5~10秒ほどそのままステイ(放置)します。
キハダキャスティングはこのステイ(放置)が有効とされています。
アクション➜ステイの間隔を長くとるほどキハダマグロのヒットする確率がアップします。
ただし、闇雲にステイ(放置)すると次の順番の人とオマツリするリスクが高まり、時間をロストしてしまうので避けましょう。
ボイル(ナブラ)がない場合、船は魚探でキハダやベイトの群れを探しながら先回りして接近します。
船長の合図で、一番手、二番手…とキャストしていきます。
ルアーが着水したら、竿をはたくようにしてポッパーやペンシルベイトに派手なアクションを入れます。ちょうど海面上でバシャバシャとベイトが暴れているイメージです。
ナブラが無い場合はいかにキハダを誘い出すかがポイントです。
海面が穏やかな場合でも、状況によってはキハダマグロがボコッと音をたてて水面のルアーにバイトしてきます。
この瞬間こそがキハダキャスティングの醍醐味です。
④ヒットから取り込み
キハダがヒットしたら「ヒット!」と大きな声を上げましょう。
ヒットした者の周囲の人たちは急いでルアーを回収し、船長はファイトに備えて操船をはじめます。
ロッドを煽りアワセを入れます。フックをガッチリと掛けるためです。アワセが強すぎるとラインブレイクの原因になるため気をつけましょう。
ヒットした瞬間キハダは海中へ突っ走る習性があります。あわてて竿を立てたりリールをゴリ巻きしてはいけません。このときの感触で魚のサイズを判断します。
ヒットしたサイズにもよりますが、キハダが突っ走りはじめたら30メートルほどラインを出します。大型の場合はさらに走らせて構いませんが、ラインの出し過ぎは禁物です。
ラインの出る速度が弱まったら巻き上げにかかります。ドラグを3キロ位に設定してとにかくゴリ巻きしましょう。ただし、
ファイト中は竿の角度は60度以上立てないこと!
とくに船下に近づくにつれて、キハダの急な突っ込みで竿を折られてしまうリスクが高まります。
船下まで寄せて海面下にキハダマグロの魚体を確認したらロッドはほぼ水平の状態でぶり上げます。
キハダのキャスティングやジギングでは、取り込み時のバラシが多いのが特徴!
取り込みでは、かならずフックの掛かっている位置に注意します。ガッツリ掛かっているか、そうでないかによってネットへの入れ方も変わります。
ネットランディング時にルアーのフックが原因で取り込み寸前のキハダを取り逃がした事例も多発するので気をつけましょう。
(4)ジギング
①ジギングのルアー
キハダマグロジギングではメタルジグを使用します。とくに、上げて誘ってフォールで食わせるというパターンでヒットするケースが多いため、
フォールスピードの遅いスロージギング系のジグは必須アイテムです!
スロージギングのメタルジグにはさまざまな種類がありますが、セミロングタイプがおすすめ。
水深100メートルを超えるキハダを狙うには、ジグウェイトはポイントの水深や潮流等によって変える必要があり、アクションもいくつかのバリエーションを揃えておくのが賢明です。そのためには、
事前に現地(ポイント)の水深や潮流、ジグウェイトやカラー等をリサーチしておくことが大切です。
ジグウェイトは基本的に180~350グラム。サイズやカラーはベイトとなるカタクチイワシをベースにして揃えるのがスタンダードですが、ポイントによってベイトが異なる場合もあるため注意が必要です。
ここではキハダジギングで最も定番とされるおすすめのジグを3つご紹介します。
➁ジグ投入とアクション
水深100~200メートルと深場を攻めるキハダマグロジギングでは、船長が魚探の反応を見ながらポイント移動していきます。
船長は「〇〇から△△メートル」とある程度タナを教えくれますが、ベイトの遊泳層(レンジ)よりも上の方でヒットしてくるケースが多いようです。
ジグの投入は当日の潮流も考慮し、ラインのマーカーを見ながら船長の指示ダナ「△△メートル」よりもプラス10~20メートルまで落とし、「〇〇メートル」よりプラス20~30メートル上のレンジを広範に探りましょう。
またキハダマグロはヒラマサやブリなどの青物とは異なり、フォール中でジグにアタックしてくる習性があります。こうした特性を把握しておくのはキハダジギングでは大切な要素です。つまりキハダジギングでは、
上げのアクション➜ロングフォール➜上げ➜フォールが基本動作です。
さらに、上げのアクションを交えコンビネーションジャーク(ワンピッチやミドルジャークを織り交ぜる)や、ロングフォールを効果的に試してみるのも釣果アップにつながります。
③ヒットとやりとり
キハダがヒットすると「ゴツン!」という感覚とともに、ラインがものすごい勢いで出ていきます。
どの釣り方でも同じですが、ヒットした瞬間キハダマグロは突っ走ります。あっという間に100メートルなんてこともザラです。
深場を攻めるジギングではラインの出し過ぎは禁物です。マグロはボトムへ潜る習性があり、ポイントや場所によっては根ズレでラインブレイクといった事態も発生するためです。
ラインの出方が落ち着いた段階で、締め上げにかかる必要があります。竿を軽くあおりフックを掛けたら、竿尻をベルトで支持しグイグイとポンピングの開始です。
キャスティングでも述べた通り、竿の角度は水面に対して30~60度をキープします。それ以上立てると思わぬ突っ込みで竿を折られてしまいます。
キハダジギングは体力勝負です!
キハダマグロのジギングでは一日中ロッドを持ちながら重たいジグを操作し続けます。
ましてや、本命がヒットしたらキハダマグロとの1対1の格闘だといっても過言ではありません。基礎体力がなければ無事にゲットすることができません。
かりにGETできたとしても、船上でヘロヘロの状態はもちろん、翌日は激しい筋肉痛に見舞われるでしょう。笑