現在タイではコロナ前以上に大幅な入国緩和を実施しています。例えば日本人の場合、以前はノービザの滞在期間が30日間だったのが来年3月まで45日間まで延長されたり、出入国カードの記入が不要になるなど、観光立国として大幅な規制緩和を実施することによって外国人観光客の流入を促進しているのです。
タイはすでに乾季の真っ只中。一年のうちでも旅行に出かけるには絶好のシーズンを迎えます。
タイの旅行というと、バンコク市内で寺院やマーケット巡り、プーケットやパタヤといったビーチ等を思い浮かべる方も多いと思いますが、タイは言わずと知れた「釣りパラダイス」なのです。
じつはタイは東南アジアのなかでも釣り大国で、近年は釣り人口も急増するほど皆さん大の釣り好き。もちろん海でも川や湖も両方釣りを楽しめますが、タイでは淡水魚が大人気!ティラピアやライギョ・ナマズといった中小物から、メコン大ナマズ、アリゲーターガーやパーカーホといった巨大魚まで釣れる魚種もさまざま。
そのなかで最も人気があるのがティラピア釣り。ティラピアはタイの大衆魚で日本でいうアジやサバと同じような存在です。マーケットや飲食店に行けばどこでも販売しているほど、一般家庭やレストランの食卓に当たり前のように並ぶ魚なのです。
しかも、釣って良し!食べて良し!そしてコスパ良し!と三拍子揃っています。タイに旅行に行くのであれば、ぜひティラピア釣りに出かけみることをおすすめします。
タイの管理釣り場は魚種も豊富。食事や設備も充実してレジャーにも最適!
タイの観光といえば、やはり首都バンコクですよね。世界的な遺跡や歴史的に有名な寺院そしてナイトマーケットなど見所も満載です。釣りに関しては管理釣り場もバンコクを中心に周辺のサムットサコンやノンタブリーの各県に存在し、その数も日本の5倍以上はあるのではないでしょうか。
タイの管理釣り場というと世界の釣り人のメッカともいわれる「ブンサムラン・フィッシングパーク」が有名ですが、どちらかといえば外国人観光客向けの釣り堀で、入場料や貸竿・飲食代などかなり高額な設定です。
そこで今回はタイのローカルな管理釣り場をご紹介します。現地の家族連れや仲間同士が休日に過ごすような釣り堀のため、料金も大人ひとり250B(日本円で千円)という破格の料金で釣りや飲食なども込々でじゅうぶん楽しめる施設です。もちろんギャラリーは入場料は無料なので、公園に遊びに行く感覚で出かけることができます。
場所によって異なりますが、貸し竿や仕掛けやエサまで販売しておりレストラン等の飲食施設が併設されているのが魅力。しかも釣り場まで自転車でケータリングしてくれるのでホスピタリティも充実しているのです。
管理釣り場はバンコク市内および郊外に数多くあるので釣り場探しには困らないでしょう。ネット等で事前に調べるか、ホテルのスタッフに『ヤークミー・トップラー(釣り)』とたずねれば親切に教えてもらえるでしょう。その際、貸し竿や仕掛け・飲食施設・駐車場の有無も併せて調べておきましょう。
アクセス・バンコクの渋滞には要注意!
すでにバンコクへ仕事や観光等で来られた方はご存じだと思いますが、バンコクの渋滞は想像を絶するレベル。およそ都内や首都高の比ではありません。とくに中心となるスクンビットやサイアム地区は、時間帯によっては1時間に数メートルしか進まなかったり…。
このため管理釣り場に行く場合、なるべくBTSやMRTまたはバスやミニバスを乗り継いで行くことをおすすめします。管理釣り場は総じてアクセスの悪い場所にありますが、バンコク市内や近隣エリアであれば十分可能です。またバンコク周辺エリアでも公共の交通機関で行ける場合もあります。
レンタカーの場合は曜日や時間帯を考慮して出かけましょう。平日の朝7~9時と夕方16~19時はとくに混雑する時間帯です。例えば、9時過ぎに出発して15時までに帰路に着くのであれば渋滞の影響はあまり受けることはないでしょう。また土日祝日は比較的混雑することは少ないですが、ショッピングモール周辺などで渋滞するケースがあります。
いずれにしてもレンタカーなど車で行く場合は、時間に余裕を持って出かけましょう。
ティラピアについて
タイでは、ティラピアは日本におけるアジやサバと同様に大衆的な食用魚として、家庭の食卓や飲食店のメニューにかならず登場する存在です。言い換えれば、安くて美味しい魚なのです。
そんなティラピア。日本ではティラピアというと外来魚のイメージが強いですが、じつはタイの人たちにとっては、日本から輸入された外来魚という認識があります。まさにカルチャーショックというか、文化の違いですよね。
なぜ、日本ではマイナーなティラピアが、タイでは『日本から輸入された外来魚』として大衆魚にまで普及しているのでしょうか!?現地の知人から聞いた話によると…
およそ60年ほど前、タイは重大な食糧危機に見舞われていました。その深刻な事態を知った魚類学者でもある日本の皇太子(明仁親王:現在の上皇)はタイのプミポン国王(ラマ9世)にティラピアを寄贈し「ティラピアの養殖」を提案したのです。
当時タイの国王一族と日本の皇室は強い絆で結ばれていました。ですので、ごく自然にタイのプミポン国王もこれを受け入れ、タイ全土でティラピアの養殖が始まります。そしてティラピアがまたたく間に繁殖して食用魚としての地位を確立していったのです。
つまりティラピアは日本とタイの友好の証しでもあるのです。
ティラピアは体長が40cm前後で大きいものは60cm・3kgまで成長するようです。釣りの対象魚としてはクロダイやメジナとほぼ同じサイズで、尾長グレさながらの強烈な引きを見せます。また生命力が強いため身持ちも優れています。
一見クロダイとヘラブナを半分に割ったようで決して美味しそうに見えませんが、食べてみるとこれがまた美味!正直、クロダイやマダイよりも美味しいです。
初心者でも簡単に釣れるティラピア!
