タチウオは北海道を除いてほぼ全国で釣れる魚です。タチウオ釣りというと船釣りのイメージが強いと思いますが、じつはこの冬場陸っぱりからでも釣れる貴重なターゲットの一つなのです。
釣り期は秋~冬にかけて。水深のある深場の堤防や護岸からウキフカセによるエサ釣りやメタルジグを使用したルアー釣りで狙います。船釣りのように数はあまり期待できませんが、日並み次第ではツ抜け(10尾以上)達成も可能です。
今年はとくに静岡県駿河湾の沿岸でよく上がっているようですが、水深が5メートル以上あるポイントであれば東京湾や相模湾でも十分釣ることは可能です。私自身もこの時期アオリイカの活きエサ釣りで、歯の鋭いタチウオに幾度となくハリスをブチブチ切られたことか…汗
タチウオは回遊魚なので潮況や水温等によってムラがある釣りですが、それだけに当たればラッキー!潮時表と睨めっこして夕マヅメから20時頃までが満潮となる大潮後半から中潮回りの時合狙いで短時間釣行がおすすめです。
釣りたてのタチウオは刺身にして食べると最高!タチウオの刺身なんて、それこそ釣り人の特権というものです。もちろん塩焼きやムニエル・煮付けにどう料理しても美味しい魚です。
例年釣り期は2月いっぱいまで続きますが、そろそろ終盤戦の様相を呈しているようなので、なるべく早めの釣行をおすすめします。磯竿の2号以上をお持ちの方はエサ釣りで、またルアー竿のミディアムサイズをお持ちの方はルアー釣りで楽しめますよ。
磯竿2号以上かミディアムサイズのルアー竿があればゲームは可能!あとは仕掛けやメタルジグを揃えるだけ!
陸っぱりのタチウオ釣り
タチウオは、昼間は沖合の深場に棲息し夜になると小魚を求めて浅場の沿岸域へ回遊します。船釣りでは人気ターゲットのタチウオですが、陸っぱりからの釣りは夕マヅメから夜にかけてと時間帯が限られるため、意外にマイナーな釣り物のようです。
釣れる時期は地域によって異なるものの秋から冬にかけてがメイン。とくに冬場は数こそ釣れませんが、指4~5本の大型サイズが釣れることもあるので要チェックです。その名のごとく銀のサーベルのようにギラギラした細長い魚体は一見グロテスクかも知れませんが、ひと口食べたら抜群の食味です!
陸っぱりからのタチウオの釣り方はおもに、冷凍のキビナゴやイワシを使用したウキ釣りとメタルジグを使ったルアー釣りの2つのパターンがあります。ただしタチウオは歯が鋭いため、ハリスやリーダーにはケブラーやワイヤーといった特殊素材を使用しないと、すぐに切られてしまうのがこの釣りの特徴です。
そこで今回は、ウキフカセ釣りとルアー釣りについてご紹介します。また実際に私自身が、冬場にウキ釣りおよびルアー釣りで釣り上げた実績をもとに釣り方についても併せて解説いたします。仕掛け等はそれぞれ「現地流」というのがあるかとは存じますが、少しでも参考になれば幸いです。
すでに磯竿の2号以上かミディアムクラスのルアー竿をお持ちの方であれば、仕掛けを新たに購入するだけですぐにタチウオ釣りが始められます。この冬、ぜひ陸っぱりからタチウオ釣りを始めてみませんか?
※関東エリアでタチウオの陸っぱり釣りができる場所はこちらをご覧ください。
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タックルと仕掛け
ウキ釣り
タチウオのウキ釣りのタックルは、沖目に遠投するため遠投用の磯竿が最適です。手持ちがなければ、磯竿の2~3号クラスでも対応可能です。リールは中型スピニングリールに、道糸はPEの1~2号が理想です。
ウキはカゴ釣りで使用する遠投用のウキで十分です。ただし、夜釣りで遠投するためトップに装着するケミホタルの視認性がなるべく良いものを選ぶのがポイントです。そういう意味では中通しタイプよりも棒ウキタイプの方が取り扱いやすいでしょう。またウキが非自立型の場合はオモリサルカンや中通しオモリを使用します。タチウオ釣りの場合はなるべく非自立型のオモリを使用し、タナまでダイレクトに付けエサを届ける方が実績的にも良いような気がします。
サルカンからハリにかけての仕掛けがとても重要です。タチウオは歯が鋭いためハリのチモトには必ずワイヤーやケブラーを使用した仕掛けを使用します。釣具店でもネットショップからでもタチウオ用の仕掛けが市販されており、これで十分対応は可能です。ハリ数も1本針と2本針の2タイプがありますが、実績的にはあまり大差ないように思います。
ルアー釣り(ジギング)
陸っぱりから狙うタチウオのメタルジグは船釣りとは異なり、20~50グラムの軽いものを使用します。タチウオが手前まで接岸している場合は20グラムの小型のジグでも釣れますが、基本的に遠投が有利のため、重さ✕カラーで幾つかのバリエーションを用意しておくのが無難です。
