春本番!関東では桜の開花も秒読み段階に入り、いよいよ絶好の沖釣りシーズンを迎えるなかで、いまにわかに脚光を浴びているホットな釣りがあります。それは、
トラフグ(虎河豚)釣り!
トラフグといえば、これまでショウサイフグ釣りやヒガンフグ釣りなどの「ラッキーな外道」としての希少な魚種でしかありませんでしたが、何と最近ではトラフグをメインターゲットとして出船する船が増えているのです。とくに、
東京湾では3キロ&5キロオーバーの特大トラフグが絶好釣!!
近年は東京湾だけでなく、関東の相模湾や東海の伊勢湾、関西の明石エリアなど各地でトラフグが釣れています。
今後沖釣りのターゲットとして注目度が高まるトラフグ。
「いつ・どこで・どのように釣ったらイイの!?」
これから本格シーズンを迎えるトラフグ釣りは、初心者や入門者でも比較的簡単に釣ることが出来て、キロオーバーの大型トラフグを狙える絶好のシーズン!
そこで今回は、トラフグ釣りのメッカである東京湾を中心に、トラフグの釣り方や仕掛け、おすすめの遊漁船について、基本的な攻略法を解説します。
トラフグ(虎河豚)について
トラフグは「フグの王様」とも呼ばれ、フグ類の中でもっとも大型に成長し、最大で10キロを超えるといわれており、一般家庭の食卓ではなかなか食べることのできない超高級魚です。
トラフグは北海道から九州に至る全国の沿岸に生息しています。これまでは西日本がおもな産地として知られていましたが、近年では冒頭に上げた東京湾を筆頭に、相模湾、駿河湾、伊勢湾、関西、瀬戸内方面など各地で水揚げされ、船釣りのターゲットとしても人気が高まりつつあります。
フグは、肝臓や卵巣等の内蔵や皮などにテトロドトキシンという毒を有しているため、釣り上げたとしても自分で調理することは非常に危険で、船釣りでは「ふぐ調理師免許」を持った船頭やスタッフ等にさばいてもらい、持ち帰って調理することが可能です。
数あるフグのなかでもトラフグは、身だけでなく皮やヒレ、白子など多くの部位を食べることができる上に淡泊で上品な旨味と甘みを感じるまさに極上の美味しさ。天然のとらふぐの市場価格は、何とキロ5,000円~8,000円と高値をつけています。
トラフグの産卵期は春先から初夏にかけて。この時期は白子がパンパンに入った大型のトラフグや数を狙うことができ、初心者にとってもトラフグ釣りの絶好のチャンス!
トラフグ釣りはシンプルな仕掛けで誰でも気軽に楽しめるのが魅力です。
春の新年度を迎え、ぜひこの機会にたくさんの「フク(福)」を釣りましょう!
トラフグ釣りのシーズン展望
トラフグ釣りは3月から5月にかけての乗っ込みが絶好期!
すでにトラフグ釣りのメッカである東京湾では2月後半頃より釣れはじめ、3月には5キロオーバーの特大フグも続々上がっており、4月から5月にかけてピークを迎え、6月頃まで釣れ続きます。
地域によって釣り期は異なりますが、全般的に春先から初夏が狙い目です。
初心者や入門者にとっては、まず各地域の釣り期を把握した上で釣行することが、トラフグを釣る最短距離といっても過言ではありません。
トラフグを専門に狙う船も少ないのが実情ですが、ここでは現況と例年のデータを踏まえトラフグ釣りの傾向と対策をサマリーしてみました。
トラフグ釣りのタックルと仕掛け
トラフグ釣りは、竿+リール+カットウ仕掛けでシンプル!