ティラピア釣りは鯉の吸込みのような仕掛けを投入するブッコミ釣りとヘラブナ釣りのようなウキ釣りの2通りの釣り方があります。現地では前者が一般的な釣り方になりますが、ごく一部のマニアックな方はヘラブナ釣りさながらの道具立てで釣りを愉しんでいます。
ヘラブナ竿に竿掛けやパラソルまで用意して、じっくりと釣りを愉しむさまは、本格的なヘラブナ釣りを彷彿とさせるほど。おそらく日本の文化を踏襲したものだと思います。
どちらの釣り方にも釣果に差はないようです。各々お好みのスタイルを選択すると良いでしょう。
モバイルロッドは旅釣りの最強ツール
自前で竿やリール・仕掛けなど釣り道具を一式持参したいという方は、モバイルロッドをスーツケースに収納することをおすすめします。モバイルロッドは公共の交通機関も楽々持ち運べてオールマイティです。
モバイルロッドは仕舞寸法も50~60cm。ちょうど海外旅行用のスーツケースであればすっぽりと収まるサイズ。大手航空会社の国際線は釣り竿が一定の長さまで無料で預けられますが、LLC(格安航空会社)は運賃が安いぶん受託手荷物やスポーツ用品等はオプションが発生してしまうので、モバイルロッドをスーツケースに入れると追加料金がかかりません。
現在では大手釣り具メーカー各社から、あらゆる用途に対応したモバイルロッドが販売されています。まさに私のようなトラベラーズ・アングラーにとっては必須アイテムといって良いでしょう。
購入する際は、釣る魚種に対して汎用性の高いものを選択するのがおすすめです。
ティラピアはML(ミディアムライト)クラスの竿にスピニングリールが一般的ですが、メコン大ナマズ等の大物を狙う場合は船用のミディアムヘビークラス以上の竿に両軸リールが必須となります。対象魚に合わせて選択しましょう。
タックル(ブッコミ釣り)
ティラピアの吸込み仕掛け
ここではタイの釣具店で販売されているティラピアの最も一般的な吸込み仕掛けをご紹介します。
上の写真をご覧いただくとお解りの通り、鯉(コイ)の吸込み仕掛けに非常に似ています。私自身鯉の吸込み釣り自体経験がないので何とも言えませんが、釣り方やエサの付け方などの要領はほとんど同じです。
タイは日本のように釣具の大型量販店がないため小売店が大半です。そこに行けばたいてい上の仕掛けが購入できます。ちなみに、ティラピア用の吸込み仕掛けは25B(約100円)です。
タックル(ウキ釣り)
ウキ釣りの仕掛け
ティラピアのウキ釣りは、まさにヘラブナ釣りそのものです。竿は8~9尺のヘラブナ用竿が理想ですが、無い場合はブッコミ釣り用のモバイルロッドでも代用できます。
仕掛け類はヘラブナと同じでウキはヘラ用の棒ウキを使用します。ティラピアは1キロ前後のサイズが主体ですが時には2キロオーバーの大型も姿を見せ、メジナのように引きも強烈です。このためハリスはなるべく太めのものを使用した方が良いでしょう。
ハリは伊勢尼の10~13号を使用します。タイではチヌ針やグレ針がないのですが、不思議と伊勢尼針は普通に販売されています。
仕掛け類は現地で販売されていますので、時間が無い方などは現地で購入しても良いでしょう。
エサ
エサは、ブッコミ釣りもウキ釣りも練りエサを使用します。練りエサは日本で販売されているものとは異なりますが、基本的に小麦粉やウドン粉、グルテンなどをベースにサナギやバンブーや魚介を混ぜた粉末状のタイプです。
いろいろな種類がありますが、管理釣り場によって釣れるエサは若干異なるため、現地のスタッフにお任せするのが間違いないと思います。
まずは現地でチョイスした粉末状の練りエサを少量の水を混ぜながらコネていきます。水が多過ぎても少な過ぎてもダメで、水の加減が非常に重要です。クロダイのダンゴ釣りやヘラブナ釣りと同じ要領ですね。
ある程度水中でバラケるように調整して集魚効果を高めた方が釣果アップにつながるようです。また、ブッコミ釣りでは、ダンゴ用と付けエサ用の練りエサは、バラケエサと喰わせエサのように微妙に水の加減を調整する必要があります。
また、ブッコミ釣りとウキ釣りの付けエサはなるべく小さめにしましょう。
実釣!