とくにカラーは重要な要素で、事前に「当たりカラー」など情報を入手しておくことが大切です。一般的にはピンク系やシルバー系あるいはパープル系など。ただし場所や時期・時間帯などに応じてヒットカラーはさまざまです。
またメタルジグを付けるスナップにはケブラーやワイヤーで結び、ケミホタルミニのグリーンカラーを装着します。メタルジグのなかには、本体にケミホタルを取り付けられるものもありますが、どちらでも食いに大差はないようです。
ショアからのタチウオ狙いでおすすめのメタルジグはこちらです。
ウキ釣り用のエサ
タチウオをウキフカセ釣りで狙う場合付けエサはさまざまあります。一般的には冷凍されている小魚か身エサ、あるいは活きエサのどちらかで釣ります。当然のことながら圧倒的に食いが良いのは活きエサです。
ただし活きエサは調達できる場所も限られメンテナンスが大変なので、入手するのが難しい場合は冷凍エサでもOKです。
冷凍エサの場合エサ持ちを良くするため、あらかじめ塩を振って締めておくのがコツです。
冷凍エサ
- キビナゴ:全国的に最もポピュラーなエサ
- イワシ:エサ持ちが悪いのが難点
- カツオのはらんぼ:食いは悪くないが入手が難しい
- サンマの切り身:身エサとしてはポピュラー
- サバの切り身:サンマと食いは大差ない
活きエサ
- アジ:最も食いが良いが単価が高く入手難しい
- ウグイ:ギンペイ(銀平)として販売されている
- イナッコ:自分で採取する。入手が難しい
- イワシ:サビキ釣りで確保。エサ持ち悪い
- ドジョウ:テンヤ釣りで使用する
釣り方
今回ご紹介する釣りは、ウキ釣りでもルアー釣り(ジギング)でも非常にシンプルな釣りです。いずれも小手先のテクニックなど必要としない、なるべく簡単に釣れる釣り方を解説いたします。
ウキ釣りにせよルアー釣りにせよ、この釣りでいちばん大切なのは狙う「タナ」です。タナさえ正確に合っていれば、初心者でも簡単に釣果を上げることは可能です。つまり、ウキ釣りの場合は「ウキ下」でルアー釣りの場合は「レンジ」が大切なのです。
タチウオは群れで回遊する魚ですので、周りがバタバタと釣れ始めたのに自分だけ釣れないという場合は、タナやレンジが間違っている証拠です。すぐにウキ下やリーリングする層を変更しましょう。
ウキ釣り
堤防や岸壁からのタチウオ釣りでは、まずタナを探ることから始めます。場所や時間帯によって多少の誤差はありますが、ウキ下2~3ヒロから設定するのが一般的です。タチウオはつねに自分よりも上にいるベイトに関心を持つため、ボトム狙いは禁物です。
付けエサが活きエサの場合は30~50メートル沖合に仕掛けを投入し、あとは待つだけです。冷凍エサの場合はやや沖目に投入し、仕掛けが馴染んだら手前にリーリングしながら誘いをかけるのが有効です。
アタリはウキがスーッと消し込んだり、ピクッと上下に動いたり、そのまま横に流れていったりと千差万別です。しかしタチウオ釣りでは早アワセは厳禁です。しばらく待ってひと呼吸置いてからアワセるようにするのが吉です。
ルアー釣り(ジギング)
タチウオのジギングも、まずはレンジを探ることから始めます。エサ釣りと同様表層から2~3ヒロ下の宙層を狙うイメージです。釣り方は至って簡単。メタルジグが着水したらしばらく待ってあとはタダ巻きするだけです。
タチウオ釣りというと、派手に竿をシャクったりアクションかけたり、というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、じつはゆっくりとタダ巻きするほうが釣果も安定し、確実にフッキングさせる点でも非常に有効な釣り方なのです。
とくにショアからのタチウオ釣りは、アタリは頻繁にあるけどなかなかフッキングしないという状況が多い釣りです。このためジギングではなるべくスローリトリーブで、メタルジグをアピールさせて確りと食い込ませるのがポイントです。
タチウオの締め方
タチウオは歯が鋭い魚ですので素手で扱うのは大変危険です。このため野締めや血抜きを行なう際は、かならずフィッシュグリップなどを使用して手早く安全に作業しましょう。
美味しく持ち帰るためには釣ったら先ず締めてから血抜きをします。血抜きは締めたタチウオを海水の入ったバケツに5~10分ほど入れて、取り出したらクーラーボックスに入れて氷締めします。
具体的な方法は以下の通りとなりますので参考にしてみてください。とても簡単ですよ。
- 目の後ろ(後頭部)に一気にナイフか包丁を入れる
- 血が出たら海水の入ったバケツに5~10分漬ける
- クーラーボックスに入れて氷締めする
これから終盤を迎える陸っぱりのタチウオ釣りは、早めの釣行がおすすめです!釣っても食べても良しで、冬の食卓に華を添えましょう!!