初心者や入門者でもタックルや仕掛け選びもカンタン。かつ低予算でトラフグ釣りを楽しむことができるのでコスパも最高!ショウサイフグ釣りやカワハギ釣りのタックルを持っている方はであれば、そのまま使用することができます。また、
レンタルタックルも充実しており、はじめてフグ釣りにチャレンジする方にはおすすめです。
仕掛けは「カットウ仕掛け」を用いた釣りが基本。
カットウ仕掛けは、ハリにつけたエサに寄ってきたフグを引っ掛ける仕掛けで、オモリとハリス、ハリが一体になったフグ釣り独特の仕掛けです。
ショウサイフグ釣りを経験した方はすでにご存じかと思いますが、フグ釣りは釣り上げるというより、「引っ掛ける」という感覚の釣りで、トラフグ釣りも同様です。
ただしトラフグは大物も釣れるため、1サイズ大きめのハリスやワイヤーといった太仕掛け。
地域や季節によってタックルや仕掛けもさまざまですが、ここでは東京湾のトラフグ釣りをベースに、基本タックル&仕掛けをご紹介します。
(1)タックル
①竿
竿はフグ専用竿。カットウフグ竿が最も適しており湾フグ用の竿でも実釣可能です。その他、カワハギやタチウオ、マルイカ用の竿などでも代用できますが、
フグのアタリを的確に捉える8:2の先調子の竿がベストマッチです。
またトラフグ釣りでは、終日竿を手に持ったまま釣りをするため、長さ1.5~1.8メートルの短竿で、軽量のものをチョイスするのがおすすめです。
②リール&道糸
リールは小型両軸リールか小型電動リール。カウンター付きのもので、シーズンによっては深場を狙うこともあるため、ギア比の高いモデルを選ぶのがポイントです。
道糸はPE0.8~1号で、マーカーで色分けされているものがベスト。スプールに最低200メートル以上巻いておくと、高切れしたときにも安心です。
また一部の船では、PE1号以下など道糸の号数制限があるため、かならず事前に確認しておくことが大切です。
(2)仕掛け
①リーダー
トラフグ釣りでは、フロロカーボン3~5号のリーダーを1~1.5メートルとり、FGノットやPRノットで道糸に直結します。
これはフグの警戒心を軽減させて、大型のフグが掛かったときなどにショックリーダーの役割を果たします。道糸をカットウ仕掛けにそのまま結ぶことはNGですのでご注意ください。
②カットウ仕掛け
カットウ仕掛けはトラフグ釣りで最も重要なツールです。
カットウ仕掛けは、カットウオモリ(錘)とエサバリ、掛けバリの3つで構成されています。
オモリは地域や潮況、船等によって20~30号を使用するのが一般的。20号・25号・30号の3種類を数個ずつ用意しておくと安心です。カットウオモリにはさまざまな色・形状がありますが、
カットウオモリのカラー(色)がポイント!!
カットウオモリには、地域や潮況、あるいは時間帯等によって「当たりカラー」がかならずあります。事前に船宿に確認しておくことをおすすめします。
エサバリと掛けバリにはおもに2つのタイプがあります。
複数のエサバリに掛けバリが一つついたチラシ式と、一つのエサバリに二つの掛けバリがついたカットウ式で、いずれも甲乙つけがたいため詳細は事前に確認しておくと良いでしょう。
ハリスは、ワイヤーかビニールチューブで強化するのがポイントです!
トラフグはハリに掛かると暴れてハリスを噛みちぎってしまうほど非常に鋭い歯を持っており、バラシを防止するためにはワイヤーハリスがベスト。または12~14号の太ハリスを使用するのがおすすめです。
(3)トラフグ釣りの仕掛図
①基本仕掛け(1段カットウバリ)仕掛け
東京湾などトラフグ釣りの最も標準的な仕掛けです。ハリスにはワイヤーを使用し、フグに噛み切られてしまうリスクを軽減します。もっとも、トラフグはワイヤーすらも容赦なく噛み砕いてしまうので、バラす確率を抑えるという意味です。
②カットウ式(2段カットウバリ)仕掛け
2段カットウバリのカットウ仕掛けは、おもに外房のショウサイフグ釣りで用いられる仕掛けですが、東京湾などのトラフグ釣りでも有効な仕掛けです。掛けバリはワイヤーやビニールパイプで補強しますが、ワイヤーだと掛かりが悪い場合もあり、潮況によって使い分けると良いでしょう。
③チラシ式仕掛け
チラシ式仕掛けは、エサをつけるエサバリを2~3本つけて、掛けバリは1本というスタイルの仕掛けで、おもに西日本方面で使われている仕掛けです。エサバリにフグが掛かることもあるため、エサバリはビニールパイプ等で強化しておくと良いでしょう。
トラフグ釣りのエサ
トラフグ釣りのエサは地域や船によって異なります。トラフグはエビ・カニなどの甲殻類やアオヤギ・アサリといった貝類、ゴカイなどのイソメ類などを捕食し、釣り船によって支給されるエサもさまざまです。こうしたなかで、
東京湾のトラフグ釣りではアルゼンチン赤エビが最も一般的です。
東京湾の遊漁船では、つけエサのアルゼンチン赤エビ10尾までは乗船料込の料金で提供されており、10尾以上は追加料金という船宿が大半です。
概ね船宿から支給されるエサで事足りるのですが、潮況によって特エサも効果を発揮します。
特エサとしては、アオヤギやイカタン、ホタルイカがおすすめ!