ブッコミ釣り
螺旋状になった仕掛けを埋め込むように手のひらの上でダンゴを握ります。この際ハリも3~4本同時にダンゴの中に入れるのがコツです。さらに付けエサを残ったハリに付けてダンゴの下に垂らします。
仕掛けの投入です。ダンゴを付けるとややウェイトオーバーになり、かつダンゴがバラケやすいため、なるべく竿の弾力を活かして慎重に投入します。仕掛けが着水したら糸フケを取ったら気長にアタリを待ちましょう。
仕掛けはなるべく同じポイントに投入することが大切です。何投か繰り返していくうちにティラピアがダンゴの匂いにおびき寄せられ、付けエサを喰ってくるのです。
アタリがあってもすぐに合わせるのは禁物です。最初はツンツンと小さなアタリがありますが、ここではまだティラピアはエサを口に入れてはいません。やがて竿先が大きく曲がったり手元まで反応が来たら大きく竿をあおって合わせを入れます。
ズシリとした重みを感じたらゆっくりリールを巻きます。ただし手元まで寄せる途中で、ティラピアは横に走り出したり鋭い突っ込みを見せるので油断してはいけません。
ウキ釣り
練りエサを指先で丸めてハリに付けます。このとき練りエサは丸形ではなく三角錐のような形に付けてハリ先をわずかに出すのがコツです。
ウキの投入はアンダースローでもオーバースローでもどちらでも構いません。ブッコミ釣りと同じ要領で、集魚効果を高めるためになるべく同じポイントに打ち返すようにしましょう。
アタリがあるとウキがチョンチョンと上下し始めます。ただしこの時にアワセるのはNG。ティラピア釣りでは早合わせは禁物です。しばらくしてウキのトップがスーッと水中に沈んだ瞬間にアワセを入れます。ウキが一気に消し込んだりすることはほとんどありません。
とくに大型の場合、ヘラブナ竿で釣るとかなり竿がしなります。結構なパワーでのされてしまうこともあるので注意しましょう。実際ヘラ用の竿で釣るティラピア釣りは、クロダイやメジナをヘラブナ竿で釣るような釣り方なのでかなりスリリングですよ!
コンドミニアムで自分の釣ったティラピアを料理する
タイのティラピア釣りの最大の魅力は釣った魚を持ち帰れるところ。しかもテイクアウト料金もかなり良心的な価格です。管理釣り場によってキロあたり50~80B(日本円で約200~360円)で持ち帰りが可能です。
ただし、旅行者にとっての悩みはホテルにはキッチンが…。たしかにホテルだと料理が作れませんよね。そこでおすすめなのが、コンドミニアムです。
いまタイの旅行でにわかに脚光を浴びているのがコンドミニアムです。なかにはコンドミニアムタイプのホテルなどさまざまですが、とくに中期・長期での旅行や滞在を考えている方にはコンドミニアムが断然おすすめです。
ホテルよりも安い上にキッチンはもちろんフライパンや包丁・まな板などの道具一式、生活に必要な物はたいてい何でも揃っています。しかもプールやフィットネスなど設備も充実しており、ウィークリーやマンスリーでの宿泊が可能です。コスパ的には中~長期での滞在がおすすめですが、物件によっては短期での契約もあるそうです。
タイで釣りを楽しむのであれば、現地のローカルフードを食すために、ぜひコンドミニアムに宿泊することをおすすめします。
コスパ最高なタイの釣りと料理
バンコク近郊には、ローカルな釣り場がたくさんあります。しかもレンタルタックルやエサ・仕掛けも常備しており、食事や軽食、ビールやソフトドリンクなど至れり尽くせり!
家族連れやグループでタイのローカルな釣りをのんびりと楽しむには最高です!
さらに自分で釣ったティラピアを、現地のローカルフードのように調理して食べるという贅沢!とくにタイのソウルフードでもあるティラピアの丸揚げは絶品ですよ。一度は食べていただきたい一品です。
前回サムットサコンの管理釣り場で釣ったティラピア料理の超絶な美味さにすっかりハマってしまい、今回は現地のソウルフード、ティラピアの丸揚げに挑戦しましたのでご紹介します。 かねてより現地の方々からも「これがイチバン美味しい食べ方だ!」[…]
皆さまもぜひタイのソウル・フィッシングをお楽しみください!