バンコクの西方にあるサムットサコンの管理釣り場で釣り上げた唯一の釣果ティラピアは1キロクラスのサイズ!しかもティラピアはご覧の通り、クロダイとヘラブナを足して割ったような姿形で、お世辞にもあまり美味しそうには見えません。
しかしティラピアはタイにおける大人気魚で、一般家庭やレストランでは当たり前のように食卓に並ぶほどポピュラーな魚です。日本でいうアジやサバと同等といっても過言ではありません。実際、タイに旅行に来られた方の多くはティラピアを口にされていると思います。
今回はタイの管理釣り場で釣った現地の人気魚であるティラピアを初めて調理・実食しました。皆さまにもティラピアの調理法を共有させていただきますので、ぜひご覧ください。
タイのソウルフード、ティラピアはどう料理しても美味しい魚!基本的なおろし方と調理法を解説
タイでは、ティラピアを丸ごと揚げるのがもっとも一般的な食べ方です。屋台が軒を連ねるナイトマーケットから高級レストランに至るまで、どこでもティラピア料理は提供されています。
今回の釣行は現地の知人に同行してもらいましたが、釣行の後にさっそく知人から届いたのが下の写真です。LINEのメッセージで『アロイ・アロイ!(美味しい!)』と連呼しています。
なるほどこうした魚料理は今まで飲食店等でたくさん食べたかも。実際に近所のナイトマーケットでもよく見かけた記憶がよみがえってきました。
しかし私の住むコンドミニアムはIHのため火力の強いガスコンロがありません。カセットコンロでも買ってくれば良いのでしょうが、そこまで手間をかけたくないのが本音です。
かといって、さすがに淡水魚だけに刺身や洗いなど「生」で食べるのは憚られます。
「う~ん、どうしよう!?」
前回サムットサコンの管理釣り場で釣ったティラピア料理の超絶な美味さにすっかりハマってしまい、今回は現地のソウルフード、ティラピアの丸揚げに挑戦しましたのでご紹介します。 かねてより現地の方々からも「これがイチバン美味しい食べ方だ!」[…]
ティラピアのおろし方
まな板に置いた魚体をじっと睨みながら、思わず腕組みしてしまいました。
さすがに知人の写真ようにティラピアを丸ごと揚げるのは難しいとしても、焼き物系で作ってみようと思います。そこで浮かんだのは、洋風にアレンジしてムニエルとアラで出汁をとったスープを作ることにしました。正直ティラピアはどう見てもあまり美味しそうに見えなかったのと、臭みが強そうな印象を受けたのです。
さっそく魚料理の基本である、三枚おろしから始めます。
下処理
まずは、下ごしらえをします。と、その前に冷えた缶ビールを一杯!釣りが終わった後のビールは格別ですよね!
1.血抜き&エラをとる
本来は釣ったその場で血抜きをしないとあまり意味がないのですが、さすがに管理釣り場で血抜きしている現地の人がいるはずもありません。さいわい持ち帰った後も生きていたので、迷わずエラの部分に包丁を入れ血抜きをし、よく洗うことで徹底的に臭みを取ります。
2.ウロコを引く
魚体をスーパーのショッピング袋の中に入れてウロコを引きます。ティラピアはウロコが硬くて大きいため、とにかくよく飛び散るので要注意!
ウロコ引きがないため、包丁を尻尾から頭の方へ引きます。エラや背びれ・胸びれ・尾びれの周囲など細部にわたるまで見落とさないようにしましょう。
3.腹ワタを取り出して洗う
つぎに頭を落とします。中骨が太く力を要しますので女性の方はとくに気を付けましょう。さらにエラに沿って胸びれの後ろにかけて包丁を入れていきます。
腹側に軽く包丁を入れます。かならず肛門の方から腹びれの間そしてエラの順番に入れましょう。このとき絶対に腹ワタまで切れ込まないように注意しましょう!腹ワタを潰すと臭みの原因につながりますので細心の注意が必要です。
つぎに腹ワタを根こそぎ取り出します。なるべく包丁を使わないように!包丁の先端を使って血ワタと黒色の薄い膜を丁寧に落とした後、流水で洗い流します。
この工程が「臭み」を抜く重要ポイントです!