もちろん特エサがなくても十分釣りは成立しますが、あくまでも「保険」として持参しておくと良いでしょう。
トラフグ釣り攻略法とおすすめの遊漁船
トラフグ釣りは近年人気急上昇中で、専門で狙う船もだいぶ増えていますが、船釣りではまだニッチなジャンルの釣りです。
トラフグを専門で狙う遊漁船は少なく、これからトップシーズン迎えるなか満席必至で、なかなか予約をとることもままならないほど。
ここでは今季すでに開幕している東京湾をはじめ、トラフグ釣りの釣況や攻略法、遊漁船情報をご紹介します。
実際に各船宿にヒヤリングした内容も踏まえ、トラフグ釣りのポイントを解説いたします。
■東京湾(千葉・東京・神奈川)
東京湾はトラフグ釣り大フィーバー!!
東京湾では2月初旬からトラフグ釣りがスタートしています。開幕早々はぽつぽつといった釣果でしたが、3月に入り数も釣れはじめ3~5キロオーバーを超える大型が高確率で混じる好釣ぶり。まだまだ日ムラはあるものの、
4月のXデーも間近でますます期待が高まります!
Xデーには、大型トラフグが底付近に群れをなし、あちらこちらでキロオーバーのギガフグが連発して竿を曲げます。例年Xデーが続くのはせいぜい2~3日ほど。Xデーに当たればラッキーですが、4月前半までの釣行がおすすめです。
釣り期は5月前半のゴールデンウィーク頃までがピーク!
シーズン盛期にはトラフグ専門で出船する船も多く、おもに千葉県内房から東京のベイエリア、そして神奈川県の横浜・横須賀エリアから出船しているため、最寄りの出港場所を探しましょう。ただし、
すでに土日や祝日は満席で予約困難な船も出始めており早めの予約が吉です。
ポイントは内房冨浦沖から横須賀久里浜沖や三浦剣崎沖などと広範囲。ピーク時にはトラフグの群れが集まるため、海上には30隻前後の船団ができることも珍しくありません。
東京湾のトラフグ釣りは水深20~60メートルで基本的に底狙い!
船長から随時タナの指示がありますが、その日ごとの「当たりダナ」をいち早く見つけることが釣果を伸ばすコツです。
ヒットパターンとしては、竿を上下して誘いをかけタナを広く探るのが有効。
トラフグのアタリは総じて繊細なので、わずかな変化でも感じたら軽くシャクってアワセを入れるか、空アワセしてみるのがポイントです。
トラフグがヒットしたら、リールはドラグを緩めずゴリ巻きして上げます。大型の場合はハリス切れでバラすことも多いため、取り込みはかならずタモ(玉網)を使いましょう。
⛵:東京湾のおすすめトラフグ船
東京湾(千葉県・東京都・神奈川県)でおすすめのトラフグ釣り遊漁船をご紹介します。詳細は各船宿にご確認の上ご予約ください。
千葉県・内房
❶ 萬栄丸 勝山港
❷ 利八丸 勝山港
❸ 宝生丸 勝山港
❹ ひらの丸 富津港
❺ 桜丸 木更津港
東京都・湾岸
❶ 吉久 浦安
❷ 吉野屋 浦安
❸ えさ政 羽田天空橋
神奈川県・横浜~横須賀
❶ 新明丸 鶴見中央
❷ 濱生丸 根岸港
❸ 野毛屋 金沢八景港
❹ 忠彦丸 金沢港
❺ 一郎丸 鴨居大室港
■相模湾(神奈川)
神奈川県に面した相模湾も近年トラフグ釣りが盛んなエリアです。
相模湾のトラフグ釣りの盛期は、例年2月頃から4月いっぱい。東京湾より釣り期はやや短いですが、この時期になると連日多くの釣り人で賑わいます。
相模湾のトラフグ釣りはショウサイフグとの両狙いが基本パターン。
トップシーズンにはトラフグがかなり高確率で釣れるのが魅力!