4.背ビレと尻ビレ側から中骨まで包丁を入れる
三枚におろすため、背ビレと尻ビレの両側に切り込みを入れ中骨にかけて切り開いていきます。さらに尾の付け根から包丁を差し入れ頭の切り口に向かって半身を切り離します。
三枚におろす
中骨付きと中骨なしの半身に切り分けると2枚おろしになります。これは塩焼きなど切り身で使う場合に多用されますが、さらに中骨を切り離せばご覧通り3枚おろしの完成です。最後に腹の筋骨をひとつひとつ手作業で抜いていきます。
根気のいる作業ですが、あともうひと息です。上の写真は中骨に身が残っていて、下手くそ丸出しですね。
思いの外ティラピアの身は脂がノリノリで、調理する前からドキドキ・ワクワクしてしまいます!
ティラピアのムニエルとスープ(あら汁)
- ティラピアのムニエル
- ティラピアのスープ(ニース風)
初挑戦となるティラピア料理。見た目はあまり美味しくなさそうでしたが、包丁を入れるにつれて脂もたっぷりと乗っていることが解りました。
『これは意外にイケるかも!?』と、期待値も高まります。
臭みを徹底的に取り除くことを念頭に調理を進めます。このためキッチンにあった香辛料をふんだんに使います。ティラピア本来の素材の味を楽しむため香草類も入れたいところですが、あいにく持ち合わせがないため、各種調味料を準備しました。
ティラピアのムニエル
1.切り身に塩・胡椒などの香辛料を振り冷蔵庫に寝かせる
ティラピアの切り身に、塩・こしょう・黒こしょう・ハーブ・バジルとシーユー・カーオ(タイの醤油)をまんべんなく振り、30分ほど冷蔵庫に保管します。
香辛料はたっぷりと!この処理で、臭みはほぼ完全に取れます。
2.フライパンに皮目を下にして投入
フライパンにサラダ油(オリーブオイルも可)を引いてバターを10gほど投入し、ティラピアを皮目を下にして入れます。フライパンを揺すりながら中火で焼きます。さらに途中タマリンドペーストなどの香辛料を追加投入します。
「香ばしくてイイ匂い~」ティラピアの身は肉厚なため、しっかりと中まで焼きましょう!
10分ほど焼いたら、裏返して皮目を上にします。
3.裏返して焼き上げる
イイ感じに焼けてきましたよ~!!
盛り付けは、レタスとトマトを添えて、
4.完成!
『メチャ×2美味~っ!』
皮はパリッと、身はフワッ・トロッとした食感で、病みつきになる味です。黒鯛よりも淡泊で、まるで舌平目のムニエルって感じ。優しい味で、お子様やお年寄りにも最適の一品です。
なぜティラピアがもっと日本で普及しないのか!?不思議なくらい美味しいです。
ティラピアのスープ(ニース風)
ここでまったりと癒し系のスープを作ります。
以前、南フランスのニースで食べた「漁師飯」を思い出して作りました。ムニエルとピッタリの相性でご飯にも合いますよ。
1.作り方
- 中骨のついた身と、一部の切り身を軽く火であぶります。
- 根菜(ニンジン・大根など)を煮込んだスープの素をぐつぐつと煮込みます。
- ➁にティラピアの中骨・切り身を入れます。
- しばらく煮込んだらチキンブイヨンを1/2投入します。
- 軽く塩・コショウ・バジル他の香辛料を適宜入れます。
- 30分から40分ほど待ちます。
『あ~、イイ香り!』
2.完成!
ティラピアの旨味と甘みがスープに染み込んでイイ感じに仕上がっています!しかも脂がスープに溶け出しています。タイの代表的調味料である「Maggy(マギー)」を2,3滴たらすと、さらに濃厚でマイルドな味わい!
コレは癒される一品ですね~♪
ごちそうさまでした!
はじめは見た目だけで判断してしまい、美味しくなさそうなティラピアでしたが、じつは最高に美味い魚だと知ってビックリ!
良い意味でも、期待を大きく裏切られた!?という感想です。やはり、釣りと食は全世界共通ですね!
またティラピアは日本とも縁の深い魚だという歴史も知り感慨深い思いになりました。そしてこれから日本でもティラピアがますます普及することを願いたいです。
じつはこのティラピア、イオンやコストコでも販売されているそうですよ。ちなみにコストコでは冷凍のティラピアが販売されているそうです。
今回ご紹介したムニエルとスープならば、冷凍物でも十分作れると思います。
日本においても、ティラピアが食卓でも釣りのターゲットとしても、身近な存在になってくれることを期待したいと思います!
現在タイではコロナ前以上に大幅な入国緩和を実施しています。例えば日本人の場合、以前はノービザの滞在期間が30日間だったのが来年3月まで45日間まで延長されたり、出入国カードの記入が不要になるなど、観光立国として大幅な規制緩和を[…]