例年3月中旬頃から水温が上がりはじめるとフグの活性も高まり、ショウサイフグを主体にトラフグも数多く釣れ外道も多彩なため、ほぼ確実にお土産をゲットできるのが嬉しいところです。
ポイントは、横須賀長井沖から茅ケ崎沖にかけての水深20~50メートル。タックルや仕掛けは東京湾とほぼ同じで、チラシ式が多く使われているのが特徴です。
つけエサは、乗船代込みでアルゼンチンアカエビかアマエビが支給され、カットウ式ではアルゼンチンアカエビ、チラシ式ではアマエビを使うのが一般的です。
相模湾ではトラフグを専門に狙う船は少なく、トップシーズンの土日や祝日は満席で予約が取れない船も多いため、早めの予約が必須。
トラフグを狙うのであれば、4月中の釣行がおすすめです!
⛵:相模湾のおすすめトラフグ船
相模湾(神奈川県)でおすすめのトラフグ釣り遊漁船をご紹介します。詳細は各船宿にご確認の上ご予約ください。
■伊勢湾(愛知)
愛知県から三重県にかけて広がる伊勢湾は中部・東海エリアにおけるフグ釣りのメッカです。
もともとショウサイフグやヒガンフグ釣りが盛んでしたが、近年はトラフグも相当数釣れており、今後潜在的にトラフグ釣りの伸びしろが大いに見込まれます。
伊勢湾でトラフグを釣るなら2月から3月にかけてが狙い目!
今季もすでにショウサイフグやヒガンフグがトップ30尾オーバーと好釣。そのなかに良型トラフグが混じり、期待の高まる伊勢湾のトラフグ釣りはシーズン終盤です。
残念ながらトラフグ専門で狙う船はほとんどありませんが、盛期にはヒガンフグ等に混じり、高確率でトラフグが釣ることができます。
ポイントは知多半島師崎沖から伊良湖沖、大山沖など。水深は10メートルから30メートルと浅場が主体で、初心者でも比較的釣りやすい場所です。
仕掛けはおもに1~2本のカットウ仕掛けを使いますが、根の起伏が激しいポイントもあるため、現地では胴突き仕掛けも多く使用されています。
⛵:伊勢湾のおすすめのトラフグ船
伊勢湾(愛知県)でおすすめのトラフグ釣り遊漁船をご紹介します。詳細は各船宿にご確認の上ご予約ください。
■明石沖~瀬戸内(兵庫・岡山)
兵庫県明石沖から岡山方面にかけての瀬戸内一帯は、関西・西日本を代表するトラフグ釣りの好釣り場です。
トラフグ釣りの盛期は2月から4月いっぱいまで!
トラフグを専門に狙う船は少ないですが、例年冬場に入るとショウサイフグやヒガンフグなどが釣れはじめ、関西や中国地方から多くのファンがつめかけます。その後4月以降にはマダコ乗合へシフトする船が増えるため出船回数も減るようです。
フグ釣りは、関西や西日本では関東にくらべてまだ未開拓な分野の釣りですが、それだけに今後がますます楽しみな釣りです。
ポイントは、兵庫県明石・淡路沖や岡山県児島沖など。水深は15~60メートルと広範囲で、深場を狙うこともあるため、オモリは30~40号まで用意しておくと良いでしょう。
明石沖~瀬戸内のトラフグ釣りもいよいよ終盤を迎えており、早めの予約がおすすめです。
いまや人気ターゲットとして知られるショウサイフグ。以前は千葉県外房の大原や東京湾などごく一部の地域で、冬の風物詩として楽しめる釣り物でしたが、現在では全国各地で周年釣れる身近な人気魚としての地位を確立しました。 私がはじめて外房大原[…]